パーソルキャリア調べ
入社前後の「ギャップ」を感じる若手社員は約8割 3年以内の早期離職に影響
2019.05.22
パーソルキャリア(東京・千代田)とパーソル総合研究所(東京・港)は5月22日、「就職活動と入社後の実態に関する定量調査」の結果を発表した。
同調査によると、入社後に何らかのイメージギャップ「リアリティ・ショック」を抱える社会人は76.6%に及び、ギャップの大きさは、3年以内の早期離職に影響することが分かった。以下、リリースより。
調査結果概要
【1】就職活動生の多くは、働くことを「楽しみたい(79.3%)」「仕事を通じて成長したい(86.2%)」と考えているが、入社後には多くが実現できておらず、入社前の期待と入社後の実態に大きなギャップがある。働くことを楽しめている社会人(入社1~3年目)は35.3%に留まる。成長を実感できている社会人は64.6%。
【2】入社後に感じる何らかのイメージギャップ「リアリティ・ショック※1」を抱える社会人は76.6%に及ぶ。
【3】「リアリティ・ショック」の程度が高い層と低い層を比較すると、内定承諾直後の時点では会社に満足と回答する人の割合は同程度の70%台。しかし、「リアリティ・ショック」の高い層ではその後、会社に満足と回答する人の割合は5分の1程度に急減し、入社1~3年目の間、10%台で低迷する。「リアリティ・ショック」が大きいと、3年以内の早期離職に影響することが判明した。
【4】「リアリティ・ショック」を防ぐには、「入社前の会社・適性理解※2」をいかに高めるのかが重要となる。そのために、以下2つの点がポイントになる。
Point.1)就職活動への意識として「多くの人から話を聞くこと」が「入社前の会社・適性理解」を促進している。
Point.2)将来の「やりたいこと」の決定時期が遅いと、「リアリティ・ショック」「入社前の会社・適性理解」のいずれにもネガティブに影響を与えている。自己学習や豊かな人間関係を築く意識が「やりたいこと」の
決定を促す要因となっている。
【5】新就職活動ルールを巡る議論について、「自分に関係がある」と思う大学1~2年生は65.5%。一方で、「その内容を知っている」と答えた大学1~2年生は33.8%に留まり、不安を感じている人も68.3%にのぼった。
(2019年2月現在)
※1 リアリティ・ショック :入社前に抱いていた企業や組織の状況・人間関係・待遇などについてのイメージ/想定と、入社後のそれらの実態
に乖離を感じること。
※2 入社前の会社・適性理解:企業や組織の状況・人間関係・待遇、求められる能力やそこに対する自己の適性などについての、入社前の理解。
※3 本調査を引用いただく際は出所を明示してください。(記載例:パーソル総合研究所×CAMP「就職活動と入社後の実態に関する定量調査」)
調査結果
【1】就職活動生の多くは、働くことを「楽しみたい(79.3%)」「仕事を通じて成長したい(86.2%)」と考えているが、入社後には多くが実現できておらず、入社前の期待と入社後の実態に大きなギャップがある。
働くことを楽しみたいと思っている学生が79.3%に及ぶのに対し、実際に楽しめている社会人(入社1~3年目)は35.3%に留まることが判明しました。この差は44.0ポイントと大きなギャップが存在しています。さらに、「いつも」働くことを楽しめている層はわずか5.8%しかおらず、1割に満たないことが分かりました。
また、仕事を通じて成長したいと思っていると回答した学生が86.2%もいるのに対し、成長を実感できている社会人は64.6%という結果になりました。
【2】入社後に感じる何らかのイメージギャップ「リアリティ・ショック」を抱える社会人は76.6%に及ぶ。
報酬・昇進・仕事のやりがい・働きやすさなど、入社前に抱いていた企業や組織に対する何らかのイメージと入社後のイメージとの乖離を感じる新社会人は76.6%と、約8割にも及びました。
「リアリティ・ショック」の具体的内容としては、「給料・報酬」「昇進・昇格のスピード」「仕事で与えられる裁量の程度」「仕事から得られる達成感」などが高くなっています。
【1】で述べた「成長実感が無い層」「働くことを楽しめていない層」、また、「3年以内離職者」は、総じて入社後の「リアリティ・ショック」が大きく、早期離職防止や入社後の成長の観点からも「リアリティ・ショック」をいかに防ぐかがポイントであると考えられます。
※業種・性別・大学偏差値などを統制した、3年以内離職を従属変数とした二項ロジスティクス回帰分析でも「リアリティ・ショック」の高さは有意に影響。
【3】会社満足度は、内定承諾直後は同程度だが、「リアリティ・ショック」が高い群では低い群と比較して、その後大きく満足度が下がり、3年目まで満足している割合は約5分の1程度まで低下する。
入社前イメージとのギャップを分布に応じて高中低層に3分割して比較すると、高い群(リアリティ・ショック高群)は入社直後だけではなく、3年目まで中長期的に会社への満足度(非常に満足・満足・やや満足の回答割合の合計)が低くなっていました。
内定承諾直後の満足度は同程度だが、入社3年目の時点でリアリティ・ショック高群は14.3%、低群は74.4%と、約60ポイントの大きな差が生まれています。
【4】「リアリティ・ショック」を防ぐには、会社への「入社前の会社・適性理解」をいかに高めるかが重要。
入社前に、会社の風土や業績、求められるスキルや自分の適性など、事前の理解が進んでいた学生は、入社後の「リアリティ・ショック」が軽減されています。「入社前の会社・適性理解」を促進するには、以下の2つがポイントになることが明らかになりました。
Point.1)就職活動で「多くの人から話を聞くこと」「相談先の多さ」が「入社前の会社・適性理解」を促進している。
「多くの意見を聞くほうが良い」という意識で就職活動をした学生は、「重要な人だけに絞って話を聞けば良い」と考えていた学生と比べ、入社後の「リアリティ・ショック」が低い傾向にあります。
就職活動における相談先(親、OB/OG、教授、志望企業の社員など)の数が多いほど、入社前の企業・適性の理解度合いが高くなっており、多くの人の意見を参照することで理解が促進されていることがうかがえます。
Point.2)将来のやりたい事の決定時期が遅いと、「リアリティ・ショック」「入社前の会社・適性理解」のいずれにもネガティブに影響している。
自己学習や豊かな人間関係を築く意識が「やりたいこと」の決定を促す要因となっている。
「将来のやりたいことが決定した時期」が遅いと、「リアリティ・ショック」「入社前の会社・適性理解」のいずれにもネガティブに影響しています。その一方で、就職活動の開始時期、キャリアを考え始めた時期には有意な影響は見られませんでした。
大学3年の冬には、約7割の学生が就職活動を開始していますが、在学中に将来のやりたいことが決まっている学生は8割程度で、就職活動生の19.4%はやりたいことを明確にしないまま活動を終えています。
【5】新就職活動ルールを巡る議論について、「自分に関係がある」と思う大学1~2年生は65.5%。一方で、「その内容を知っている」と答えた大学1~2年生は33.8%に留まり、不安を感じている人も68.3%にのぼった。
新就職活動ルールを巡る議論について、2019年2月現在での大学1~2年生に意見を聴取したところ、「自分に関係がある」と思う人は65.5%と自分事に感じている一方で、「その内容を知っている」と答えた人は33.8%に留まり、議論の透明性の確保と周知の徹底が望まれます。
また、不安を感じている人も68.3%にのぼりました。期待を感じている層と不安を感じている層を比較すると、期待層は「新しい事業を自分で起こす機会に恵まれたい」「将来、独立したい」といった志向性が強く、不安層は「リストラが無い会社で働きたい」など、安定志向が強い学生が多い傾向が見られました。
調査概要
調査名称:パーソル総合研究所×CAMP「就職活動と入社後の実態に関する定量調査」
調査内容:就活の行動・意識の実態/就活生の目指す「成長」のイメージ内容/
入社後の成長・パフォーマンスの実態/入社後のリアリティ・ショックと就活時の活動の関係 など
調査手法:インターネット調査モニターを用いたインターネット定量調査
調査時期:2019年2月22日-2月25日
調査対象者:合計サンプル数 1700人
〈共通条件〉居住地域:全国 年齢:18歳以上30歳未満
〈学生〉 900人 四年制大学生もしくは大学院生(博士課程は除外)・男女・学年均等割付
※希望の卒業後進路に会社員(正社員)が含まれていない者は除外
〈社会人〉 800人 大四年制大学生もしくは大学院生卒。就職活動をして正社員で就職した者
正社員 600人/ 就活後、初職の企業1-3年目の正社員 ※企業規模:不問
離職者 200人/ 就活後、正社員で入社したがその後3年以内に離職した人 ※現在の雇用形態不問
実施主体:パーソルキャリア株式会社「CAMP」/株式会社パーソル総合研究所
【プレスリリース「入社前後に感じるイメージのギャップ「リアリティ・ショック」を抱える若手社会人は約8割にも及ぶことが判明」(PR TIMES)より|2019年5月22日・パーソルキャリア株式会社】
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