コラム

成熟社会と働き方


なぜ副業を禁止するの? 社員の副業を推奨すべき7つの理由

2016.03.30

  • 働き方
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ここ数年で、「副業」や「パラレルキャリア」など、本業以外に収益源を持つ働き方に関するキーワードを目にする機会が爆発的に増えました。

それにも関わらず、未だに多くの企業では就業規則で副業を禁止しています。平成26年度 兼業・副業に係る取組み実態調査事業報告書(経済産業省)によれば、副業を認めていない企業が96.2%を占め、容認している企業はわずか3.8%、推奨している企業はゼロでした。

「副業禁止規定」は、どの企業もリソースを投下すれば投下した分の成長が約束された高度経済成長期においては、有効に機能しました。しかし、「99.2%の企業が30年以内に潰れる」成熟社会の日本では、企業も個人も、そして国も、誰も幸せにならない「三方悪し」の仕組みです。そのため、副業禁止規定を早急に無くし、むしろ副業を推奨していくべきです。

そもそも「自社がなぜ社員の副業を禁止しているのか」の理由を明確に、納得感のある形で答えられる方がどれだけいるでしょうか。

「時間を圧迫することで本業に支障を来す」というならば、支障を来さない範囲であれば認められることになりますし、「守秘義務に反する可能性がある」というならば、守秘義務に違反しない範囲内であれば認められることになります。つまり、副業を禁止している明確な理由は実はもうほとんどなくて、「そういう決まりだから」というお役所的な回答しかできないのが現実でしょう。

副業を推奨すべき7つの理由

それでは、社員が副業を行うことが一体どんなメリットを会社にもたらすのでしょうか。
いくつかの理由を完結にお伝えしましょう。

1.副業はコストゼロの社員研修

副業には大きく分けて2パターンあります。一つは本業で得たスキル・経験を活かした副業。もう一つは本業では得られないスキル・経験が得られる副業です。例えばWebマーケティング担当者が、顧客の集客に課題を持つNPOでプロボノとして働くことは前者でしょうし、営業担当者が趣味のイラストを活かしてクラウドソーシングでイラスト制作の仕事を受けることは後者にあたるでしょう。

そのいずれも、本業に活かせる余地は十分にあることは想像に難くありません。そうした「実践的な研修」のような役割を果たしてくれるのが副業なのです。

2.副業は社員のクリエイティビティを高めてくれる

副業をはじめると、本業だけをやっていた時には出会えなかった人に会えたり、得られなかった情報が得られたり、スキルが身についたりします。そういった情報・スキル・人脈を掛け算することによって、それまでは出てこなかった発想が湯水のごとく出てくるようになります。

3.副業は組織のトランザクティブメモリーを増やす

最先端の経営学では、組織にとって共有されるべきは“What”そのものではなく、「誰々さんならそのことを知っているはずだから、彼に話を聞けばいい」という“Who knows what”であるという「トランザクティブメモリー」が大切だとされています。もし、社員のネットワークが自社内に閉じていると、自社の社員分しかトランザクティブメモリーが機能しませんが、副業を通じてネットワークが社外に広がると、その分組織全体のトランザクティブメモリーが増大することになります。

4.副業は社員のモチベーションアップにつながる

人は「やりたいこと」(Will)と「やれること」(Can)と「やるべきこと」(Must)の3つが一致している状態に一番モチベーションが高まる、というのは既に周知のモチベーション理論ですが、それを体現できている企業は実に少ないのが実態です。とりわけ、企業の論理においては「やりたいこと」を我慢せざるをえず、それによってモチベーションが低下してしまうケースが大きいですが、社外で「やりたいこと」が実現できていると、本業でのモチベーション低下を防ぎ、モチベーションアップにつなげることが可能になります。

5.副業を認めると、人材採用の競争優位になる

世の中の多くの人が副業に興味関心を持つ反面、多くの企業では副業が禁止されているため、求人や自社HPで「うちは副業OKだよ」と謳うだけで、実は大きな差別化要素になってしまいます。例えばエンファクトリーという企業では「専業禁止」と、明示的に副業を推奨した結果、多数のテレビ・新聞・Webメディアでも取り上げられ、応募が急増したそうです。あと5年もすれば、副業OKが当たり前になるはずなので、この魔法が使えるのは今のうちだけかもしれませんね。

6.副業を認めると、社員が会社をブランディングしてくれる

社外での活動を認めると、その活動がマーケットで認められれば、勉強会やセミナーで講師としてオファーをされたり、業界紙への寄稿を依頼されたりするケースがどんどん増えていきます。副業を推奨していない会社の場合だと、会社に隠れてやっているケースがほとんどなので、匿名やペンネーム、実名でも会社名は伏せていることが多いですが、会社名が出せると、それだけで費用をかけずにパブリシティを増やすことにつながるのです。

7.副業を認めると、社員の離職防止につながる

採用獲得競争が熾烈を極めるいま、足し算(新規採用)が難しいならば引き算(退職)を減らすしかないと、離職防止(リテンション)が経営上の重要なテーマになっているのは皆さんご存知の通りです。社員から退職の申し入れがあってから、給与の引き上げや配置転換の打診をするのではもう遅いと言えます。

4のモチベーションアップにもつながるのですが、社員が「やりたいこと」を副業として認め推奨することは、適度の「ガス抜き」にもつながるのです。転職を考える理由は人それぞれですが、「やりたいこと」ができ、それが今の職場では実現できないから転職したいと考える社員がいた時に、「だったら、副業でやってみたら?」という「第三の選択肢」が提案できると、転職する理由がなくなってしまうのです。

以上、「副業を推奨すべき7つの理由」をご紹介しましたが、いかがでしょうか?

何を隠そうこの僕も、2年前に個人事業をはじめ、昨年自分の会社を登記した後も、未だにサラリーマンで居続けているのは、仕事そのものが面白いこと、組織文化自体が好きなことに加えて、副業がOKであることが非常に大きいです。あまりにもやりたいことがたくさんありすぎるので、どんなにやりがい溢れる会社でも、副業がNGな時点で選択肢から外れてしまうのです。

皆さんの会社ではどうでしょう? 心の底では副業にチャレンジしたい!と思っていたり、実は会社に黙って副業をしていたりする社員が、必ずいるはずです。いきなり全社的に副業を認め、推奨することは難しいかもしれませんが、まずはその人たちの声を聴くところからスタートしてみることをオススメします。

執筆者紹介

西村創一朗(にしむら・そういちろう) 1988年生まれ。大手人材総合会社で法人営業を経て、現在は新規事業開発とキャリア採用を兼務する一方、NPO法人ファザーリングジャパンにて最年少理事を務め、昨年6月には自身の会社として株式会社HARESを設立。大学1年時に高校生の頃から付き合っていた彼女と結婚し、19歳で父親になり、現在は三児の父。プライベートブログ「Now or Never」は月間30万PVを超える。ニュースキュレーションアプリNewsPicksでも精力的に発信を続け、フォロワーは46,000人を超える。

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