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特集

社労士が解説 働き方改革のポイント vol.13


高度プロフェッショナル制度の中身と本当の意味

2019.03.06

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働き方改革が持つ可能性を明らかにする連載企画「社労士が解説 働き方改革のポイント」。今回は「高度プロフェッショナル制度」についてです。

高度プロフェッショナル制度については「働かせ放題の制度」などとやゆされてきました。そのような見方はこの制度の本質とは違いますし、働き方改革制度全体への誤解に基づくものだと考えられます。どういうことなのか具体的に見ていきましょう。

※関連:【特集トップ】社労士が解説 働き方改革のポイント

目次

高度プロフェッショナル制度とは

高度プロフェッショナル制の中身と本当の意味

高度プロフェッショナル制度については、報道でも賛否両論さまざまにとりあげられてきました。2019年の4月に施行されるこの制度の内容は、以下の通りです。

高度プロフェッショナル制度を適用した労働者については、賃金が一律となり、労働時間に応じた賃金支払い義務の全て(時間外・深夜の割増など)が適用されなくなります。

ただし、以下の制限があります。

  • 社内に労使委員会を設けた上で、5分の4以上の多数の決議が必要となります。
  • 書面による対象労働者の合意が必要なほか、定期的な更新合意が必要となり、制度適用や健康確保措置の実施について労働基準監督署への届け出が必要となります。
  • 金融商品の開発やディーリング、アナリスト、コンサルタント、研究開発などの業務に限られており、年収要件も1075万円以上となります。
  • 事業主は「健康管理時間」という新しい概念で労働時間を把握する義務が生じます。健康管理時間とは、高プロで働く労働者が会社にいた時間と、会社以外で働いた時間を足した時間を指します。この時間が法定労働時間(週40時間)超えた部分が月100時間を超えた場合は医師による面接指導が義務となるほか、一定の健康確保措置を定める必要があります。
  • 年間休日は104日を確保しなくてはなりません。

以上のように多くの制限はあるものの、労働時間に応じた賃金支払い義務から完全に解放されるという点は、今までの制度とは大きく異なります。現在の法令に規定されている裁量労働制や管理監督者は、深夜労働に関する賃金の支払いは必要でした。

高プロの対象とされるのは、従来から働き方が不定形になりやすく、かつ成果が算定しやすいため、従来の時間管理に向かないといわれていた職種です。対象職種である場合は、高度プロフェッショナル制度を導入することは、企業にとっても従業員にとってもメリットが大きいと思います。社会保険労務士などの専門家に、導入手続きの相談をすることが有効です。

高度プロフェッショナル制度は、働かせ放題の制度?

高度プロフェッショナル制度は「働かせ放題の制度」と一部で呼ばれてきました。働き方改革とは労働時間を減らす方向性の施策のみとの思い込みからか、この制度を正確に捉えているとは思えない意見や報道が目につきました。極端なものだと、「働き方改革自体が、裁量労働を増やしたいという経済界の要望へ応えるための隠れみのだ」というようないわれ方もされていました。

働き方改革には2方向の施策が存在しています。

  1. 労働時間の上限規制、有給休暇の取得義務化、健康確保措置の厳格化、同一労働同一賃金による非正規労働者の待遇向上など、働く方の平等性の確保や、単純に考えると労働の削減につながる施策です。
  2. フレックスタイム制の拡大、テレワークの推進、裁量労働制の拡大(法案成立は見送り)、高度プロフェッショナル制度のような、勤務形態の多様性を推し進める方向性で、活用の仕方によっては労働の増大につながる方向性です。

この2つの方向性は、全く矛盾していません。このことを理解しないと働き方改革の本質は見えてこないと思います。働き方改革とは「個人の自立的なキャリア形成」という労働観を軸とした、新しい働き方を確立するための政策だということを理解する必要があります。

※関連:高度プロフェッショナル制度(高プロ)導入の議論に欠けている視点

働き方改革がもたらす新しい労働観

高度プロフェッショナル制の中身と本当の意味

働き方改革の労働観とは「多くの人が自分自身にふさわしい多様な働き方で労働に参加し、機会の平等や健康管理が実現できるようにルールを整備する。その上で、個人の創造性や主体性を活用して生産性を向上していく働き方」だと私は考えています。

こうした働き方を成り立たせる上で、最も排除しなくてはならないのは、曖昧な慣例に従って、多くの人に不合理な労働慣行がまかり通ってしまうということです。その典型が管理の曖昧さによる長時間労働や、有給休暇がとりづらいこと、管理監督者という名前のもとに残業代が不払いになってしまうことなどでした。こうした事項に対しては、働き方改革では厳格なルールにより規制されています。

特に政策検討段階で高度プロフェッショナル制度と関係が深かったのは「管理監督者」の問題でした。労働基準法では、管理監督者は時間外労働や休日労働についての残業代を支払う必要がないとされています。企業での慣行を見ると、現場管理者である課長級以上の方を管理監督者とみなす事例が散見され、こうした階層の方に残業代が支給されていない企業がよくあります。

しかし、もともとの制度趣旨を見ると、管理監督者とは出勤の自由があり、評価や配置配属の権限があり、賃金が十分に高い水準の労働者を指すのであり、経営層や部長クラス以上を想定していると思われます。過去の判例では、飲食店の店長は管理監督者ではないとして残業代の支払いが命令されたこともありました。管理監督者についても、不当な慣行が行われている事例のひとつだと思います。

ひとりひとりの働き方改革と、多様な働き方の実現

働き方改革の中では、弱い個人を守る基準は厳格化し、その上で交渉力がある個人に対しては、いっそうの自由度を高めるようなさまざまな施策がとられているのです。そのひとつが高度プロフェッショナル制度だといえます。今回の立法では、裁量労働制の適用範囲の拡大も検討されていました。結果的に延期されましたが、政策目的としては整合的であるとも考えられます。

働き方改革の中では、労働基準監督署の一部の業務を民間委託し規制を拡大するような報道もありますし、法改正の中では行政機関へ訴え出る手続きも整備されています。これからは曖昧なルールの中で働くことを恐れるのではなく、自身のキャリア形成についてひとりひとりがよく考え、主張すべき時には主張することが求められる時代になってきています。改めてひとりひとりが働き方改革を理解し、改革を進めていくことが大切だと思います。

【編集部より】
「高度プロフェッショナル制度」に関する記事はこちら

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執筆者紹介

松井勇策(社会保険労務士・産業カウンセラー・Webアーキテクト) 東京都社会保険労務士会 広報委員長(新宿支部)。フォレストコンサルティング社会保険労務士事務所代表。名古屋大学法学部卒業後、株式会社リクルートにて広告企画・人事コンサルティングの営業職に従事、のち経営管理部門で法務・監査・ITマネジメント等に関わる。その後、社会保険労務士として独立。労働法務の問題や法改正への対応、IPO支援、人事制度整備支援、ほかIT/広報関連の知見を生かしたブランディング戦略等を専門にしている。

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