令和上半期の人事ニュースを総まとめ @人事編集部座談会 前編
令和の人事課題を斬る!「働き方改革」ブームの裏で浮き彫りになった“世代間ギャップ”
2019.09.20
2019年、HR業界は大きな転換期でした。4月に施行された働き方改革関連法案に端を発し、人事担当者はもちろん、全ての働く人を取り巻く環境も変化してきたようです。@人事でも、さまざまな課題解決に取り組む企業や奮闘する人事担当者、人事のトレンドを取材し、発信してきました。
今回は、@人事の編集部が厳選した「令和の上半期おすすめ記事」とともに、記事の中で伝えきれなかった裏話もまるっとご紹介。編集部メンバーが座談会形式でお伝えします。
編集部メンバープロフィール
・小斎:食品関係の業界紙、教育関係者向けフリーペーパーの編集記者を経験。@人事の立ち上げからいるおじさん。
・栗原:書籍販売のECサイト運営(3年)を経て@人事編集部へ。この記事も趣味の延長で書きました。@人事では主にSNS運用を担当。
・大西:元新聞記者(3年)で、殺人事件から小学生のホタルの飼育活動まで幅広く取材。お笑い好きで、「@人事」なのに吉本新喜劇の取材企画を立てた。
・早川:広告営業(半年)→ディレクター(13年)を経て@人事編集部にジョイン。情報収集はもっぱらラジオとネット。
・飯塚:元スポーツ記者(13年)。育児雑誌編集、企業の社内報編集の経験もあり。野球ネタが増えたのは私のせいです。
・長谷川:労働専門誌でパワハラ関係、働き方改革関連法の担当を経て@人事編集部へ。「ブラック企業」にはすごく厳しい。
入社式にあえてぶつけた「新入社員の退職意欲アンケート」。他メディアも注目
早川:入社式という、新入社員の輝かしい未来がスタートする日にあえて公開した、新入社員の退職意欲をまとめた記事。「あなたはいつ頃会社を辞める予定ですか?」2019年春入社の新入社員へ緊急アンケートをまずは挙げたいですね。@人事にしてはなかなかロックだなと。これ、担当は栗原さんですよね?
栗原:はい。公開日は狙いました。結果タイミングよく、特にTwitterでハネましたね。
早川:公開してからもコンスタントにPV(ページビュー)を伸ばしてますよね。独自でアンケートをとっているのがいい。他のメディアからもデータを使わせてほしいって問い合わせありましたもん。確か、福岡のテレビ局と、某週刊誌。
飯塚:新卒はすぐ辞めるって、世相の反映っていうことなんでしょうか? 結構いつの時代も言われていることじゃない?
長谷川:3年以内に3割、は定説となっていますね。
栗原:記事にも書きましたが、厚労省の調査によると「平成7年から20年間連続で、大卒新入社員の3年以内の離職率は30%を超えている」とあります。
早川:若者はすぐ辞める、は今に始まったことじゃない、と。
小斎:ただ、辞める理由が変わってきていると思う。ざっくり言うと、昔はネガティブな理由で辞めていく。今はキャリアアップとか、ポジティブな理由。
栗原:優秀層ほど早く辞めていくという記事もありましたね。アンケートの中でコメントも募ったんですが、気になったのは「結婚」。辞めたい理由の「結婚、出産した時に続けられそうになかったから(女性、25歳、理系)」をはじめ、記事には1つしか入れませんでしたが同じように結婚や出産といったライフイベントを重視して仕事を考えている人が目立ちました。今の若者って意外と結婚願望あるんだなーと。
早川:今の若者というか、若者だからこそじゃないかな。時代関係なく。新卒っていえば20代前半でしょ? そりゃ、当然結婚したいと思う年頃だと思う。自分も20代のころは結婚ってするもんだと思ってたから。なぜかまだしてないけど(笑)。
大西:結婚したいです!
長谷川:「今の子は~」みたいなのは、実は昔から変わっていないのかもしれません。
関連記事:
・「あなたはいつ頃会社を辞める予定ですか?」2019年春入社の新入社員へ緊急アンケート
・大手企業が優秀層をつなぎとめる3つの施策とは。研修設計からはじめる若手社員の離職防止
「働き方改革」がブームに。 ドラマ「わた定」企画が生まれた意外な理由
大西:今年の4月から働き方改革関連法案が施行されましたが、編集部ではこの頃、ちょっとしたお祭り騒ぎでしたね。
早川:社労士松井さんの第13回に渡る大特集、働き方改革で13テーマ。法改正の説明や事実だけではなく、ご自身の見解を交えて書かれていて読み応えバツグンです。
栗原:PVも常に平均値以上を叩き出してました。ありがたや……。
大西:多くの人が「働き方改革」に注目していたのが分かりました。
長谷川:働き方をテーマにしたドラマ「わた定」(※「わたし、定時で帰ります」)もヒットしましたね。
飯塚:「わた定」人気に乗っかったTwitterアンケートは想像を上回る回答数でしたね。ちゃんとしたアンケートをとるための予算が取れなかったので、苦肉の策でしたが(笑)。
栗原:アイキャッチのイラストを描いてくれたのは当社の新卒社員なんですよね。
早川:(ドラマ見てないけど)「わた定」は、いろんな働き方をしている人がいて、視聴者がその中の誰かに共感できる点が、世代を超えて人気を集めたんじゃないかなと思います(見てないくせに)。皆さん、誰に共感したとかあります?
小斎:俺はユースケと向井理かなぁ……。 向井理のようにしたいけど、ユースケのように皆に残業を強いる空気を作り出していないか、とか。結構ビクビクして観ていた。管理職ほど見るべきドラマだと思った。
飯塚:でも、決して誰も悪者として描かれていないんですよね。そうならざるを得ない背景があったりして。
長谷川:ネット情報によると、エンジニアからは少々批判があったみたいですよ。エンジニアのキャラがステレオタイプすぎるとか。オーバーオールはない。やりすぎ(笑)。
早川:分かってない。エンジニアはチェックのシャツとTシャツに決まってる。
関連記事:
・2019年4月施行。社労士が解説する働き方改革のポイント【特集トップ】
・あなたの周りにいる「イヤな定時女」「デキる定時女」
関連サイト:
・TBSテレビ『わたし、定時で帰ります。』相関図
外国人労働者問題にどう迫る? 結局、きれい事しか並べられないのか?
早川:改正入管法も4月に施行されました。@人事でも外国人労働者に関する記事は取り上げましたが……。
長谷川:今治のタオル工場の記事が衝撃的でした。
飯塚:NHKの報道でたまたま今治タオルが騒がれましたけど、技能実習生の労働環境の問題は昔から言われていますよね。特に繊維業界はひどいと聞きます。
栗原:技能実習生の本来の目的も、記事を見て初めて知った部分もあります。
早川:昔、工場でバイトしていたときに、外国人が8割位の職場だったんですね。ある時、ベトナム人の子に時給を聞かれたんです。時給を教えたら「なんで日本人と私たち、給料違うの?」と悲しそうな顔をされたのを思い出しました。 おかしいですよね、彼女はとても働き者だった。日本人の誰よりも。
飯塚:技能実習制度がなくならないことが悪い、というような意見もあります。
小斎:現実的なことを言うと、技能実習生がなくなると、大変なことが起こる。例えば野菜の値段が上がる。前々職で技能実習生の取材をしたが、今まで技能実習生が担っていた労働を、日本人がやることでコストが上がる。でもこの考えを変えていかないといけないんだろうね。
長谷川:技能実習生は労働力確保が本来の目的ではないはずですが。
小斎:本来の目的以外の目的(需要)が勝っている。だから問題がなくならない。
大西:メディアとして、何ができるでしょうか。何を言ってもきれい事のように思えて、外国人労働者問題をどう扱っていいか……。
飯塚:啓蒙し続けることじゃないですか。未来友さんのように、信念と覚悟を持って外国人労働者支援に取り組んでいる企業があることを紹介し続ける。
長谷川:企業に参考にしてもらえる良い事例を、今後も取り上げていきたいですね。
関連記事:
・【考察】今治タオル「ブラック工場」騒動が問う、技能実習制度は「悪」か
・人事担当者が知っておくべき改正入管法と外国人雇用のポイント>入管法改正に物申す。外国人の視点から見る日本の「働き方改革」
・技能実習制度の活用が、10年後の日本を変える
阪急電鉄「はたらく言葉たち」広告で浮き彫りになった世代間ギャップ。○○何世代に反響集まる
早川:最近はTwitterでネタを探すことも少なくなかったわけですが、SNS炎上系では阪急の「はたらく言葉たち」に切り込んだ記事がバスりましたね。裏話とかあれば。
飯塚:まぁ、記事に全部書いちゃったわけですけど。阪急やっちゃったなーと思いました。
長谷川:「はたらく言葉たち」は公式サイトによると「はたらくすべての人に、はたらきかける言葉がつまった本」とのことですが……。少なくとも私ならワ○ミ社長の言葉は収録しない。
栗原:記事の中で「働き方に対しての世代間ギャップ」に触れられていましたが、Twitterではこれが結構面白い視点だったみたいで、反響をもらっていました。
小斎:○○世代をまとめたリストが面白かった。反応する読者もいた。
飯塚:あくまで、一般的な傾向をまとめたものですけど。少なくとも世代間ギャップは存在しますよね。
大西:年齢が上がれば上がるほど、自分を変えられないというのはあると思います。成功体験があればなおさら。私の祖父が相当な頑固者なので、そう思います。
栗原:編集部メンバーは各世代わりとバラけていますね。小斎さん・飯塚さんが氷河期世代、早川さんがプレッシャー世代、長谷川さんがゆとり世代、大西さんと私がゆとり世代とミレニアル世代の間。
大西:バランスがいいって言っていいのかな。
早川:そうだ、ちょっと言っておきたい。この記事のアイキャッチ、当時炎上していたTwitterからヒントを得たんですよ。「はたらく言葉たち」の広告デザインをパロディして。Twitter民たちが遊びだしたんですよね。そこからアイデアをもらいました。
飯塚:アラフォーにして遅ればせながらTwitterの威力を痛感している。SNS発信で炎上→ニュースになるというパターンが本当に多い。時代だなぁ……。
長谷川:「保育園に落ちた」ブログ事件から、その動きが加速したように思います。
小斎:あの事件は国を動かした。個人の発言であっても、社会に大きな影響を与えられる時代になっている。
ここから、世間をにぎわせたSNS炎上事件を扱った記事についての議論で盛り上がる編集部員。その様子は後編で!
令和上半期の人事ニュースを総まとめ @人事編集部座談会 後編
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