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特集

特集「ブラック企業からの脱却」第4弾


社員9人から3,000人超に急成長しながらホワイト企業化する方法

2019.03.20

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人材サービス業界で急成長している「ネオキャリア」(東京・新宿)。社員数は設立から19年間で9人から3,000人以上に達した。急成長企業につきまといやすいのが、業務過多や人手不足による社員の長時間労働だ。ネオキャリアも同様の状態に陥っていたが、勤務体制や意識改革により2017年には「働き方改革成功企業ランキング」(就職・転職者の口コミサイト「Vorkers」調べ)で3位にランクインした。ホワイト企業化しながら業績を上げ続ける秘策とは。執行役員で人事戦略本部長の堀内猛志さん、人材開発部の古川英里さんに取材した。【取材:2019年1月7日】

【特集】ブラック企業からの脱却(トップページ)

目次
  1. 全員が「兼務、兼務、兼務」の状態。時間制限なく働くように
  2. 物理的に「働き過ぎない」環境にする
  3. 「野球ではなく、サッカーの戦い方で勝負する」
  4. マネジメント力を向上させる重要な意味

全員が「兼務、兼務、兼務」の状態。時間制限なく働くように

ネオキャリアは2000年の設立以来、中途採用支援、新卒採用支援、ヘルスケア・海外分野への人材紹介、HRテクノロジーへと事業を拡大。2006~2010年には人手不足感が高まり、社員が1人で営業、求人広告の制作、顧客管理の全ての業務をこなす「プレイヤー兼管理職」になっていた。

堀内さんは「当時は業務量が多過ぎて、日をまたいで仕事をすることもあった」と振り返る。また、夜に外で食事をしてから会社に戻って仕事をし、終電がなくなってタクシーで帰る日もあり「そもそも時間管理の意識があまりなかったかもしれない」と語る。

業務時間が長くなる理由は他にもあった。ネオキャリアの強みであり、事業成長の核となる「若手の人材の多さ」だ。
同社は20~30代の社員が多く、当時の平均年齢は20代半ば。指導経験が少なく、マネジメントに慣れていない若い社員が、より若い社員をマネジメントしようとすると相当の時間がかかる。通常業務に加え、不慣れなマネジメント業務が重なれば長時間労働になるのは想像に難くない。

物理的に「働き過ぎない」環境にする

「労働集約型である人材業界では、離職率を下げて社員を集めなければ事業拡大できない」(堀内さん)。その思いから、2011年ごろから全社的に働き方改革を推進し始めた。

退社推奨時間を午後9時に設定し、パソコンは同時刻に強制的にシャットダウンする。休日出勤や残業をする場合は上司の許可が下りなければ勤務できない。物理的に「時間制限なく働く」ことができない環境をつくり出している。営業部門は自社のHRテクノロジーを活用してインサイドセールスに切り替え、業務効率化に努めた。社員1人にかかる業務量を減らし、ワークシェアにも取り組んでいる。

さらに、社員の心身の変化を把握する調査を2種類導入した。

一つ目は仕事や会社、人(社員)、給与への期待度や満足度を図るための年2回実施の詳細なアンケート。二つ目は、より細かな変化を見つける簡易的なアンケートだ。新卒社員は週1回、中途社員には月1回実施し、仕事や上司、プライベートへの満足感に関するいくつかの質問に答えてもらう。
2種類の調査で大きな変化があった社員には、人材開発部の社員が個別に話を聞く。短期、長期の2軸で定量的な評価を確認し続けることで「離職の黄色信号が灯る前に、悩んでいる社員を見つけることができる」(堀内さん)

ネオキャリア執行役員で人事戦略本部長の堀内猛志さん

「野球ではなく、サッカーの戦い方で勝負する」

限られた業務時間で右肩上がりの業績を出すためには、効率的に働く意識を社内に浸透させなければならない。それを体現するのが、「野球ではなく、サッカーの戦い方で勝負する」という考え方だ。

「野球のように、9回裏まで何時間かかっても勝負し続けるのではない。90分間の限られた時間、ピッチで全力で動いて点を奪うサッカー(のような働き方)をする」(堀内さん)

他者よりも高い目標を掲げて仕事をし、集中して成果を上げる社員が集まれば、ホワイト企業化しながら事業成長を遂げることができる。全社的にその意識をトップダウンで周知させるほか、採用の段階でも必ずその方針を伝えている。

主体的に仕事に取り組んで成長する人材を集めることで社内の「意識(心)」を統一し、働き方のルールやHRテクノロジーを導入し(技)、社員の健康状態やストレスの有無(体)を確認する。堀内さんは「『技』だけでなく、『心技体』の3つがそろわなければ働き方改革はできない」と強調する。同社では多角的な働き方改革によって離職率も低下しているそうだ。

マネジメント力の向上で採用力強化も

ネオキャリアが力を入れているのが、マネジメント力の向上だ。ホワイト企業化するための方策ではあるが、実はもう一つ、重要な意味を持っている。

同社が働き方改革と並行して進めているのが、キャリア開発だ。
堀内さんは「企業が拡大していく中で、事業成長だけでなく人材育成も考えるようになった」と説明する。堀内さんによると、近年は採用時から企業の成長以上に「今すぐにでも自己成長したい」と話す人が増えている。

企業の行く末を左右する採用で優秀な人材を取り込んでも、彼らのキャリア開発の欲求に応えられなければ、離職者が増える可能性がある。この課題の解決策としても、マネジメント力の向上が必須となる。

2016年からは社内研修「ネオキャリア大学」を実施。希望者が90~120分の講座を受講し、タイムマネジメントを含むビジネススキル、リーダシップのスキルを学ぶことができる。古川さんは「25歳以下、入社3年以内の参加が多く、若手社員が積極的にスキルアップを望んでいる」と話す。

ネオキャリア人材開発部の古川英里さん

さらに、優秀層の社員のみが参加できる研修「ネオジェネ」も始まった。部長級、副部長やマネジャー級、リーダー級の各部門からそれぞれ、実績があり顧客から高い評価を得るトップラインの社員が参加。それぞれが次の役職を担うためのマネジメント力を身につける。同社の西澤亮一社長をはじめとする経営陣、外部講師、他企業の社長らが直接指導し、高い成長力が見込まれている。

また、ネオジェネには優秀層のマネジメント能力を伸ばし、彼らの影響力が社内全体に広げる狙いもある。ネオジェネ参加者を採用面接やリクルーター、メンターに起用して採用力も強化する。

ネオキャリアでは、勤務ルールの徹底、「短時間で成果を出し、成長し続ける」意識の醸成、社員の心身の変化の把握、マネジメント力の向上が関わり合って、働き方改革と事業成長を成し遂げている。経営者や人事担当者は、自社ではどのフェーズから取り組むべきか考えるきっかけにしてほしい。【取材・編集:@人事編集部】

企業情報

株式会社ネオキャリア
・本社所在地:東京都新宿区西新宿1-22-2 新宿サンエービル2階
・設立:2000年11月
・従業員数:3,103人(2018年6月時点)
・事業内容:新卒採用・中途採用支援事業、HRプラットフォーム事業、保育・医療系人材紹介、介護・一般派遣事業、海外中途人材紹介事業、BPO事業、人事制度・組織改革支援事業

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