〜現場目線で考える!最強テレワーカーへの道①~
テレワーク「場所がない問題」。未来型電話ボックスが解決
2019.07.22
「テレワーク・デイズ2019」がきょう7月22日から始まりました。えっ、いつものように電車で通勤した? そう、テレワーク・デイズ初日の朝、東京都内の通勤電車は相変わらず大混雑。実際、これからテレワークを本格的に導入・浸透を図っていく企業が多いのではないでしょうか。
@人事では、テレワークの課題解決や浸透させるためのコツを「最強テレワーカーへの道」として、「導入する企業」「利用する従業員」双方からの現場目線でお届けします。1回目は、従業員側の視点からリモートで仕事をする「場所」の問題を考えます。8月からJR東京駅などにも設置される防音型スマートボックス「ブイキューブ」の最新情報も紹介します。【@人事編集部:飯塚 陽子】
目次
◆「テレワーク・デイズ」とは
2020年東京五輪の開会式にあたる7月24日を「テレワーク・デイ」と位置づけ、国と東京都が働き方の国民運動として2017年から展開。2017年は1日のみ、2018年は5日間、今年は7月22日(月)〜9月6日(金)の約1カ月半行われ、テレワークの実施を呼びかけている。
@人事もテレワークの企業事例や専門家のノウハウを紹介し、取り組みや導入を支援する応援企業として3年連続で参加中!【参考】企業の導入事例や専門家アドバイスを公開「@人事」(テレワーク・デイズ2019公式HP)
自宅で仕事をする場所「リビング」が半数近く
東京五輪の開会式が約1年後に迫った7月22日の朝8時過ぎ。JR総武線、JR山手線など主要駅はごった返し、車両にぎゅうぎゅう詰めに乗車するいつもの月曜日の朝の風景が広がっていました。一部の大手企業が一斉のテレワーク実施を表明していたものの、企業のテレワーク導入率は総務省「通信利用動向調査」の2017年データでは13.9%(全国)、東京都 多様な働き方に関する実態調査(テレワーク)の2018年データでは19.2%(東京都内)と、まだまだ浸透しているとは言えない状況です。
テレワーク制度の導入にはまだ多くの課題があります。その一つとして、ウェブ会議システムを手がける「ブイキューブ」(東京・港)の高見耕平さんは「場所」の問題を挙げます。「海外のように、自宅に書斎がある人がどれだけいるでしょうか。カフェでは隣りの人に画面が見られていませんか」。
在宅勤務制度は、家庭の事情がある人やケガ・病気などで通勤が困難な人にとってありがたいもの。生産性の向上やモチベーションアップなど、さまざまな理由で導入している企業が増えてきています。一方、どれだけの人が自宅にテレワークにふさわしい部屋があるかと言われると……。
リモートワーク制度を導入している「@人事」の運営会社であるイーディアスで「在宅勤務をする場合、どこで仕事をしますか?」とアンケートを取ってみたところ、「自分の部屋のデスク」が約4割でトップだったものの、「ダイニングテーブル」と「リビングテーブル」を合わせてリビングで作業をする社員も半分近くいました。
筆者は先月、足を骨折してしまい、約1週間初めての在宅勤務をすることに。ところが、自宅にはパソコンスペースがあるものの奥行きが狭いため使い勝手が悪く、終日リビングにあるダイニングテーブルで作業をしていました。出勤が遅い家族の存在が気になってしまったり、家族がたてる生活音にイライラしたり。オンとオフの「線引き」が難しいことを痛感しました。
在宅勤務で困ること。ウェブ会議に映り込む洗濯物どうするよ
自宅での作業について、社内アンケートでは在宅ワーカーからこんな声も聞こえました。
「ウェブ会議の時、自宅の様子が映り込むのがストレス。後ろに部屋干しの洗濯物が映り込まないように細心の注意を払う」
「業務に集中できるが、集中しすぎて在宅勤務の時の方が残業してしまう」
「家庭との両立がさらに大変になる」
「結局集中できないのでカフェに行く」
悩みの毛色が違うようにも思えますが、これらは「仕事」と「プライベート」の境目が曖昧になってしまうことで生まれるデメリットと言えるでしょう。企業側が作る制度のルールとは別に、在宅ワーカーは一人ひとりが自宅での作業環境を整え、効率よく仕事ができるように工夫する必要があります。
週に一度、在宅勤務をしている「@人事」の編集メンバーは、見える場所に「レスポンスを早く!」という付箋を貼っているそう。「リモートワークだと相手の働いている姿が見えないので、返事が遅れるときちんと仕事していないのではという不安を与える気がして」と、素早い返信を意識しているそうです。
欧米諸国の自宅は書斎がある家が多いそうですが、今の日本の住環境では「会社にきた方が効率よく働ける」という声が根強いのでは。「環境を整えた自社オフィスを使ってほしい」という理由でテレワーク制度を取り入れていない企業もあります。
カフェよりもっと快適な場所が駅にあれば
仕事をする場所問題は、在宅ワーカーより顧客対応が多い外勤職の方が深刻です。外出先で仕事をする「モバイルワーク」もテレワークの一つ。最近ではサテライトオフィスやシェアオフィスを利用する企業も増えてきましたが、多くのビジネスマンは「人の声で集中できない」「機密事項が漏れる心配がある」という課題を抱えたまま、混み合うカフェでパソコンを開いているのが現状ではないでしょうか。
カフェは隣りの目線が気になったり、電話ができなかったり。そんなモヤモヤを抱えていたとき、「時代は『時短』から『時産』へ」のコピーに引かれて参加した記者懇親会で見つけたのが、テレワークのためのコミュニティブース「テレキューブ」です。
見た目はまるで、未来の電話ボックス!屋内屋外どちらにも設置できる防音型のボックスで、内側にはテーブル・イスがあり、電話やウェブ会議も可能。これまでになかった天井密閉型が特徴で、セキュリティが保たれた静かな環境で仕事ができるという、すごい箱です。
家具メーカー「オカムラ」とコラボした椅子は作業しやすく、目の前にはモニターまで。圧迫され過ぎず、広すぎない、ちょうどよい狭さ!
ブイキューブは企業にテレキューブを提供する一方、2018年11月から丸の内のオフィスビルのエントランスに設置して実証実験を開始しました。今年5月からは日比谷、赤坂、青山、横浜にエリアを拡大。7月22日現在では丸の内や大手町、六本木、立川駅、幕張メッセにも設置され、15分250円の利用料金で多くの人が利用しているそうです。
遮断されて分かる、「音」の重要性
このテレキューブの中に入ってみると、確かに音が遮断されて静か。密閉されているものの、換気機能もあるため夏でも快適に過ごせそうです。高見さんは「個人で感覚は違いますが、音が重要だという人は多い」と説明。「@人事」編集部の在宅ワーカーも「他人のパソコンのカタカタという音や会話が聞こえないので、自宅は集中できる」と話します。短時間で成果を出す「時産」が求められるこれからの時代は、在宅勤務でも音のコントロールがカギになりそうです。
8月からはJR東日本がこのテレキューブをベースに独自で開発したSTATION BOOTHをを東京駅、新宿駅、池袋駅にも設置。より多くのビジネスパーソンがこのボックスの使い心地を体験する機会が増えそうです。
電話ボックス、再発見。今後は街のいたるところで?
テレキューブの中に入ったときに思い出したのは、かつて街のどこにでもあった電話ボックス。外部と遮断されたその空間は、自分だけの特別な場所となり、受話器ごしの会話を通じて別の世界につながる感覚……。
高見さんは今後の展開をこう見据えます。「電話ボックス、再発見でしょう? 今後はテレキューブを電話ボックスのように全国に設置し、プラットフォーム化したいと思っています。駅はもちろん、コンビニにも置きたい。そして仕事だけではなく、たとえば英会話レッスンや病院の診療などさまざまなコンテンツを入れていく計画をしています」 。思わず筆者は、ドラえもんの「もしもボックス」のような夢のある未来を思い浮かべてしまいました。
この未来型ボックスをヒントに、最強テレワーカーになるべく、心がけたいポイントを2つあげてみます。
・自宅では「音」を遮断するなど、集中できる空間作りを工夫する
・外出先ではセキュリティ面を考慮し、音漏れしない場所を確保する
テレワークで成果を出す! 最強テレワーカーへの模索はまだまだ続きます。
企業情報
株式会社ブイキューブ
・事業内容:1998年10月
・所在地:東京都港区白金一丁目17番3号 NBFプラチナタワー16階(受付)、17階
・設立:1998年10月
・従業員数:455人(連結社員数、2019年3月末現在)
・HP:https://jp.vcube.com/
<連載>最強テレワーカーへの道
- 第1回:テレワーク「場所がない問題」。未来型電話ボックスが解決
- 第2回:子育てしながらテレワーク、できる?できない? 実践企業に聞く成功の極意
- 第3回:JALも実践。ワーケーション体験してみたら、思いのほか仕事がはかどった話
- 第4回:そのテレワーク、危険!? 専門家とSEが語るセキュリティ対策とは?
【編集部より】
テレワーク・リモートワークの基礎知識、検討に役立つ記事はこちら
- 未経験の人は肯定的? リモートワーク導入前に企業が知っておくべきポイント解説
- 【人材確保】リモートワーク社員との交流のコツと勤怠ツールの活用法
- ニーズが高まる“在宅勤務”。企業は本当に取り入れるべき?
- 【業務ガイド】テレワークとは?メリットと課題、 失敗しないための導入手順を解説
- 【業務ガイド】《2019年最新》国・自治体のテレワーク導入助成金・支援制度まとめ
テレワーク導入に役立つおすすめサービスはこちら
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