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企画

人事のキャリア【第21回】


採用は会社の心臓部。走り続けながら、考え続けて「働く喜び」を生み出したい(スタートライン・平林千加さん)

2019.06.28

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さまざまな業種の人事担当者に、これまでのキャリアや仕事のやりがいについてインタビューする連載企画「人事のキャリア」。今回は障がい者雇用支援サービスを提供するスタートライン(東京都三鷹市)で採用チームリーダーを務める平林千加さんにお話を伺いました。

スタートラインはこの2年で社員数が約2倍に増えた急成長企業。平林千加さんはこれまで同社を含む4社で一貫して採用領域を担当してきた経験を生かし、新しい採用手法を取り入れながら日々奔走しています。【取材:2019年4月22日】

平林 千加 (ひらばやし・ちか)

新卒で大手アパレル企業へ入社。主に新卒採用担当として1,000人規模の採用業務に携わる。転職したアパレルベンチャー企業にて新卒採用の立ち上げのほか、障がい者採用および雇用管理、社員教育などを担当。その後、ITベンチャー企業での採用責任者を経て2017年3月に株式会社スタートラインへ。新卒・中途採用、広報を経験し、現在は採用責任者を務める。

平林さんのキャリアアップのポイント

・経営陣の社員に対する思いに共感して転職
・理念を可視化し、人材の選考軸のベクトルを明確に
・失敗も次に生かす。仕掛け続けて急成長企業を支える

目次
  1. 2年で社員数2倍。急成長する会社の文化を自分もつくっていく
  2. 理念を可視化。スキルより共感を優先した選考軸に
  3. 新しい手法も取り入れ、当たらなくても仕掛けは続ける
  4. 多様性に富む地域社会での交流が「人好き」のルーツ
  5. 平林さんのある日のスケジュール
  6. 平林さんの年間スケジュール

2年で社員数2倍。急成長する会社の文化を自分もつくっていく

──新卒以来、ほぼ人事一筋のキャリアなんですね。

はい、そのほとんどで採用に関わっています。1社目はアパレル業界で、入社1年目に販売職を経験したのですが、周囲から「人事に向いているよね」と言われて2年目から人事へ。アパレルベンチャー企業へ転職し、障がい者雇用の立ち上げ担当になったとき、スタートラインの障がい者向けサテライトオフィスサービスを、クライアントとして利用しました。サービスの利用者側として、今では上司になった弊社の役員と初めて会ったのが約8年前です。障がい者雇用の立ち上げということもあり、採用から職域開拓、業務フローの構築や雇用管理に至るまでコンサルティングをしていただきながら、飲みに行くこともしばしば。仕事以外のコミュニケーションも含めてさまざまなお話をさせていただいたのが最初のご縁ですね。

2社目で3年ほど新卒・中途含めた採用担当を経験した後、社員教育・育成チームへ異動しました。異動後も、スタートラインの社員さんとは時々飲みに行っていました。当初は仕事上の相談でしたが、次第にクライアントではなく一社会人として相談に乗っていただけましたね。そんな機会が10回以上はあったでしょうか。そのうち、役員の社員に対する熱い思いに共感し、「こんな経営者と一緒に仕事をしたい」と思ったことがきっかけで入社に至りました。人事のキャリア・平林さん

──これまでの会社とは何が違ったのですか。

社員への接し方や距離感は、経営につながっていると思います。一人ひとりの特性、強みも弱みも、経営者側が理解していて、「いいところを伸ばしていこう」という考え方に共感しました。障がい者雇用支援という業務の難しい部分ももちろん理解した上で組織を作り上げている、その姿を一個人として目の当たりにしてきました。

実は今の会社が4社目で、その直前にはスピード感のあるベンチャー企業で人事をしていたんです。「もう少し、一人ひとりのキャリアとじっくり向き合って仕事をしたい」と思ったことも、今の会社への転職につながっています。

これまでと業務への携わり方も違います。アパレルとは採用する人材像の違いがあるのはもちろん、経営との距離感が一番違いました。経営企画部に属する採用チームは常に経営と向き合い“人材採用”を考えます。新規事業立ち上げや今後の組織を想定し、キャッチアップしてスピーディーに動いています。

理念を可視化。スキルより共感を優先した選考軸に

──一気に採用人数が増える中、どのような工夫をしましたか。

スタートラインは現在150人ほどの社員数ですが、私が入社したときは60人ほど。2018年は新卒・中途合わせて1年で50人もの採用を行い、私はほぼ全員の面接に立ち会いました。採用チームは当時私を含めて2人だったので大変ではありましたが、大切にしたのは目標人数を追うということ以上に、「弊社のバリューに合致する人」を徹底して見極めること。どれだけ能力が高くても弊社のバリューにフィットしない人は「うちでは活躍できないかな」と判断することもありました。

そのバリューの基になるのは弊社の理念・ビジョンですが、実は17年の冬に「改めて可視化しよう」ということになったんです。これまで経営陣が社員にしてきた話や根付いている文化を整理し、私自身が「理念・ビジョン・バリュー」の文面を作りました。思いや価値観を可視化したことでベクトルが明確になりましたね。ここまで任せていただけたのは初めてでしたが、おかげで私自身もぶれずに選考を進められたと思います。

新しい手法も取り入れ、当たらなくても仕掛けは続ける

──採用手法について教えてください。

採用の大部分はサテライトオフィスでの障がい者雇用支援コンサルタント職です。拡大に伴い、現場では「一日でも早く来てほしい」というギリギリの状況が続いた時があったので、いかに早く、最適な方を引き合わせていくかがポイントでした。

現在は複数の媒体をはじめ、いろいろな手法を試していますね。正直に言って「全然当たらなかったな」ということもありますが、ストップするわけにもいかない。これまでの経験上、大事なのは「走り続けながら、考える」こと。私の仕事のやり方でもありますね。走りながら、PDCAを回す。

正直“Do”の部分に集中し過ぎていたこともあり……(笑)。上司を心配させることもありました。今でこそ「平林が言うなら」と裁量を持たせていただき、チームの責任者を任せてもらえています。その期待に応えられるよう、今まで以上に結果を出せるプランニングと、人材面で経営を達成させる実行部隊となるよう、日々取り組んでいます。

人事業務の中でも重要視すべきなのが採用だと考えます。社のバリューに合致する人材をいかに採用するかが経営の達成に直結しますし、最適な配置ができれば自発的にパフォーマンスを発揮してくれます。もしうまくいかなかった場合、育成や制度に工夫を凝らす必要が出てきます。

そういう意味で採用は心臓の役割になると思っているんです。止まってしまうと、採用計画に遅れが出てしまう。事業の成長を止めてしまうことにもつながります。じっくり考える時間も大切ですが、仕掛けは止めずやり続ける。今、必要なことはなんだろう? と常に考えています。媒体を活用しつつも、媒体に頼らない採用手法を模索しているところです。人事のキャリア_スタートライン平林さん看板前

──長く採用に関わられていますが、時代の変化をどのように感じていますか。

新卒・中途含め、やりがいや社会貢献を意識している人が増えたという印象はあります。説明会や面接では、会社の事業内容や職種だけではなく、「人」を見に来ているな、と感じますね。社風や社員の雰囲気を重視して「自分の価値観に合う会社で働きたい」という人が多いのではないでしょうか。弊社の魅力も「人」だと思っています。特に新卒採用では、会社説明会は小規模で行い、学生と合いそうな現場の社員をアサインしてじっくり話してもらう機会を作っています。今後は、学生から見てロールモデルになるような社員の発信をもっとしていきたいと思っています。

就活や転職は、一人ひとりの人生の転機。価値観や今後のキャリアプランなど、お互いが理解できる状態を作り、入社していただきたいと思っています。

多様性に富む地域社会での交流が「人好き」のルーツ

──とても楽しそうにお仕事について語られますね。

もともと、人と深く向き合うことに違和感がないというか、好きでしたね。地域活動が盛んな東京の下町育ちでして、幼少期から老若男女いろいろな年代の人と触れ合う機会がありました。10代~80代までが一緒になってお祭りに参加して、つくり上げていく。地域社会で模擬的な会社を経験していたように思います。そこには縦の序列もあり、横の連携もあり、伝統的なしきたりもありながら、新しいやり方も生まれていきます。子ども心にいろいろ学びながら、すごく楽しかった。どんな相手でも深く知りたい、関わってみたい、と思うのはそんな環境も影響していると思います。生まれ育った地域での生活は今も私のパワーの源です。

弊社が必要とする人材の要素としては、企業と障がい者の真ん中に立ち、いかに障がい者の本来の能力を「伴走者」として引き出せるか、企業の発展と人が成長することを望む心を持てているか。そしてそこに主体性や行動が加わっているかどうか、です。「可能性をつくるきっかけづくり」という人事の採用担当が持つ醍醐味を、本業でも存分に感じられています。スタートライン平林さん_笑顔

──これからの夢を教えてください。

採用担当が長いので、これからは領域を広げつつ新しい制度作りにどんどんチャレンジしていきたいですね。今はリファラル採用を強化し、活性化させることが課題です。私もいわば、リファラル採用で入社しています。制度はその会社に合っているかが重要ですが、リファラル採用は弊社の社風に合っていると考えます。

採用が事業に直結する分、日々ヒリヒリしながらやっている一方でやりがいを感じています。障がい者が働きやすい会社は、誰もが働きやすい会社のはず。弊社が目指す「関わるすべての人に働く喜びを」の実現、その仕組みづくりの入り口として採用担当でしかできない形で貢献できたらと思います。

【取材・編集:@人事編集部 飯塚陽子】

※情報は2019年4月22日取材時点

平林さんのある日のスケジュール

スタートライン平林さん上半身

6:00 起床。朝食
7:30 出社。会社のある三鷹へ向かう電車は空いていて快適に出社できる。読書、採用関連ニュース、SNSなどからの情報収集に時間をあてている
8:30 メールチェック、タスク整理
10:00 部下と、現状の採用進捗や今後トライしてみたい採用コンテンツについてMTG
12:00 昼食。他部署の社員も誘ってランチへ。ざっくばらんにお話しながら情報交換
13:00 新卒面接。新卒採用では二次面接を担当。形式的な面接というよりも、学生と本音で話し当社の軸に合うのかを一緒に見つけていく
16:00 中途面接。中途採用では必ず一次面接へ入り、その後現場へつないでいく
19:00 翌日の予定とタスクのチェック
20:00 帰社。早く帰れる日は、上司や部下と飲みに行くことが多い。会社の中だけでない、コミュニケーションを大切にしている
23:00 帰宅
0:00 就寝

平林さんの年間スケジュール

スタートライン_年間スケジュール※スケジュールは2019年6月記載時点

企業情報

株式会社スタートライン
・事業内容 法人向け各種障がい者雇用支援サービス、研修・セミナーの実施
・所在地:東京都三鷹市上連雀1-12-17 三鷹ビジネスパーク1号館3F
・設立:2009年12月15日
・代表:西村 賢治
・従業員数 155名※2019年6月現在 
・HP:https://start-line.jp/

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【参考】「人事のキャリア」シリーズ一覧


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