@人事編集部調べ「内定先企業の退職予定時期」
「あなたはいつ頃会社を辞める予定ですか?」2019年春入社の新入社員へ緊急アンケート
2019.04.01
新入社員の離職率は高い。厚労省の調査によると、2015年3月に大学を卒業して就職した新入社員のうち、31.8%が入社3年以内に離職していることが分かった。これは「ゆとり」「さとり」世代といった近年の若者に限った傾向ではない。平成7年から20年間連続で、大卒新入社員の3年以内の離職率は30%を超えている※。
新入社員は、どのような理由から早期離職を決断するのだろうか。そこで@人事では、今年4月入社の新入社員(19卒学生)の男女487名にアンケートを実施。内定者が入社前から退職を決意するに至った原因や、「3年以上在籍したい」と思う会社の条件が明らかになった。
※参考:新規学卒者の離職状況(厚労省)
調査結果概要
・入社前から、具体的な退職時期を想定している学生は24.4%
・入社前の学生が「内定先企業を辞めたい」と思う主な理由は「キャリアアップしたいから(23.6%)」「理想とのギャップ(15.7%)」「残業、休日出勤多い(14.7%)」
・「3年以上在籍したい」と思う会社の条件は「良好な人間関係(49.3%)」「休日が多い、休暇が取りやすい(33.9%)」「待遇や福利厚生に満足できる(30.0%)」
学生の5人に1人は、入社前から「具体的な退職時期」を想定している
「内定先企業を辞めよう」と想定している時期について尋ねたところ、最も多かった回答は「辞めることを検討していない(60.8%)」、次いで「辞めようと思うが、具体的な時期は分からない(14.8%)」という結果になった。
一方で、「半年~1年未満」「1年~3年未満」など具体的な退職時期を想定している学生は24.4%に上り、入社3年以内の平均離職率に相当する割合になった。
「3年以内に退職予定」の学生の多くは、事前情報とのギャップを知り退職を決意する傾向に
次に、退職予定があると答えた学生の「退職を決意した理由」について見ていく。それぞれ回答した退職予定時期ごとに学生の回答には、以下のような傾向が見られた。
【半年~1年以内】ハラスメント、休日出勤……内定承諾後に明らかになった会社の実態
・セクハラ、パワハラがあった(女性、24歳、文系)
・内定後に年末年始の出勤があると知ったため。また、ボーナスがほぼ無いから(女性、22歳、文系)
【1年~3年以内】入社がゴールではない。他にやりたいことがある
・海外にワーキングホリデーに行きたいという夢があり今の内定先では長く働けないと感じたため。(女性、22歳、文系)
・他に夢があるから(男性、22歳、文系)
【3年~10年以内】長年同じ会社に在籍し続けることにメリットを感じない
・先輩社員になかなか昇進できず給料が上がらないと言われたから(男性、23歳、文系)
・続けられれば続けたいと思うけど、そこに居続ける必要は特にないと感じる(女性、22歳、文系)
【具体的な時期は未定】直近で辞める予定はないが……
・母親が専業主婦で私も家庭を持ったら出来ることならば仕事を辞めたいと考えている(女性、22歳、文系)
・きっかけは特にないが入る前から同じ会社にいようとは思わなかったから(男性、22歳、文系)
1社目はあくまでステップ? 退職を決意した理由は「キャリアアップしたいから(23.6%)」
続いて、辞める意向がある学生に対し、現時点で「内定先企業を辞めたい」と思う理由について尋ねたところ、主な回答として「キャリアアップしたいから(23.6%)」「理想とのギャップ(15.7%)」「(内定先の企業で)残業、休日出勤が多い(14.7%)」などが挙げられた。
「キャリアアップしたいから」と回答した理由としては、「元々第一志望の会社ではない」「いろいろ挑戦したいから」などが挙げられた。近年では転職することが当たり前だという認識が広がっており、新卒として入社する企業に対して「あくまで1社目」という意識が強いのかもしれない。
また、「理想とのギャップ」と回答した人からは、「内定者研修で、働いている人が会社を悪く言うから」「研修を受け、思っていた仕事とかけ離れていたから」といった声が挙がった。内定先企業の社員や実情に触れ、ギャップを感じた人が複数いることが分かった。
内定承諾後に理想とのギャップを感じ、入社意欲が下がってしまうことは想像に難くない。企業としては、よりよいマッチングの実現と離職率低下のために、選考段階で企業の実態を真摯に伝える姿勢が求められるのではないだろうか。
「3年以上在籍したい」会社の条件は「良好な人間関係」「好待遇」
「3年以上在籍したい」と思う会社の条件について聞いたところ、「良好な人間関係(49.3%)」「休日が多い、休暇が取りやすい(33.9%)」「待遇や福利厚生に満足できる(30.0%)」など、職場環境や待遇に関する回答が目立った。
ここでは、「良好な人間関係」と回答する学生が圧倒的に多かった。前述の「『内定先企業を辞めたい』と思う理由は?」という質問では、「上司や先輩方との性格が合わないと感じたから」「同期で仲良くなれそうな人がいない」といった不安要素を挙げる声が多く、この結果も確かにうなずける。コミュニケーション面での不安を取り除くことが、離職防止の第一歩につながるかもしれない。
退職要因として最も多かった「キャリアアップ」だが、こちらの設問では票があまり集まらなかった。退職の意向を強める理由になりうるが、同一企業に在籍し続ける理由にはならないということだろうか。
また、近年人事領域で注目を集める「マッチング」「自由な働き方」といった項目にも票は集まらなかった。就業経験のない学生には、これらの項目について明確にイメージすることが難しいのかもしれない。
「そもそも働きたくない」「内定先がブラック企業だった」19卒の退職理由14選
ここからは、前述の段落で紹介しきれなかった「学生が『内定先企業を辞めたい』と思う理由」について、フリーコメント形式で紹介する。
特に理由はないけれど……
・そもそも働きたくないという気持ちが根底にある(女性、22歳、理系)
・今のところ辞めようと思ってはいないが、将来的に自身の成長と、会社やその業界が提供する機会がマッチングしないと感じた時に、辞めるかもしれない。(男性、23歳、文系)
・先輩から「皆そうしている(会社を辞めている)」と聞いたから(女性、22歳、理系)
内定承諾後にまさかの発覚
・新人研修がブラック企業っぽい。「50kmウォークラリー」とか何なんですか(女性、22歳、文系)
・承諾後に色々な詳細を知り、ブラックだということが分かったから(女性、22歳、文系)
時代錯誤な会社の文化に困惑
・内定先の働き方が古臭く、新入社員は早く出社しないといけないなど、合理的でないバカな習慣が残っている点がイライラするから。(男性、22歳、文系)
・社員の平均年齢が高く、同世代がいないためやや息苦しさを感じたから(女性、22歳、文系)
ワーク・ライフ・バランスを重視
・親が地方に住んでいるから(男性、22歳、文系)
・結婚、出産した時に続けられそうになかったから(女性、25歳、理系)
・転勤があるが、いつかは定住したいから(男性、23歳、文系)
人間関係のトラブルを解決するには?
・嫌な人間関係は辞めることで解決すると考えているから(女性、23歳、理系)
先行き不安な事情がある
・就職活動が思うようにいかず、とりあえず内定が出た企業に就職を決めた。しかしよく考えてみると、自分が求めていたものがこの会社にはないのではと感じるようになった。ハードな業界なので、耐えられるか不安。(女性、22歳、文系)
・内定先企業が属する業界全体が厳しくなってきているから。(女性、24歳、文系)
・採用担当の人に希望の部署に入れない確率が高いと言われたから(女性、22歳、文系)
離職防止・新卒採用の参考に
以上、19卒学生の就業意識に関する調査結果をまとめた。今回の調査から、学生が入社前に退職を決意する理由や、職場に求める要素について明らかになった。
19卒学生の傾向をつかみ、離職防止策や、20卒採用における自社のアピールポイントを検討する際の参考にしてほしい。
調査概要
・調査方法:インターネットによるアンケート
・調査対象:2019年春に卒業・入社予定の全国の大学生(男女)
・有効回答数:487
・調査期間:2019年3月7日~3月14日
【編集部より】
新入社員の早期離職に関する記事はこちら。
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