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企画

メイプルシステムズ×タイミー「Twitter採用」対談(後編)


採用色を出しすぎない。Twitter採用の極意と運用の裏側

2019.06.07

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Twitterで優秀な人材と出会い、スピーディーかつ費用を抑えて採用する「Twitter採用」。今回はTwitter採用をしているメイプルシステムズ(東京・中央)、タイミー(東京・文京)による対談記事の後編です。
前編で紹介したツイートの炎上、批判ツイートへの丁寧すぎる対応を受けて、後編ではTwitter採用を始めたい人向けにツイートのポイントや採用の心構えを語ります。【取材:2019年4月26日】

【前編】「炎上したら丁寧に対応する」Twitter採用の極意

目次
    1. 世の中のニュースに合わせて事業の魅力をツイート
    2. Twitter採用のメリット、デメリット
    3. 悪い噂も拡散されることを意識して丁寧に対応
    4. Twitter上で自分をどうブランディングするか
    5. Rの編集後記

対談参加者

メイプルシステムズの望月さん、鴛海さん、タイミーの小川さん

メイプルシステムズ代表取締役社長CEO 望月祐介さん(写真中)
「エンジニアファーストの会社」を掲げてメイプルシステムズを設立。
離職率100%、面接をしない「ノールック採用」などの取り組みを実行。

メイプルシステムズ取締役 人事部長CHRO 鴛海敬子さん(写真右)
メイプルシステムズのCHROとして採用戦略を次々と実行。
採用ブランディングから組織づくりまで幅広く担当する。

タイミー代表取締役社長 小川嶺さん(写真左)
立教大学4年生の若手起業家。ワークシェアリングアプリ「タイミー」を立ち上げ、リリースから5カ月で3億円の資金調達を達成。
タイミーの採用業務も担当する。

■編集部R(女性、20代後半)
Twitterは大学卒業以来「見る専門」。「Twitter採用って人事担当者が転職希望者にDMを打ちまくるってこと?」レベルの認識だった(すみません)。

世の中のニュースに合わせて事業の魅力をツイート

――Twitter採用を始める上でのポイントを教えてください。
小川さん(以下、敬称略)炎上でもそうでなくても、何かしらで目立っていないと発信力がありません

相互フォローをしていけば、まずフォロワー1,000人は達成できます。そこから、世の中のトレンドに合わせてどう情報を発信するか。タイミーは人手不足解消のためのアプリを開発しているので、働き方改革に絡めて事業の魅力をツイートしました。

望月さん(以下、敬称略)フォロワーが2,000人になったら、1,000人のフォロワーの時に反響があったツイートを引用してもう一度つぶやいています。新しく来た1,000人から以前と同じ質問が来ることもあるので、前バズったツイートがさらに拡散する。

鴛海さん(以下、敬称略):有名な人にリツイートしてもらうと、フォロワー数は伸びますよね。

小川:確かに。僕はホリエモン(堀江貴文)さんにリツイートされたらフォロワーが増えました。

★Twitter採用のポイント①
・世の中のトレンドに合わせて自社の特徴や魅力をツイートする
・フォロワー数が増えたら過去に反響が大きかったツイートを引用し、もう一度つぶやく

――「採用したい!」を押し出すのではなく、事業や会社の魅力をアピールすることが大切ですね。
鴛海:メイプルはSES(エンジニアが客先に常駐するサービス)で無形事業なので、事業内容を見せるのが難しいです。「人」を見せるしかないところもあります。

――3人のお話を聞いていると、Twitter採用を始めるにはなかなかハードルが高いと感じます。

メイプルシステムズ取締役 人事部長CHRO 鴛海敬子さん鴛海:一度Twitter採用を始めると、運用は24時間体制になります。DMには即レス即対応が必須で、炎上への対応もスピード勝負です。「自分がやりたいときにやる」ではなく、「やるならとことんやる」じゃないとパフォーマンスが出しづらい。 

Twitter採用関係で人事界隈から聞こえてくるのは「社長に『変なことをつぶやくなよ』と言われて、当たり障りのないツイートしか書けない」という悩みです。それだと相手には響きにくく、やる意味がなくなってしまいます。メイプルは(望月さんが)何でもやっていいよ、(鴛海さんが)じゃあやっちゃうよ! という関係なので。

他にも、BtoCで消費者がいる企業も難しいそうです。Twitter上の人事の行動がクレームになり、商品にも影響を与えてしまう不安がある。

★Twitter採用担当者が抱く悩み
・経営層に止められて、自由にツイートできない
・BtoCの企業だと、Twitterでの人事担当者の行動がクレームになり、商品に影響を与える不安も

小川:タイミーもBtoCなので、過激な発言はできないです。政治的な話やニュース、下ネタ系はリツイートしません。
その分、自社サービスの意義や斬新さは積極的に発信しています。実際にサービスに魅力を感じて応募してきてくれることが多いです。事業への思いや僕のパーソナリティーな部分は、フォロワーにも伝わっていると思います。

――パーソナリティーを出すことは、どちらの企業にも共通しています。
望月:自分の年収もTwitter上でオープンにしています。僕がにおいフェチということも皆知っています。

鴛海:そういうことじゃないから。(笑)

小川:それはギリギリのラインかもしれないですね。(笑)

タイミー代表取締役社長 小川嶺さん

Twitter採用のメリット、デメリット

――Twitter採用のメリットを整理すると、採用単価が安い、やり取りがスピーディー、内定承諾率が高い……
鴛海:会社への理解度が高い候補者と出会える。Twitterで「エンジニアが成長できる場」だと伝えることで、採用ブランディングにもなります。面接の参加率も高いですね。SNSのつながりで「何をつぶやかれるか分からない」と思うからか、他の媒体経由よりドタキャンは少ない。

★Twitter採用のメリット
・採用単価が安い
・接触から面接までの動きが早い
・会社への理解度が高い応募者と出会える
・内定承諾率が高い
・面接への参加率が高い(ドタキャンが少ない)

――デメリットは。
小川:全員を採用できるわけではないので、断るのは大変です。採用ツイートを見て応募したのに、採用に至らなかった人のケアが大事だと思うんですが、今はあまりできていないのが気になっています。

望月まず人事担当者がいないと回らないですね。僕が何を言っても(鴛海さんが)丁寧にフォローしてくれる。実は面接では、鴛海さんと応募者の会話を隣の部屋で聞いて、僕も同席するかどうか決めています。

鴛海:2人で同席して2人で不合格にしてしまうと、応募者は「もう無理」となってしまう。私が悪者になっておけば、社長のことはファンのままでいてくれるかもしれない。その役割分担はしています。

――「お父さんとお母さん」みたいですね。
鴛海:そうですね。(笑)望月がエンジニア向けの技術的なツイート、私は人事目線のツイートをして、発信する情報も分けています。

――小川さんは1人で採用もしているのは大変じゃないですか?
小川:僕はマネジャーもいるので大丈夫です。面接はメイプルさんとは逆で、僕が最初の1分だけ同席して盛り上げて、残りはマネジャーに任せます。「社長も同席してくれた」ことが、応募者の承認欲求にもなると思っています。

★Twitter採用のデメリット
・採用に至らなかった応募者への対応が難しい
・即レス即対応、24時間の対応が必要。
・人事担当者がいないと回らない。2人以上で運用し、役割分担をする必要がある。

悪い噂も拡散されることを意識して丁寧に対応

望月:まとめると、Twitterでは悪い噂も拡散されることを意識して丁寧に対応することが大事。不合格でも「スキルはすごくいいけど、半年◯◯を頑張ったらまたおいで」と伝えて、不合格の基準も明確に伝えます。

その人が他の会社の面接に行く時のアドバイスもしますね。以前、Twitter上で未経験エンジニアが転職で使うポートフォリオの添削をしたこともありました。本人に許可を取ってその内容をツイートしたら、反響が大きかったです。

Twitter採用の面白さは、全く知らない人が「メイプルの人事」になってくれるところ。僕たちのTwitterを見て「メイプルはいい会社だよ、受けてみた方がいいよ」とつぶやいてくれる。

小川:コアなファンがいるのはすごいですね。

Twitter上で自分をどうブランディングするか

――Twitter採用を始めたい人に伝えたいことは。
望月:「採用ブランディング」として新しいことをやるのは違うと思います。今までの会社の歴史で培った核になる部分をどれだけ貫けるか。メイプルならば「離職率100%」を一貫して打ち出して、成長できる場だと伝えています。

鴛海「この人をフォローしたら有益な情報が得られる」と思わせることが大事です

私も最初は「今日カレーを食べました!」とかつぶやいていましたが、「おっしーがカレーを食べたのなんて誰の得にもならないから」と言われて。(笑)例えば「今日は面接がたくさんあるのでカレーを飲むように食べた。残り3件頑張ります」ならば「すごい人事がいる」と思われる。自分のブランディングとして、どんなキャラをセグメントしていくかが大切です。

小川:一つひとつのツイートにこだわるのが大事だと思います。Twitterはその時のテンションも文字でしか伝わらないので、「!」にするのか「。」にするのかでも悩みます。

鴛海:ツイートする時間も大事ですよね。Twitterがよく見られる朝の9~10時、昼休み、業務後の午後5~6時に意識して投稿します。良いツイートも全然リツイートされないので、悲しくて自分でリツイートしちゃう。(笑)

小川:アクティブな人がいる時間にやらないと、そもそもの市場がないですよね。僕は一日1回は更新して、「この人は更新しない人なんだ」と思われないようにします。

鴛海:社長に協力してもらうことが一番大きいと思います。

Twitter採用は積み上げていくもので、後から効果が出てきます。そこを理解して、期待してあげる社長でないとできません。人事担当者も手探りでやっていて効果が見えにくく、なかなか数字が出ない。そうなると「Twitter採用は止めて、普通の採用にしよう」となってしまいます。炎上を気にして「他の会社の社長から何か言われたらどうしよう」と保守的になる経営者も楽しめないですね。

メイプルシステムズの鴛海さんと望月さん

小川:僕はBtoCの会社ならTwitter採用はやるべきだと思います。フォロワーになった人がタイミーのアプリをダウンロードしてくれることもある。自社サービスの良さが伝わりながら、採用にもつながります。

――BtoCの企業はクレームの不安もあると言われますが、運用をしっかりすれば自社サービスと自社採用の両方に役立つかもしれない、ということですね。
望月:他には、目標になる人を見つけるといいです。「この社長のフォロワーを超えたい」と思うと、その人を定点観察して、どんなツイートで一日何人フォロワーが増えているのかをチェックし始める。(笑)

鴛海:仕事だと思わないでやるのが大事じゃないですかね。採用だと意気込むと上手くいかないので、楽しみながらやってほしいです。

小川:採用色が強いアカウントはフォローしたくないですもんね。

望月:そういう人たちはDM送りまくっている。

鴛海(採用色が強いと)DMは返ってこない。そういうエンジニアはDMをもらい慣れているとも思います。普通の求人媒体と変わらない。

小川:DMを送りまくって安売りになるのは良くないですね。

★Twitter採用のポイント②
・無理に新しいことをしようとせず、自社の根幹をもう一度見つめ直して「軸」を探す
・どう自分をブランディング(キャラクター付け)するか考える
・ツイートする時間は朝の9~10時、昼休み、業務後の午後5~6時
・Twitter採用は積み上げ型。すぐには結果が出にくい
・社長の理解と協力を得る
・採用色を押し出しすぎない

Rの編集後記

3人のTwitter採用の本音や役立つポイントがあり過ぎて、編集部Rはただ圧倒されるばかりの1時間半でした。

どんな相手でも丁寧に対応すること、採用ターゲットに刺さるコンテンツにすること、採用だと意気込まないこと……。採用手法としてTwitterを活用するには、いくつものポイントを理解しなければいけません。それを「採用タスク」と構えるのではなく、「楽しめる」人事こそが、Twitter採用に向いている。そう実感しました。【取材・編集:@人事編集部】

【編集部より】
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