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企画

「中堅が足りない」「いい人材が辞めていく」を再び繰り返すのか


寺口浩大が予言。採用ブランド投資を怠れば次の就職氷河期で大失敗する

2019.07.29

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いよいよ来年に東京五輪を控えて各地が盛り上がっているが、「そろそろ景気後退する」との噂も聞こえてくる。

景気後退でダメージを受けるのが採用活動だ。もしバブル崩壊後、リーマンショック後に続く「第三の就職氷河期」が訪れたら、企業はまた採用減に走って数年後に「中堅が足りない」「いい人材が辞めていく」と苦しむのか。

今回は、月間100万人の上位校の学生が利用する就職活動サイトを運営する「ワンキャリア」(東京・渋谷)PR Directorの寺口浩大さんに取材。「#就活をもっと自由に」「#ES公開中」など「採用ムーブメントの仕掛け人」でもある寺口さんが、もし再び就職氷河期が訪れたら学生がどう企業を見定めるのか、企業は生き残るために何をすべきかを語った。【取材:2019年7月2日 @人事編集部 大西里奈】

目次
  1. 【企業の動向】潰れるか、なんとか持ちこたえて採用数を減らすか
  2. 【学生の動向】タイタニック号が沈むとき、彼らのサバイバル戦略は2つに分かれる
  3. 「なぜか優秀な人から辞めていく」本当の理由
  4. 「認知=体験」か「認知<体験」の企業は生き残れる

寺口浩大

ワンキャリアPR Directorの寺口浩大さん①

ワンキャリア経営企画室PR Director。1988年兵庫県伊丹市出身。京都大学工学部卒。リーマンショック直後に三井住友銀行で企業再生、M&A関連業務に従事し、デロイトトーマツグループなどを経て現職。現在は経営企画とパブリックリレーションズ全般に関わる。コラム連載、カンファレンス登壇のほか、採用マーケットの透明化を推進するムーブメントを仕掛ける。共著に『トップ企業の人材育成力』。

【企業の動向】潰れるか、なんとか持ちこたえて採用数を減らすか

――「五輪後に景気後退して、第三の就職氷河期が訪れるのでは」との噂もありますが、それはいつごろだと思いますか?
いつ景気後退するかは分からないです。

東京五輪の終了は一つのきっかけでしかなく、景気は海外の経済情勢に大きく左右されます。今なら米中の貿易摩擦や米イランの関係悪化など、どれが爆発するか多面的に注視する必要があります。五輪終了に何かの要因が掛け合わさったら大変だなと。

2008年のリーマンショックの時も、数年前からサブプライムローン崩壊の予兆がありました。それだけでは何も起こりませんでしたが、リーマンが破綻したのを引き金に一気に景気が後退しました。

――もしも景気後退したら、企業や学生はどう動くと思いますか。
マスで見れば、いつもの景気後退の光景と同じです。会社は潰れるか、なんとか持ちこたえるので精一杯。採用数は減り、人材育成にお金はかけられない。

僕はリーマンショック直後に銀行に新卒入社し、担保回収やリスケ(※)対応をしながら企業の最期をたくさん見届けました。当時の氷河期を生きた若者は「自分で生きていかないとだめだ」と本能的に感じたと思うんです。

※リスケ:銀行に融資の返済条件の延期・変更を申し込む手続き「リスケジュール」の略

第一次就職氷河期
・1993~2005年ごろ
・バブル崩壊
・今の30代後半~40代前半に当たる

第二次就職氷河期
・2008年~2013年ごろ
・リーマンショックの影響
・今の30歳前後の世代に当たる

第三次就職氷河期?
米中貿易摩擦や米イラン関係悪化、東京五輪終了などの影響で景気後退。採用市場にも打撃?

【学生の動向】タイタニック号が沈むとき、彼らのサバイバル戦略は2つに分かれる

これまでの「就職氷河期」とは、学生の動きが少し異なると思います。

タイタニック号が沈む瞬間をイメージしてください。学生のサバイバル戦略は大きく2つに分かれます。泳ぎ方や船の漕ぎ方を覚えるか、沈んでいない大きな船に乗り込むか。言い換えれば、変化への対応能力を付けるか、変化から距離を置き続けるか、です。

海が荒れて船が沈む様子をイメージした写真

①賢い投資家型

不透明な時代に、優秀層は時間を投資して資産を形成し、自分の市場価値を高める。変化への対応能力を付けようとするタイプ。

荒波の中で冒険し、自ら泳ぎ船を漕ぐ力を付ける。たとえ海に投げ出されても漕げるため、次の船にも「乗れよ」と言われやすい。

「賢い投資家型」は、どの船に乗るかによってさらに2種類に分かれる。

堅実投資(ツアー)型

漕ぎ方を安心して早く習得できる丈夫な船(会社)に乗る(大企業とは限らない)

時間軸に応じてキャリア(◯年後に■の力を付ける)の目標を持ち、ファーストキャリアの目標を実現できそうな会社に入る。その後も船に残るか、いろいろな船に乗り換えるか、選択肢を持って働く。

バックパック型

沈む可能性はあるが、泳ぎ方も漕ぎ方も習得せざるを得えず、成長できる小舟(ベンチャー企業)に乗る

情報感度が高く、SNSで社会人とのつながりもある学生。事業計画が強固な会社に行くため、業績やIRの見方も勉強する。

②タンス預金型

変化が激しくなったとき、変化から距離を置き続けるタイプ。断片的な情報だけでなんとなく豪華客船にいったん乗り込む、いわゆる「安定志向」の学生

「賢い投資家型」に比べると投資家の視点が弱い。2~3年後に泳ぐ力も漕ぐ力もついておらず焦る人も多い。

ワンキャリアPR Directorの寺口浩大さん②

どの船もピンチの時は漕げる人が欲しいんですよ。漕がないし泳げない人は、救命ボートが来ても乗せてもらえない

今は情報が透明化しているので「有名企業の40歳の部長が転職してもどこも雇ってくれない話」も感度の高い学生は知っています。いざ転覆したときに生き残るのは小舟で漕げる人だっけ、大きな船に乗っている人だっけ、という議論になりそうだと思います。

景気が後退すればたくさんの船が転覆しますが、今は船を乗り換えられる時代なんです。だから若者は次の船に「泳げる、漕げる能力がある」と思われる力を付けたい。「当事者意識を持って最初から漕げ」って口では言うのに、実際は全然漕がせてくれない企業もたくさんあるじゃないですか。

それに、ミレニアル以降の世代に地位や肩書はご褒美にならない。「大きい客船に乗ってる俺、偉い」みたいなのは本当になくなってきているので。

「なぜか優秀な人から辞めていく」本当の理由

――採用の観点で企業が生き残るには、何をすればいいのでしょうか。
今の時点で、すでに勝負は決まっています。

普通の企業は景気が活況な時にどんどん広告出稿して、景気が沈めば引っ込める。実際に40代前後(第一次就職氷河期)と30代前後(第二次就職氷河期)の採用数が少なくなっています。

景気変動によって新卒の採用者数がどう変化するかを表したグラフ

例えば、景気が良い時に800人の社員を採用した会社も、景気悪化で300人に抑える。当然、平均能力は800人より300人の方が往々にして高い。

僕が新卒で銀行に入ったとき、上がすごく詰まっていたんですよ。微妙な先輩も多くポストも空かない。そんな先輩たちが威張る会社に嫌気がさして、300人から先に辞めていくんです。長期的に見れば、こんなの投資戦略としてナンセンスじゃないですか。人事が「なぜか優秀な人から辞めていくんです」とぼやく背景は、こういう仕組みなんですよ。

広告出稿に依存する限り、景気の後手に回って採用の変動は抑えられない。同じ過ちを繰り返したくないなら、この変動を変えて景気後退にも耐えられる資産に今から投資しないと。

「認知=体験」か「認知<体験」の企業は生き残れる

――投資すべき資産とは? 
採用ブランドを強化するために投資すべきは、コンテンツと分析用データです。

ここでいうコンテンツとはブランデッド(ブランドに寄与する)コンテンツと口コミのこと。

中長期的にブランド・エクイティ(ブランドの価値)を強化するには、マーケティング施策の改善のための分析用データも必要です。

例えばインターンの離脱者がどの企業に行ったのか、結局うちはどの企業に負けているのかと、データを分析しながらブランドビルディングするのが今の採用強者の考え方です。

ポイントは、学生の企業に対する「認知」と「体験」をどう一致させるか、認知より体験の質が上回るくらいになるかです。体験の質が認知より低いままでは会社のレーティングが下がり続け、学生の時間投資対象から外れます。

求人広告は単年での認知しか獲得できない。これからは広告を出稿しなくても、毎年来てほしい学生が勝手に集まる仕掛けを作っておくべきなんです。

▼これまでの採用
求人広告をどれだけ出すかで、採用人数を調整する。
求人広告では単年での認知しか獲得できない
▼これからやるべき対策
【ブランド価値の創出とデータ収集・分析】
採用ブランドを育てるには、学生の企業に対する「認知」と「体験」を一致させるか、認知より体験の質が上回る必要がある。体験の質が認知より低い状態を放置すれば、その会社のレーティングは下がりブランド負債となる。まずは実態把握が必要。

では、企業が優秀な学生を獲得するには、自社のブランディング施策として何をすればいいのか。後編ではその具体的な考え方を紹介する。

★後編記事はこちら
「自画自賛企業」から脱却せよ。採用ブランドを決める4つの主語

今後の新卒採用を考察した記事はこちら

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