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コラム

弁護士による企業がとるべき法的対策解説


企業も従業員も得をする、新しい「副業規定」のあり方とは【弁護士が解説】

2019.07.02

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「副業を認めない」姿勢が企業イメージを損なう可能性も

2018年毎日のように聞かれた言葉に副業解禁がありました。これは働き方改革のひとつとして政府が2018年1月に『副業・兼業の促進に関するガイドライン』を発表し、公式に副業を推進したことがきっかけです。多くのメディアでは2018年を副業元年と呼び、様々なノウハウが特集されました。

副業容認は、収入の増加をはじめキャリア形成やスキルアップなど、労働者の自己実現を可能にします。また、企業にとっても優秀な人材の確保、離職抑止など、本来メリットはたくさんあるはずです。むしろいまどき副業を禁止していることで、「体質が古い」「従業員の自由を侵害している」など、企業のイメージを損なうリスクがあるかもしれません。

本音では副業を認めたくない・・・しかし、副業禁止をうたう就業規則に法的拘束力はない!

ではなぜ、企業は従業員の副業を厭うのでしょうか。まず、本業と副業の労働時間管理・把握がわかりにくくなるという、勤務管理上の問題が挙げられます。また他社への情報漏えいやノウハウ流出を懸念する、機密保持上の問題点もあります。

ほかにも「副業の内容によっては自社の信用・イメージ低下するのではないか」「競合他社で働かれてしまうのではないか」などの不安や、また、この間まで終身雇用制があたりまえだった日本では、「副業にうつつを抜かさず、本業に専念してほしい」という価値観も、本音として根付いていると思われます。

こうした理由から、就業規則での副業禁止は依然多いままなのですが、実は企業が副業を一律に禁止することは法的には無効です。従業員が勤務時間以外のプライベートの時間をどう使うかは基本的に社員の自由であり、企業は原則としてそこに干渉することはできない、と裁判所も判断しています。つまり、時代の流れもさることながら、企業はいつまでも法的に無効な副業禁止を続けるわけにはいかないのです。

「一律禁止」ではなく「限定的な禁止」でリスク軽減 老後2,000万円問題に備える、自由な働き方を

CREATOR: gd-jpeg v1.0 (using IJG JPEG v62), quality = 100しかし、裁判所の判断は、あくまでも「副業を一律に禁止することが法的に無効」というだけです。副業を禁止する合理的な理由があれば、その範囲での禁止は法的に有効だと判断しています。

では、この裁判所の判断に沿う形で、つまり法的に有効な内容で、企業が副業に関する就業規則の規定を改定するには、どうすればいいのでしょうか。厚生労働省が2017年12月25日に公開したモデル就業規則に、その解決策があります。

第67条(副業・兼業)

1.労働者は勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2.労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。
3.第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することがきる。

(1)労務提供上の支障がある場合
(2)企業秘密が漏洩する場合
(3)会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
(4)就業により、企業の利益を害する場合

*以上、『モデル就業規則改定(案) (副業・兼業部分)』より、ナンバリングを改変

順番に解説していきます。

1項

まず 1 項ですが、副業は自由である(社員が勤務時間以外の時間をどう利用するかは社員の自由である)ことが明示されて います。

2項

次に 2 項ですが、副業を認める場合、それが本業に支障をきたしたり、企業秘密の漏洩を招くものでないか等を確認するため、 事前に届出を行わせるようにしています。

3項

そして 3 項ですが、裁判所でも認められた、社員の副業を制限できるケースが列挙されています。 どうでしょう、シンプルですが、この規定なら法的に有効ですし、副業に関する企業の懸念は手当されています。この規定を参考 に就業規則を改訂して、今の時代に企業に求められる副業に対する姿勢を社員に示して行くのが良いでしょう。

一律に禁止を謳うのは、企業体質が旧態依然であることを公言し、ブランドを損なうことに繋がりかねません。働き方改革の意識が根付いた若い世代から敬遠され、採用や定着率向上に影響するリスクもあります。

人生100年時代が到来し、最近では金融庁が発表した『老後2,000万円問題』も大きな波紋を呼んでいます。労働者が1 つの企業に依存しない“令和の働き方”を実現するためにも、企業の就業規則もどんどんアップデートしていきましょう。

弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 概要

法人名: 弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所(第一東京弁護士会)
代表弁護士: 藤井 総、小野 智博(共同代表制)
所在地: 東京都千代田区丸の内 1-8-3 丸の内トラストタワー本館 20 階
電話: 03-4405-9708
設立: 2015 年(2018 年に現事務所名に変更)
ホームページ: IT 弁護士.com  https://itbengoshi.com/
事業内容: IT 事業に特化した企業法務顧問業
オウンドメディア: IT 弁護士 MEDIA  https://media.itbengoshi.com/

【この記事は2019年6月21日発表の弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所のリリース記事を一部編集して公開しています】

執筆者紹介

藤井 総(ふじい・そう)(弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士) 「世界を便利にしてくれるITサービスをサポートする」ことを使命(ミッション)に掲げ、ITサービスを運営する企業に法務顧問サービスを提供している。 顧問を務める企業は2019年現在で70社以上。契約書・Webサービスの利用規約(作成・審査・交渉サポート)、労働問題、債権回収、知的財産、経済特別法など企業法務全般に対応している。

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