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多様な働き方を繋ぐイノベーティブなチームのつくり方:レポート


HRテクノロジーの活用から考えるコミュニケーションと組織作りの在り方

2019.07.12

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元Googleピョートル氏、Google Cloud小林氏、Fringe81田中氏が語る「働き方改革のその先」

2019年4月1日、働き方改革関連法が施行された。企業は義務化された各法制度への対応に追われる一方で、「どのような組織を作れば良いのか」を問われている。厚生労働省は、「『働き方改革』は、働く方々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で『選択』できるようにするための改革」と記述※1。さらに、その実現に向けた取り組みとして「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」「柔軟な働き方がしやすい環境整備」「ダイバーシティの推進」などを例にあげている※2。

2019年2月に開催されたトークイベント「多様な働き方を繋ぐイノベーティブなチームのつくり方~HRテックを活用した組織文化の浸透~」(主催:Unipos株式会社)では、Google出身でプロノイア・グループ株式会社のピョートル・フェリクス・グジバチ氏、Google Cloud Japan G.K.の小林直史氏、Uniposの親会社であるFringe81の田中弦氏が登壇。働き方改革を推進していく企業へのヒントとして、各社が考えるコミュニケーションの在り方やHRテクノロジーの活用例、組織を成長させていくための会社と社員の関係性などについて語った。今回は、テクノロジーを活用しながら従業員同士が互いの多様性を受け入れ、イノベーティブな組織のつくるためにどうすべきかについて3者が語った様子を抜粋して紹介する。【取材:直江あき、撮影:高井直樹】

※1「働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて~」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/000474499.pdf
※2 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322_00001.html

目次
  1. 対等な関係で意見の交換を
  2. 互いを知ることで、社員の満足度も上がる
  3. 移動時間を価値ある時間に変える

対等な関係で意見の交換を

ピョートル氏:
会社という組織において、最も重要なのがチーム作りです。人から認められ、感謝されると、関係性は良くなります。それに伴い、心理的安全性が高まり、建設的な意見を述べることができるようになります。

私はいま、3つの事業を持っています。そのひとつが、プロノイア・グループという組織改革に特化した未来創造事業です。いわゆるコンサルティング事業ですが、「お客様がいない」「営業をしない」という不思議な方針があります。

多様な働き方を繋ぐイノベーティブなチームのつくり方に登壇したプロノイア・グループ株式会社/代表取締役 モティファイ株式会社/取締役・ピョートル・フェリクス・グジバチ氏

「お客様」という呼び方は良くないので、「パートナー企業」と呼んでいます。対等でフラットな関係として、一緒に価値を見出していくという考え方に基づいています。お客様のために頑張るのではなく、パートナー企業と共にプラットホームを作っていくというのが、今の常識です。

営業をしない理由は、ビジネスの多くは口コミで成り立つからです。素晴らしいパートナーと作った価値あるものを世界にもたらせば、おのずと価値は広がっていきます。

ダイバーシティを考えていくうえで大事なのは、周りの人達を承認し、感謝していくことです。感情的な意見の対立を減らして建設的な意見の対立を増やすと、新しい価値をたくさん生み出せるんです。Uniposさんのサービスもまさにそうですよね。

互いを知ることで、社員の満足度も上がる

田中氏:
弊社では、「Unipos」というピアボーナスサービスを開発・提供しています。これは、従業員同士が「ピアボーナス」という少額のボーナスと一緒に、感謝・称賛のメッセージを送り合うサービスです。他の社員に贈るものです。Uniposを贈り合うことで、互いに認め合い、称賛し合う文化が根付き、社員の満足度を高めることに繋がる。「お互いを知る」ことが、働く喜びになるんです。

多様な働き方を繋ぐイノベーティブなチームのつくり方に登壇したFringe81株式会社/代表取締役CEO田中 弦氏

あるホテルの例ですが、お客さんに付き添う従業員の仕事ぶりを、同じ現場で働く同僚は知っています。しかし、社長や経営陣にはなかなか知ってもらう機会はありません。また、同じホテルに勤めているのにもかかわらず、シェフもそのことを知ることはできませんでした。
しかしUniposのようなテクノロジーを利用すれば、お互いの仕事ぶりを知ることが可能になります。

また、お金もただのきっかけに過ぎないんです。例えば、皆さんも同僚や部下にコーヒーをおごったりしますよね。コーヒーを介在して、素直に物事を共有したり、意見を言い合ったりしているんです。
お金を媒介することによって、無数の感謝のメッセージが生まれることを発見しました。Uniposは現在200社以上、2万人以上の方が利用しています。

小林氏:
Googleではピアボーナス制度を導入しています。世界中の社員が並行してさまざまな国、地域で働いているので、同じ場所や会議室に毎回集まるのは不可能です。我々は、クラウドの中にすべての情報を入れて、世界中の社員で共有しています。情報は鮮度が重要です。ですので、個人のPCに溜め込まずにクラウドで公開し、共有する。社内には「リコグニション」という文化があります。つまり、評価をするということです。

例えば、誰かの作った資料を利用し、便利だと思ったら、そのことを伝える。会ったこともないブラジルの人にピアボーナスを贈ることもあります。作業を効率的に進めるために、感謝を伝えることが必要です。

多様な働き方を繋ぐイノベーティブなチームのつくり方に登壇したGoogle Cloud Japan G.K./カスタマーエンジニア 西日本技術リード・小林直史氏

移動時間を価値ある時間に変える

小林氏:
コミュニケーションを取ると、お互いの信頼関係や親近感が非常に高まり、仕事もしやすくなります。しかし、世界中の社員と直接会うことはできません。会議のために移動する時間は、価値ある時間の浪費だと思っています。だから、ビデオ会議を使った働き方に変えていくことは非常に効率的ですね。デジタルテクノロジーを利用し、自分を中心に世界中の会議室に入れる制度を利用しています。

大事なのはコミュニケーションを取ることであって、なるべく多くの時間をコミュニケーションの時間に当てることが大切です。移動時間を減らし、その時間を有効活用しています。

コミュニケーション不足の問題点は、情報が分断化されてしまうこと。皆さんの会社でもなるべく情報の透明化に注目してほしいです。

イベント概要

セミナー「多様な働き方を繋ぐイノベーティブなチームのつくり方」

「多様な働き方を繋ぐイノベーティブなチームのつくり方~HRテックを活用した組織文化の浸透~」
日時:2019年2月26日(火)18:00~20:15
会場:Unipos株式会社(東京都港区六本木3-2-1 住友不動産六本木グランドタワー43階)

登壇者プロフィール

■ピョートル・フェリクス・グジバチ
プロノイア・グループ株式会社/代表取締役
モティファイ株式会社/取締役
ベルリッツ、モルガン・スタンレーを経て、2011年Googleに入社。2015年に独立し、プロノイア・グループ株式会社とモティファイ株式会社を設立。コンサルティング事業や、HRテクノロジーの開発を手掛けている。『0秒リーダーシップ』『世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか』『 世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法』などの著書も執筆。

■小林 直史(こばやし なおふみ)
Google Cloud Japan G.K./カスタマーエンジニア 西日本技術リード
外資系ITベンダーを経て2014年よりGoogleに参画。現在は、Google Cloud 部門にて西日本エリアの技術部門を統括。企業文化の変革やデータ分析に基づいた働き方改革を支援している。

■田中 弦(たなか ゆづる)
Fringe81株式会社/代表取締役CEO
ソフトバンク株式会社、ネットエイジグループ(現UNITED)を経た後、2005年Fringe81を創業。2013年3月マネジメントバイアウトにより独立。

※敬称略
※情報はすべて2019年4月17日時点

【編集部より】
ピョートル氏の講演記事やUniposの導入事例についての関連記事

執筆者紹介

直江あき(株式会社スキマタイズ) 早稲田大学教育学部卒。フリーランスの編集者、ライター、パズル作家。政治記事や少女漫画誌、インタビューなど幅広く執筆。

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