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特集

非上場企業の成長戦略Vol.2 ジャパネットホールディングス 髙田旭人社長インタビュー


“カリスマなき”ジャパネット 2代目社長がつくる集合天才型組織

2019.04.19

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テレビショッピングでおなじみの通販大手「ジャパネットたかた」(長崎・佐世保)。甲高い声色と独特な話術、圧倒的な経営手腕で知られる創業者、髙田明氏は2015年に会社を離れ、長男で2代目社長の髙田旭人氏が組織改革を進めている。社長交代後も売上高を伸ばし続け、2018年は年商2,035億円となる見込みだ。
ジャパネットは創業以来非上場の方針で、既成概念にとらわれない事業戦略を次々と実行している。新たな組織改革も独特なのかと思いきや、その手法は意外にもシンプルそのものだった。ジャパネットの事業戦略と組織づくりの裏側を、旭人氏本人に聞いた。【取材:2019年3月6日】

目次

髙田旭人(たかた・あきと)

1979年長崎県生まれ。東京大学卒業後、証券会社を経てジャパネットたかたに入社。バイヤー、コールセンター、物流各部門の責任者を務め、2010年にコールセンター部門を移行した「ジャパネットコミュニケーションズ」設立時の社長となる。2012年にジャパネットたかた副社長を経て、2015年1月にジャパネットホールディングス社長に就任。40歳。

前例がなく、尖った事業戦略を実行したい

ジャパネットは1986年、長崎の小さなカメラ店として生まれた。1990年に明氏が地元の5分間のラジオ番組で50台のカメラを売った経験から通販事業に発展。佐世保市に拠点を置きながらテレビやカタログ、ECサイトなど販路を拡大し、業績を伸ばしていった。

ジャパネットたかた売上推移

過去24年間の業績推移。ジャパネットホールディングス提供

ラジオ出演参考資料

ラジオ番組に出演する明氏(右)。ジャパネットホールディングス提供

通販を行うたかた氏

テレビショッピングでカメラを紹介する明氏。ジャパネットホールディングス提供

ジャパネットは創業以来、一度も上場の道を選ばなかった。企業が上場すると、株主が四半期ごとに事業や経営状況をチェックし、経営の意志決定にも関与する。旭人氏は「ジャパネットがやることはたいてい前例がない。外部の価値観はさまざまで、ジャパネットが尖った戦略を立てようとすると、スピード感のある意志決定や事業戦略の実現そのものが難しくなるだろう」と、非上場の理由を説明する。

ジャパネットは2012年、家電エコポイント制度終了に伴い前年比361億円の減収となったが、そのタイミングで商材開拓を目的に東京に新しいオフィスを建設した。2017年には当時赤字経営だった長崎県のプロサッカーチーム「V・ファーレン長崎」をグループ会社化し、現在は約500億円を投じて長崎市内にスタジアムを中心とした街づくりを進めている。

サッカー場参考資料

長崎市内に建設予定のスタジアムのイメージ。ジャパネットホールディングス提供

いずれの取り組みも株主がいれば「本業の通販事業の業績を最優先にしろ」と言われるかもしれない。それでも中長期的な視点で事業戦略の「いい商品を見つける」「スポーツによる地域振興」や、社長が目指す「顧客、社員、取引先、会社の全てがハッピーな組織」の実現に必要な出資ならば迷わずに実施する。株主の意見を待たずに独自の施策を実践できる非上場企業のメリットを重視している。

「カリスマの会社」から「社員自律型の集合天才」へ

2015年、ジャパネットを年商約1,500億円の会社に育て上げた髙田明氏が社長を退任し、若手社員たちにバトンを渡した。明氏は会長職にとどまることも、テレビショッピングに出演することもなく、完全に会社から身を引いた。

ジャパネットでは、取扱商品の選抜や商品の売り出し方の最終決定権は社長に委ねられている。明氏はジャパネットのカリスマ的な存在で、社員が事業を進める際は明氏に複数の提案を持って「どれがいいか」とお伺いを立て、明氏の決定事項に向かって努力した。自分がなぜその提案をしたのか、自分ではどの案がいいと考えているのか、その理由は何なのか、答えることができる社員は少なかった。

二代目社長参考

会社を受け継いだ旭人氏は「人は自分の意志で決めて行動した方が成長できるし、達成感が味わえる。失敗しても、そこから学べばいい」と考え、組織の方向性を変えていった。明氏は「100%成功する」と思えないと事業を進めないタイプだったが、旭人氏は事業実施のハードルをあえて下げ、成功する可能性が7~8割でも社員が自分で考えた施策を実践させた。ジャパネットは「カリスマの背中を追う」会社から「自律型の集合天才」へと変わり、社員一人ひとりが意志と判断力を持った組織にならなければいけなかった。

時間管理の徹底、生産性向上のための社内環境整備

旭人氏は自律型組織の第一歩として、一人ひとりがパフォーマンスを高めるための施策を始めた。

社長就任直後の2015年から、残業時間の管理徹底と最大9連休(一部の部署は16連休)の休暇取得制度を開始。以前は繁忙期だと日付が変わってから帰宅する社員もいたが、「長時間労働は絶対に集中力と生産性を下げる」(旭人氏)と考えた。退社時間は午後10時(現在は午後8時半)に設定。勤怠管理システム上の打刻時間と実際にオフィスを出入りした時間にずれがないか確認するほか、週1日(現在は週2日)のノー残業デーを実施した。また、社員の不必要な作業時間を短縮するため、無線LANやノートパソコンの整備、備品整理にも設備投資した。会議資料の印刷や備品を取りに行く時間を省き、その時間を重要な業務に充てられるようにした。

社員が自分で時間管理して必要な作業に時間を有効活用し、決められた時間内に集中して成果を上げる。その努力で生まれた時間で休日を取得してリフレッシュし、改めて仕事にまい進する。旭人氏はそんな働き方を社員に求めた。従前の「長時間働くことが素晴らしい」社風から生産性重視の成果主義へと変化し、自律型組織の基盤ができた。

「意志がないとすぐに分かる」会議

父の時代の弱点だった社員の意志決定能力は、旭人氏が直接参加する日々の会議で立て直している。会議のアジェンダや資料づくりをルール化し、「意志がない人が作るとすぐに分かる」(旭人氏)ようにした。アジェンダが「◯◯の件について」となっている場合は会議を開けない。決裁を得たいのか、方向性を確認したいのか、方向性を検討するにあたり社長に相談したいのか、明確にゴールを示していない資料は作り直させる。自分が会議での提案を通じて何を実現したいのか、論理的に説明できるまで意志を持っていないと提案を通せなくなった。旭人氏が参加する会議は1日10回程度あり、役員以外の社員も参加する。旭人氏が直接関与しない会議でも実践されている。

意志を持ち始めた部署は成果を出し、ジャパネットの業績をリード

「集合天才」の自律型組織の実現に向けてジャパネットが選んだ施策は、時間管理やロジカルシンキングなど想像以上にシンプルなものだった。「人事労務制度、社員の教育制度の充実、オフィス環境の見直しなど、さまざまなことをやった。どの施策が(社員の心に)刺さったのかはっきりと分からないが、意志を持つ社員は確実に増えていると思う」(旭人氏)

もちろん、約2,700人の社員を一気に変えることはできない。新しい組織体制についていけず会社を去った社員も「いたと思う。(会社が新しい方針に)共感できない場合は突き放すというより、社員自身にも会社を選ぶ権利があると思う」(旭人氏)

改革開始から4年たち、現在の意志を持つ社員はまだ6割程度だ。しかし、「意志を持つ社員が多い部署がジャパネットの業績をけん引しているのは確か。自律型組織は業績にも影響し、明らかにつながりがある」と旭人氏は語る。

社長自身が引っ張る地道な組織改革

今後の課題は自律型人間をより多くすること。今は旭人氏自らが組織改革に時間を割いているが、自律型組織を体現できる役職者を増やして権限委譲したいと考えている。現在は旭人氏が課長級以上の社員約170人と週報や月報で1対1のコミュニケーションをとり、権限委譲できる人材かどうか見極めている。1日約10回の会議や約170人との連絡は「正直きついと感じることもあるが、(社長が一方的に見極めるのではなく)社員が私に直接本音で意見を言える仕組みが必要」と言い切る。

非上場企業で、長崎に拠点を置き続け、テレビ通販や独自の事業戦略で話題を集め、サッカーチームの再建にも携わる。尖った事業戦略を次々に展開するジャパネットも、組織改革ではまずは旭人氏自らが社長として施策を打ち続け、少しずつ前進している。どんな企業でも、組織づくりにおいては「尖った戦略」はないのかもしれない。【取材・編集:@人事編集部】

企業情報

ジャパネットグループ
・事業内容:商品のバイイング、ショッピング媒体のコンテンツ制作、メディアバイイング、購入受付、商品発送や設置、購入後の問い合わせや修理対応など通信販売に関わる事業
・従業員数:2,757人(パート、アルバイトを含む)(2019年3月時点)
・設立:1986年1月
・本社所在地:長崎県佐世保市日宇町278

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