人事のキャリア【第20回】
人事が経営を握る。“バランス感覚”を重視した戦略人事へ(ヤマウ・永峰幸侑さん)
2019.06.14
さまざまな業種の人事担当者に、これまでのキャリアや仕事のやりがいについてインタビューする連載企画「人事のキャリア」。今回はコンクリート製品の製造・販売を担うヤマウ(福岡市)の永峰幸侑さんにお話を伺いました。
大学卒業後は求人広告会社の営業職に就いていた永峰さんですが、学生時代に培った人材開発の知識と経験から人材の教育・育成に興味を持つようになり、転職後は人事としてキャリアを重ねていきます。現在はヤマウの人事グループ課長として、人事考課などの制度の体系化を中心に、人事・採用に関わる業務全般を担っています。【取材・文・撮影:編集部】
永峰幸侑(ながみね・こうすけ)
大学卒業後、ディップ株式会社へ入社し、東京で求人広告の営業に従事。その後、株式会社ウィルPMインターナショナルに転職し、人事コンサルタントの経験を経て、2015年に福岡へのUターンを機に人事職採用で株式会社ヤマウへ入社。2017年4月、中途社員最短の入社2年半で人事グループ課長に就任。現在は、採用や社員の研修・教育、人事考課の評価などを一手に担う。
永峰さんのキャリアアップポイント
・すべての経験を無駄にせず、気付きや学びを次の仕事に生かす。
・社内だけでなく社外にも目を向け、資格を取得するなどアウトプットの質を高める。
・俯瞰的な視点を養うために、日々バランス感覚を磨く。
広告営業を経て会社経営を支える人材教育の道へ
―これまでの経歴を教えてください。
大学卒業後は求人広告を扱うディップへ入社し、東京で営業を行っていました。当時、お客さまから追加発注をいただく理由の多くが、「せっかく採用しても辞めていく」「人が定着しない」だったんです。そこで、会社の成長には人材を離職させないことが大切なのだと実感しました。
また、学生時代にNPOで人材開発に携わっていて、もともと人材教育には興味がありました。一度、営業に就いたことでブランクはあったんですが、やはり人材教育に携わりたい思いが強くなり、人事系コンサルのウィルPMインターナショナルに転職しました。
そこで1年間、人事コンサルタントとして活動。その後、グループ企業の学習塾への転籍がありました。小さな会社のため、何でも屋のように採用や教育など人事業務全般に(断片的ですが)関わることができました。そこで実感したのが、社員の教育体制やそこに付随する体制づくりを制度としてしっかりとやっていかないと、社員がみんな疲弊してしまうことでした。そして、社員の疲弊はそのまま、お客さまに提供するサービスの低下につながることも……。
その後、Uターンで福岡に戻ってきたのが2015年。次は労務をはじめこれまで経験の少なかった業務にも携わりたいと、トータルで会社の経営をサポートできる人事をやってみたいとヤマウに入社しました。
―さまざまな企業がある中で、人事のキャリアを開拓する場としてヤマウを選ばれたのはなぜですか。
他にもいろいろな企業の面接を受けていたんですが、どこも今あるものを丁寧にオペレーションしていく業務を任せる方針でした。
これまでの仕事はどちらかといえば、ゼロから企画し運用するところまで携わることが多く、一気通貫してやれることにやりがいを感じていました。それを今度は上場企業でやれる点に魅力を感じたこと、社長の思いに共感したことが、ヤマウへの入社を決心した理由です。
当社は土木系の企業で、高度経済成長とともに右肩上がりで伸びていたのがバブル崩壊後、公共事業が縮小されたと同時に失速してしまい、銀行の支援を経て再生した歴史があります。そのため、教育や採用に関して、15年ほどの長い空白期間がありました。新卒を採用していない年もありました。私が入社した頃は、会社がようやく立ち直って、これから世の中に打って出ようとするところだったんです。
入社時の面接の際、経営陣や社長からこれからの会社に対する思いを聞きました。今後、会社を成長させていくには、なかなか手をつけられていなかった採用・教育などの見直しが非常に大切だということ。ただ、五月雨式にいろいろとやってはいるけれども、まだ体系立てて制度などを整備できていない実情も正直に教えてもらいました。
だからこそ自分のような人材が欲しいんだと理解できましたし、話を聞いて、率直にここで勝負してみたいと思いました。
採用は会社の未来を切り開く明るい仕事
―現在は主にどのような業務を担当されているのでしょうか。
採用、研修、教育、あとは人事考課などの評価と、ちょっとした労務がメインの仕事です。給与計算や社会保険に関する業務以外は丸ごと任せてもらっている形ですね。新卒採用は、もう1人の人事の社員と2人で説明会から一次面接までを。中途採用は、すべて私1人に任せてもらっています。
全社的な研修・教育は、正直なところまだなかなか体系立てて実行できていない部分があります。その中で、新入社員研修は私が社内講習を担当しています。新卒採用から携わっていることもあり、採用と研修を連動させているんです。
例えば、メンバーの採用時の雰囲気を見て、講習の内容や進め方を決めます。当社を見つけてもらって、口説き、入社後の研修で社会人としての基礎を学んでもらって現場に送り出すところまで、しっかりと携わるようにしています。
―採用全般に関わられているとのことですが、採用する人材はどのように見極めているのでしょうか。
大学で学んだことが実務で役立つようになるのって、実は入社してからだいぶ先のことなんですよね。ですから、新卒採用のときにはまず、「素直に話が聞けること」「知的好奇心があること」、もう1つは、当社の平均年齢が46歳と年齢層に幅がある会社なので、「どのような世代とも渡り合えるコミュニケーション能力があること」などを重視しています。
“渡り合える”とは、会社の慣習や風土に染まってしまうことではありません。自分の仕事を、「良いものは良い、変えたいものは変えたい」と意思を持って進めていくことです。「馴染めるけど染まらない人」は、すごく意識していますね。
ただ、そういう人材をなかなかファーストインプレッションだけで見抜くことはできないため、企業説明会時に行う座談会に参加していますし、一次面接でしっかりと話し込むことも意識してやっています。
一次面接は私が1人で担当していて、一対一で1時間、長ければ1時間半くらい話すこともあります。実は、私が採用を任される以前は、採用担当者による一次面接がなかったんです。面接の回数を増やすことは時代には逆行しているかもしれませんが、自社に合った人材を採用するスクリーニングの意味で、一次面接は非常に重要だと私は考えています。
数十年先の未来から今を考える、パズルを組み立てるような戦略的人事
―2015年には課長に昇進され、周りからの期待や責任も大きな立場だと思いますが、どのような目標を掲げて日々の業務に取り組まれていらっしゃるのでしょうか。
現在任せてもらっている人事改革の1つ「人事考課」を、現場と対話しながら、より公平性・納得性のあるものにしっかりとつくり上げていきたいのが目下の目標です。
人事考課は、あくまで人事制度の土台の一部でしかありません。しかし、人事考課という評価の基準がなければ、従業員一人ひとりのミッションも明確にならないし、人材活用も進みません。
こちらは会員限定記事です。
この記事の続きを読むには、@人事へのログインが必要です。
{{error}}
会員登録がお済みでない方は
こちらから登録を行ってください。
@人事では『人事がラクに成果を出せるお役立ち資料』を揃えています。
@人事では、会員限定のお役立ち資料を無料で公開しています。
特に人事の皆さんに好評な人気資料は下記の通りです。
下記のボタンをクリックすると、人事がラクに成果を出すための資料が無料で手に入ります。
今、人事の皆さんに
支持されているお役立ち資料
@人事は、「業務を改善・効率化する法人向けサービス紹介」を通じて日本の人事を応援しています。採用、勤怠管理、研修、社員教育、法務、経理、物品経理 etc…
人事のお仕事で何かお困りごとがあれば、ぜひ私達に応援させてください。
「何か業務改善サービスを導入したいけど、今どんなサービスがあるのだろう?」
「自分たちに一番合っているサービスを探したいけど、どうしたらいいんだろう?」
そんな方は、下記のボタンを
クリックしてみてください。
サービスの利用は無料です。
関連記事
-
企画会員限定
人事のキャリア【第19回】
急速に新規出店を進めるコンビニで採用の在り方を改革(セブンイレブン-ジャパン・長井由衣さん)
さまざまな企業の人事担当者に、仕事のやりがいやキャリアについて聞く「人事のキャリア」。今回は、セブンイレブン-ジャパンの長井由衣さんに話を伺いました。「セブン-イレブン」といえば、...
2019.05.13
-
企画会員限定
人事のキャリア【第18回】
学生と広島の未来を照らしたい。営業から転身した人事の思い(一条工務店広島・川内涼さん)
さまざまな企業の人事担当者に、仕事のやりがいやキャリアについて聞く「人事のキャリア」。今回は大手ハウスメーカー、一条工務店グループの一条工務店広島で人事を務める川内涼さんに話を伺い...
2019.05.09
-
ニュース・トレンド
「HOT×LOCAL×HR 2019」レポート前編
【地方×HR】採用目的のインターンは捨てるべき。「地方の色はいらない」人気インターンから見えた学生を集めるシンプルな法則。
「地方の抱えている問題は企業の抱えるHRの問題に通ずる」。主催のチカイケ秀夫氏(パーソナルベンチャーキャピタル代表)はそんな危機感を抱き、地方HRを盛り上げるため、HRのSNS界隈...
2019.03.25
-
企画会員限定
人事の10分読書vol.37『図解 「いいキャリア」の育て方』
@人事が、本の要約サイト「フライヤー」とコラボし、人事のスキルアップにつながる書籍の要約をお届けする連載企画「人事の10分読書」。第37回は、青田努氏の著書『図解 「いいキャリア」...
2024.03.21
-
企画会員限定
人事の10分読書vol.36『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』
@人事が、本の要約サイト「フライヤー」とコラボし、人事のスキルアップにつながる書籍の要約をお届けする連載企画「人事の10分読書」。第36回は、石角友愛氏の著書『AI時代を生き抜くと...
2024.02.20
-
PR企画
エントリー数前年比1.6倍、内定承諾率が大幅改善 。「note pro」がいま採用担当者に選ばれる理由とは?
採用市場では応募者数の確保や内定者のフォローが大きな課題の1つになっている。そうしたなか、採用サイトではないメディアプラットフォーム「note」の法人向け高機能プラン「note p...
2024.02.05
あわせて読みたい
あわせて読みたい
人気の記事
-
プレスリリース国内・海外ヘッドライン
株式会社futurelabo
244の新卒採用サービスを独自にマッピング。「新卒向けサービス・カオスマップ 2024年 上半期版」を公開
-
ニュース・トレンド
イベントレポート|Unipos「2024年新春特別ウェビナー」前編
人手不足時代を乗り越えるために。人的資本経営のベストプラクティスを探る
-
ニュース・トレンド企画
25卒採用トレンド、動向まとめ
【25年卒採用】企業規模に関わらず企業側は高い採用意欲が継続。「採用3.0」のトレンド到来、AIを活用した採用手法が浸透するか
-
PR企画
バックオフィスDX時代の旗手に聞く
マネーフォワードのAI活用を加速させるChatGPTの魅力とは
国内・海外ヘッドライン
THE SELECTION
-
PRTHE SELECTION企画
「置き型健康社食」がもたらす可能性とは
健康経営、採用強化、コミュニケーション活性化にも。 手軽に導入できる「食」の福利厚生
-
PRTHE SELECTION企画
街なかの証明写真機「Ki-Re-i(キレイ)」で、もっと社員の顔写真管理をラクに
社員証の写真、「最適化」できていますか? チーム力を強化する顔写真データ活用法とは
-
THE SELECTION特集
【特集】ChatGPT等の生成AIが一般化する社会で必須の人材戦略・人的資本経営の方法論
-
THE SELECTION企画
レポートまとめ
@人事主催セミナー「人事の学び舎」 人事・総務担当者が“今求める”ノウハウやナレッジを提供
-
THE SELECTION特集
特集「人手不足業界の逆襲」~外食産業編~
「見える化」と「属人化」の組み合わせが鍵。 丸亀製麺が外食業界を変える日
-
THE SELECTION特集
人事のキーパーソン2人が@人事読者の「組織改革」の疑問に答えます(第2弾)
数値化できない部署を無理に人事評価する方が問題。曽和利光×北野唯我対談
-
THE SELECTION会員限定特集
働きやすい職場づくり~サイバーエージェント編
「妊活支援」や 「働くママ・パパ支援」を、 一部の社員のものにしないためには?