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「HOT×LOCAL×HR 2019」レポート前編


【地方×HR】採用目的のインターンは捨てるべき。「地方の色はいらない」人気インターンから見えた学生を集めるシンプルな法則。

2019.03.25

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「地方の抱えている問題は企業の抱えるHRの問題に通ずる」。主催のチカイケ秀夫氏(パーソナルベンチャーキャピタル代表)はそんな危機感を抱き、地方HRを盛り上げるため、HRのSNS界隈で発信力を有するメンバーを緊急招集した。前編となる本記事では関西圏で人気のインターン事業にフォーカスを当て、インターンのあるべき姿とその本質的な課題に迫った。【2019年1月取材:野澤麿友子、撮影:高井直樹】

登壇者プロフィール

西崎康平
トゥモローゲート株式会社 代表取締役社長。ブラックな企業ブランディングで新卒学生7,000人集客。全ての判断基準は「オモシロイかどうか」とする新卒採用に特化した採用ブランディング事業を展開。

福本真士
未来電子テクノロジー株式会社CEO。企業と学生をカジュアルにつなげるGOuniteの運営。人事戦略・制度設計・PR・オンボーディング領域のインターン特化事業を展開。田端大学初代MVP。

三木芳夫
株式会社ノバレーゼの人材戦略部長として従業員50名から1,800名まで拡大を経験。現在は渋谷のベンチャー企業の執行役員。経営管理本部長。

窪田佳奈
神戸市外国語大学学生。2017年10月に未来電子テクノロジー株式会社にインターン生として参画。現在に至るまでマネジャー、人事などを経験。Twitter上では学生のインサイトと潜在能力を引き出すマネジメント論に関するつぶやきで注目されている。

山口達也(モデレーター)
「企業ストーリー解釈」が武器の新卒採用ブランディングプランナー。企業独自のストーリーを採用ターゲットに適切に伝えるブランディング・PRが得意。日本ブランド経営学会理事。HRコミュニティ「Rockin’HR」運営。

2019年は地方からHRを盛り上げていきたい

「HOT×LOCAL×HR 2019」イベントレポート

冒頭、主催のチカイケ氏より開催趣旨説明があった。現在、逗子(神奈川県)に住んでいる同氏は、地方の抱えている問題は企業の抱えるHRの問題に通ずると感じている。

「地方は移住者に来てほしいと切望する一方で、そもそもなぜ若者が流出するのか? その本質に向き合えていないことが多いです。企業も同じで、なぜ候補者や社員から選ばれないのか?真剣に向き合えている企業は少ないと感じています」

だからこそ2019年は地方からHRを盛り上げていきたいと考え、その幕開けとして都市部に限らずHR業界のSNSで発信力のあるメンバーを集めてみたという。

第一部は「地方×インターン」をテーマに、採用ブランディングプランナーの山口氏をモデレーターに迎え、関西をはじめ地方でインターンに携わる経営者(西崎氏、福本氏)、人事(三木氏)、学生(窪田氏)の四者四様の視点からその意見をうかがった。

第一部:地方×インターンのリアル。人を集めるには地方の色が必要という「幻想」

「HOT×LOCAL×HR 2019」イベントレポート大学院生向けのインターン事業に携わる三木氏は、九州方面にある人口1,900人の小さな村の事例を取り上げた。人が来ないという課題を抱えている同村では、村の特色をブラッシュアップしたインターンシップを設計している。具体的には3カ月~半年間の村体験プログラムと位置づけ、東京まで集客に来て学生を誘致しているという。

「企業活動だけでは弱くても行政を絡ませるといったフローを作っていけると、地方として面白いコンテンツが作れるのでは」と三木氏は示唆する。

では、地方でインターン集客を成功させるには、その土地の独自性を生かして奇をてらったことをしなければならないのだろうか。

大阪で一番面白い会社をつくるというビジョンを掲げる西崎氏は、たしかに地域の特色を企業のPRに生かすこと(例えば沖縄の観光産業など)は強みになりうると認める。
しかし、むしろ「地方の色なんていらない」というのが登壇者全員の見解だ。

「魅力的な会社に人は集まる」というシンプルな構造でとらえると、都心か地方かはあまり関係がない。それよりも、いかに1つの会社として魅力的だと思ってもらえるかが重要になる。

自身も地方出身である窪田氏からは、実体験に基づく鋭い意見が述べられた。
「観光であれば地方の色をアピールする意味はありますが、採用となると地域の特色をアピールしたからといって若者は戻ってこないと考えています」

会社に対する親のネガティブな発言は、地方(特に都心部から離れた地域)の閉鎖的なコミュニティの中で広まりやすい。それを聞いて育った子供たちは、いざ地元で働くとなった時にそれらの企業をまず選択肢から外すのだという。

「大人になってから、実は良い企業だよと言われても信じられないのは当然ですよね」

ではどうしたらその不信を払しょくできるのか。そのためには高校生や大学生のうちから「本当は良い会社なんだ」と自身の体感で感じられる機会(インターンなど)を提供していかないといけないのでは、と窪田氏は考えている。

Perception is Everything 答えはシンプルで「知覚が全て」

「HOT×LOCAL×HR 2019」イベントレポート福本氏は自身の事業を通じて、関西全土でいかに意識の高い学生を受け入れられるような質の良いインターン土壌を形成していけるかに挑戦している。

同氏の展開するインターン育成事業は、関西を中心に100名以上の学生を受け入れるほどの人気を博す。インターン生のグレードを7段階に分け、段階を踏んで学生が裁量を任される体制になっており、今回登壇している窪田氏も学生でありながら未来電子テクノロジーのインターン生として学生組織のマネジメントを担う。

「HOT×LOCAL×HR 2019」イベントレポート

くわえて長期継続的に通う学生に対してはインターンの成果を定量評価し、実際の達成率を実績として大手企業からオファーをもらえる仕組みまで作っているというから驚きだ。最近では東京の学生が大学を休学し、関西に家を借りてまでインターンをするという現象も起きているという。

どうしてそこまで学生を集められるのか? という問いに、福本氏は「めちゃくちゃシンプルで、”Perception is Everything”(知覚が全て)です」と回答する。

学生からしたら前評判のない企業にはいきたくない。だからこそ、「あの会社は学生が集まっていて評判が良い」という事実づくりが非常に重要だという。

同社で展開中のGOunite事業は、学生が様々な企業にインターンに行き、インターン前後の気持ちの変化や自身の成長、その企業の魅力などをメディア記事として蓄積する仕組みだ。

そこで作成された記事は、企業が発信した広告的なメッセージではなく、学生のリアルな声で構成される。友人が発信するからこそ学生は興味を持ってメディアを読み、自分もそこで働いてみたいと考えるようになる。

「全ては流通です」と福本氏は自身の事業を通じて確信している。

企業認知を高める上では、学生にその企業に就職してもらう必要もなければ、アルバイトすら必要ない。ほんの数日間でも、学生がその企業で体感したエピソードを一次情報として発信し、外部の学生がその情報を自ら取りに行ける仕組みさえ作れれば、学生はその企業へ流れていくという。

「実際に一切認知のなかった企業がたったの3カ月で、次は私が行っていいですか?と学生の順番待ちが起こるまでになっています。ただ単に学生が来ているという事実を作るだけ。それが全てだと僕は思います。」と福本氏はまとめた。

採用目的でやるインターンは捨てるべき。考えるべきは、いかに学生に価値を還元するか。

「いまの学生は自分の軸が合っているか『確かめたい』から、『いったん』就職してみる傾向があるように感じます。でも、そこは本来就職する前に知っておくべきところです。」と窪田氏は現在の学生が直面するクリティカルな課題感について述べた。

やりたいことがわからない、やりたいことはあってもそれが本当に自分に向いているのかわからない……そんな学生が多いと同氏は日々周囲と接する中で感じている。

仮に学生時代の経験を通じてなんとなくの自身の強みが就活段階で形成されていても、それが社会に出て本当に通用するのかは入社して実際に働くまでわからない。

「結局、採用HPなどから得た情報でその人なりに納得したつもりでも、本当にマッチしているかどうかわからないというのが、いまの就活の進め方の課題だと思います」

だからこそ未来電子テクノロジーをはじめ、社会に出た後と変わらないレベルの経験ができるインターンを通じて、学生のうちから自分の軸は正しいかを検証するプロセスを踏んでいかないと、入社後のミスマッチはなくならないのではと危機感を抱く。

そんな真剣に将来を見据える学生に対して、企業はどう向き合うべきなのか。
西崎氏はそれに対する1つの解を示す。

「HOT×LOCAL×HR 2019」イベントレポート

「インターンを採用目的でやるという考えを捨てた方が良いです。学生にどれだけ付加価値の高いインターンを提供できているか。それが結果的に採用や定着に結びつくのではないでしょうか」

西崎氏が経営するトゥモローゲートは、学生のことは学生が一番わかると考え、顧客の新卒採用向け企画に学生の声を積極的に生かすようにしている。インターンの学生には経営会議や顧客の打ち合わせにも同席させる。そうすることで、彼らは広告の現場を生で体験することができる。

つまり、企業がどんなふうに採用活動を展開するのか?面接での評価ポイントや評価シートはどうなっているのか? を知ることができるため、学生にとってはその後の就職活動に役立つ非常に有益な体験価値が得られるのである。

「どういうインターンであれば『学生を採用できるのか』ではなく、『学生が成長できるような体験価値を与えられるのか』。弊社の人事はそういった目線で設計をしています。これからも学生に東京からわざわざ来たいと思ってもらえるような、そんな面白い会社を作っていきたいです」と西崎氏は意気込む。

最後に福本氏は、採用は単に「壁でしかない」とまとめる。
採用という言葉が出た時点で、採用する側とされる側という2つの視点に分断される。しかし、壁というのは内側に入らないとわからない。つまり、入社してみるまでお互いわからないということだ。

「将来、採用がAIでどれだけ最適化されようと、入ってフィットするかどうかは実際に入るまでわかりません。だから入社前の段階でいかにこの壁を取っ払い、中に入れる仕組みを作れるかが重要だと考えています」

どこであろうと当たり前の価値を当たり前に提供できる会社に学生は集まる

今回のディスカッションを通じてわかったことは、地方企業だからといって無理に地方の特色を入れる必要はない。それよりも、どこであろうと当たり前の価値を当たり前に提供できる会社に学生は集まるということだ。
同様にインターンもまた、学生が就職前に自身の軸を固められるような「本質的な体験価値」を提供していくべきものであるという大切なことに気づかされた回でもあった。続く後編は「働き方改革」「採用」の観点から地方企業を活性化させるための核心に迫る。

後編に続く

イベント概要

HOT×LOCAL×HR 2019~まだ東京だけでHRやっているの?~
日時:2019年1月16日(水) 19:00~22:00
会場:freee株式会社(東京都品川区西五反田2-8-1 五反田ファーストビル9階)
主催:チカイケ秀夫氏

執筆者紹介

野澤 麿友子(のざわ・まゆこ)(株式会社スキマタイズ) 本職はIT企業人事。新卒で入社したメーカーで経営企画業務に携わる中、「従業員の幸せ」と「会社の発展」を両立できないことに疑問を持ち、それを実現できる人事になることを決意して転職。将来の夢はCHRO。人の理念や情熱などの漠然とした想いを、言語化することが好き。

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