あなたの会社はリファラル採用に向いてる?向いてない?
eNPSでエンゲージメントスコアをハカッてみよう
2016.05.18

こんにちは、株式会社HARESの西村創一朗です。最近の自由研究テーマは「リファラル採用と従業員エンゲージメント、採用ブランドと経営・業績の相関関係・因果関係」です。日曜日の朝、リビングのホワイトボードに書いたり消したりしながらグルグル思考しています。この自由研究に没頭している時間は、家族と過ごす時間と同じくらい、たまらなく幸せな時間です。
ということで、今日は「リファラル採用と従業員エンゲージメント」についてお話します。
リクルーターに求められるのは「ハカる力」?!
『経営戦略全史』『ビジネスモデル全史』といった多数のベストセラーを出し続けている三谷宏治さんという方がいます。プロのコンサルタントであり、MBAで教える先生であり、父親としてPTA会長をやられていた方でもあり、僕が大変尊敬している方です。
その三谷さんは言います。「単なる改善だけでなく、ジャンプ(=イノベーション)が求められる現代で、ビジネスパーソンに一番求められているのは、ハカる力だ」と。
「ハカる力」とは、
1.定性的表現にとどまらず、定量的もしくは具体的使用に落とし
2.大事な要因(だけ)を見定め
3.目的(売上増やブランド向上など)との因果関係を確認する
ことだと言います。
これはどの職業・職種にも言えることで、当然人事・リクルーターにも言えることです。
みなさんはいかがでしょうか。ハカる力、大事にしていますか?
採用難の時代をたくましく生きるには?
有効求人倍率は戦後最高値を記録し採用マーケットは加熱しており、求人広告や人材エージェントは有用な採用手法ですが、それだけでは人材の質・量双方の観点から限界があります。これまでの採用手法での質的量的限界を超えるためのソリューションがダイレクトリクルーティングであり、リファラルリクルーティングです。
日本ではアメリカのように働き手の情報がオープンになっていないですし、見ず知らずの人から声をかけられて応じることに抵抗があるので、人間関係のない状態から直接声をかける単なるダイレクトリクルーティングには限界があります。
だからこそ、「可視化されていないタレントネットワークにリーチする」ことと「転職意欲のない優秀人材のリードを獲得する」という双方の観点からリファラル採用が最良の手法だと考えています。
リファラル採用をはじめる前に覚えておきたい2つの前提
ただ、当然のことながらリファラル採用を成功させるのは簡単なことではありません。
「採用担当ではない現場社員に採用にコミットしてもらう」
というこれまでにはない行動を喚起するのは、大変に決まっています。過去慣性、現状維持バイアスが働き、必ず抵抗が起こります。動き始めの瞬間が一番摩擦係数が高いんですよね。その初期抵抗を目の当たりにすると「やっぱりリファラルなんてうちの会社に合わないんだ」と多くのリクルーターが諦めてしまいます。
大切なのは「初期抵抗は必ず起こるもの」「リファラルリクルーティングの成果は遅れて現れる」という前提です。 つまり、初期抵抗があろうとも、なかなか成果が出なかろうとも、「そもそもリファラルリクルーティングとはそういうものだ」と認識した上で、継続し続けることが大事なのです。
エンゲージメント測定が、リファラルリクルーティングの第一歩。
しかしながら、初期抵抗もあって、なかなか成果が出ないとなると落ち込んでしまいますし、継続できないというのが人間の性です。ダイエットのために必死に運動してるのに、全然体重が落ちなかったら凹みますし、やる気がなくなりますよね。
そういう状況下で「信じてやり続ける」ためには、「信じられる何か」が必要です。「信じられる何か」の中で最も有効なのは、データ・数値です。
リファラルリクルーティングの前提には、従業員のエンゲージメント(Employee Engagement)があります。Employee Engagementとは、「社員の企業に対する関与の度合いと、仕事に対する感情的なつながりを表現するものであり、社員が組織とその目標に対して入れている感情的なコミットメント」のことを指します。エンゲージメントがなければ、自分の大切な知人・友人に自社で働くことを勧める気持ちには到底なれませんよね。
そしてこのエンゲージメントを定量的にはかる手法こそが、eNPS(employee Net Promoter Score)です。
*eNPSについて
参考:従業員満足度の向上はESからeNPSへ – NPSリサーチ(eNPS) – NTTコム リサーチ
数字に基づく根拠から、原因を追求
僕が自社の採用担当に着任して、リファラル採用プロジェクトの立ち上げにあたり、まずはじめに着手したのがeNPSを活用したエンゲージメントスコアの可視化でした。理由はシンプルです。
これまで、自社のキャリア採用では二度リファラル採用にチャレンジし、二度失敗していました。その理由は、
1.そもそもエンゲージメントスコアが低い(勧めたいと思える会社じゃない)
2.エンゲージメントスコアは高いが他に要因があって上手くいっていない
のいずれかをはっきりさせたいと思ったからでした。
そこで昨年8月に、1分で終わる簡易サーベイを全社に発信。サーベイの内容は極めて簡単で、「自社で働くことを自分の知人や友人に勧めたいと思いますか? 0点〜10点の11段階で回答下さい」という質問と、その理由についてフリーコメント(任意)を記入してもらうというものでした。
サーベイの結果、任意アンケートにも関わらず1000件近くの従業員の回答が集まり、「業界平均より30pt以上高いスコアが出た」のです。
このスコアを目にした僕は、大きな自信と責任を感じました。リファラル採用がうまくいかないのは、「エンゲージメントスコアが低いこと」ではなく、「エンゲージメントスコアは高いが、『紹介したい』という気持ちを最大限活用できていない仕組みに問題がある」ことが明らかになったのです。
このデータと、フリーコメントにある定性データを目にした僕は大いなる自信を手にしたとともに、高いエンゲージメントスコアを生かすも殺すも自分次第という責任を感じました。その後、同年9月からリファラルリクルーティング活動を開始。11月の末頃まで全然成果が出ずともめげずに続けられたのは、間違いなくこのデータがあったからです。
ダイエットしたいのなら、まずは体重計に乗ろう
ということで、「ダイエットしたいのなら、まずは体重計に乗ろう」ということが、リファラル採用をやり続けてきた中で見えてきた結論の1つです。
・リファラル採用をはじめてみたがなかなかうまくいかない…
・リファラル採用をはじめることになったが何から始めたら良いのかわからない
ということで悩んでいる方は、手法はなんでも良いのでまずはエンゲージメントスコアを可視化することからはじめることをお勧めします。スコアが高ければ、後はやるだけですし、スコアが低ければそもそもリファラル採用をやる前に、Employee Engagementを高めることに専念すべきでしょう。
そしてリファラル採用に取り組み続けることで得られる効果は実はひとつではありません。従業員の一人当たり生産性を上げる、顧客のロイヤリティがアップして業績アップにつながっていく、とも考えているので、ぜひまた別の機会に。
執筆者紹介

西村創一朗(にしむら・そういちろう) HRイノベーター/複業研究家。1988年、神奈川県生まれ。首都大学東京法学系を卒業後、2011年に新卒で株式会社リクルートキャリアに入社し、法人営業、新規事業企画、人事採用を歴任。本業の傍ら「二兎を追って二兎を得れる世の中をつくる」をビジョンに掲げ、2015年に株式会社HARESを創業。2016年末にリクルートキャリアを退職し、独立。 プライベートでは三児のパパ。NPO法人ファザーリングジャパン理事。週末は地域の少年サッカークラブのコーチも務める。2017年9月より「我が国産業における人材力強化に向けた研究会」(経産省)の委員を務める。
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