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研修のプロ「TAC」の社員・講師が教える社員研修虎の巻 Vol.1


社員研修は現場のニーズを知ることが鍵! ズレない社員研修プログラム

2019.03.04

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社員研修の目的はさまざまだ。新卒向けのビジネスマナー研修から始まり、社員のモチベーションアップ、業務に直結するスキルアップを目的としたもの、管理者向けのマネジメント研修など、多岐に渡る。
そもそも、社員研修を計画・実施する人事担当者に求められるものは何だろうか。その社員研修はどんな目的を持って実施されるものなのか、一度考えてみる必要があるかもしれない。

今回は、企業向けの社員研修実績を多数持つTAC(東京・千代田区)の岡本豪氏に、社員研修をプログラムする際に、人事担当者に必要な視点や注意すべきポイントを聞いた。【取材日:2019年1月22日】

目次

岡本 豪

TAC株式会社 法人事業部法人営業1部 第3グループ責任者
1975年、千葉県出身。大学卒業後、システム会社にて基幹システムの営業職、監査法人系教育会社にて主に財務研修およびコンプライアンス、リスクマネジメント系研修の営業職を経て、2008年にTACに入社。以来、社員育成に注力している企業を中心に、さまざまな分野における研修を提案している。仕事のモットーは「お客様の立場に立って考える」

 

社員研修は社員と会社の持続的な成長のために行う

──そもそものところからお伺いしたいのですが、企業にとって、なぜ研修が必要なのでしょうか?

岡本豪氏(以下、岡本) 人は生まれてから、社会人になってもずっと勉強を続けていくものですよね。その理由は、勉強しないと成長が止まってしまうからです。個人の成長が止まると新しい活動が生まれず、会社が成長することもできなくなってしまいます。

それゆえ企業では社員の育成が最重要課題の一つであり、そのためにさまざまな知識・スキルが学べる研修が必要となるわけです。とは言っても、短期的な成長で終わってしまっては意味がありません。だからこそ計画的かつ継続的に実施しなければならないというわけです。

まずはニーズの収集・分析から始めよう

──これから研修を実施する人事担当者のために、研修のテーマ設定から実施までのフローのポイントを教えてください。

岡本 おそらく、初めて自分で研修を企画するという人事担当者の方であれば、「どのような社員を対象にどのような研修を実施すれば良いのか」が分からないという状態ですよね。そこで、まずは「ニーズの収集」を行うことが必要です。

例えば社員の方に「今後会社で働いていく上で、どのようなスキルを身に付けたいと思っていますか?」といったような質問を記載したアンケートを配り、回答してもらいます。またそれと同時に、その上司の方を対象としたアンケートも実施したほうが良いでしょう。なぜならば、社員自身が足りないと感じているスキルと、上司や経営層の方が社員に身に付けてもらいたいと考えているスキルというのは往々にして違うからです。

次に、社員と上司の双方からアンケートを回収し、その結果をしっかり分析します。この分析が非常に重要です。これによって、対象とする社員が必要と感じているスキルと、上司の考えるニーズとが合致する研修テーマや、またはギャップがある場合にはそれを埋めることができる研修テーマが見えてくるはずです。

その上で、研修の目標・目的を定め、それに沿って内容と講師を決定し、事前に受講対象者に告知します。この目標・目的をしっかり定め、伝えるということが、研修を成功させるために最も重要なことだと言っても過言ではありません。

人は目的が明確になっているとモチベーションが上がり、成果を出しやすくなります。それは研修も同じです。あらかじめ受講者が研修の目的を理解していれば、受講に対する意識が上がります。真剣さが増し、講義内容の吸収の度合いも上がり、結果として、研修で学んだことを職場で生かせる可能性が高まります。

研修のテーマ設定から実施までの【POINT】

・社員研修は個人と企業の持続的な成長のために必要
・社員研修は継続的に行うことが重要
・研修の基本的なフロー:
 ニーズ調査→分析→受講対象者・研修の目標・目的の決定→研修内容・開催日時・場所の決定→受講対象者への告知→実施
・研修の目的と内容をしっかり定め、事前に受講者に告知することが重要

担当者自身が当事者意識を持ち、研修後のことまで見据える

──研修計画を立てる際の注意点を教えてください。

岡本 例えば「社長や上司からこの研修を実施するように言われたから」とか「前任者から引き継いで、従来通りの研修をただ実施しているだけ」といったことで研修を実施するケースもあるでしょう。ただこういった場合、往々にしてニーズの収集・分析を行っていません、すると、適切な受講対象者を選択することができず、明確な研修の目的も決められなくなります。こういった状況は、受講者にも必ず伝わります。当然、受講者のモチベーションも上がりませんから、研修を実施しても、なかなか効果は出ません。だからこそ、まずは研修担当者として当事者意識を持ち、この研修は何のために実施するのかということを明確にして、しっかりとテーマを決めた上で計画を立てるのが良いと思います。

また合わせて、“テーマの設定から実施までのフロー”だけではなく、実施後のことまでを見据えることが非常に重要です。担当者の方によっては研修を会社のイベントとして考えてしまい、「こんな研修をやってこんなことが学べました」と、それだけで満足してしまうケースがあります。しかし、研修は実施した後に、受講者に学んだことを仕事の現場で実践してもらわないと意味がありません。「知っている」と「実践できる」の間には大きな壁があります。だからこそ研修後に、業務遂行の場でどう変わったかということまでフォローするプロセス管理が重要になってくるのです。

「「人事担当者の投げやりな気持ちは必ず受講者に伝わる。研修の目的を担当者自身がしっかりと考えることが重要」と語る岡本氏
「研修の目的を事前に周知しておくことで、研修における社員のモチベーションが格段に上がります」(岡本氏)

当社の研修ではこういったフォローアップまで行うことがあります。例えば研修の最後に講師が「この研修で学んだことをぜひ仕事の現場で実践してください。1カ月後にもう1回フォローアップ研修を行うので、その時に成果報告をしてください」と受講者に告げます。そうすると、受講者は研修後の現場で嫌でも実践するようになりますね。 このように、研修計画を立てる段階から、現場での実践状況を確認するような機会を設けるとよいでしょう。

それともう一つご注意していただきたいことがあります。人事担当の方の中には、研修の受講者に対して「あなたたちはこういうことがちゃんとできていないから、この研修を受けなさい」というように、どうしても上から目線になってしまう人も多いように思います。こういった態度では、受講者から反感を買ってしまいます。研修に対するモチベーションも下がりますから、結果的に効果が出ないということにもなりかねません。確かに足りないところがたくさんあるかもしれませんが、受講者も一人の立派な社会人として扱い、尊重してあげてほしいと思います。

研修計画を立てる際の【POINT】

・研修担当者が当事者意識をもつ
・研修計画を立てる際は、フォローアップ研修まで組み込む
・上から目線にならず、受講者を尊重する

内製すべきものとアウトソースすべき社員研修の見極め方

──研修にも全部社内で実施する内製型と研修会社に依頼するアウトソース型の2種類があると思いますが、その見極め方を教えてください。

岡本 まず、研修で伝えたい内容が自社業務に直結している場合には、内製化した方がよいと言えます。実際に自社の業務を理解し、経験し、実績を上げている人が講師役を務めた方が、説得力がありますからね。ただ注意すべきは、社内講師のデリバリースキル(話し、伝える技術)が必要十分であるかどうかという点です。伝えるべきことは分かっていても、デリバリースキルが足りず、受講者に全く伝わらないというケースだってありますから。継続して社内講師を戦略的に育成していくということであれば、講師役となる社員に対して、デリバリースキルやファシリテーションスキルといった基礎的なトレーニングを実施していくべきでしょう。そうでない場合には、一度研修会社にアウトソーシングして、テーマ・内容を伝えたうえで、講師選びから一緒に作り上げていった方が効率的です。

逆にアウトソースした方がいい研修の一つとして挙げられるのが、資格試験対策の研修です。試験に合格することを目的とするのであれば、試験合格の専門的な知識とノウハウを持っている人が講師を務めたほうが、間違いなく効果的です。研修会社の講師は講師業を専門とするプロ講師なので、デリバリースキルにも問題はありません。

その点で当社は自信を持っています。特に会計・不動産・情報処理系の資格に強いこともあり、そこから派生する内容の研修も非常に多くいただいていますね。コンテンツ、講師ともに豊富に取り揃えていますので、お客様の課題に応じてさまざまな角度からの提案が可能です。

「アウトソースするかしないかの見極めは講師のデリバリースキルが判断材料となる」と語る岡本氏
「社内講師のデリバリースキルはかなり重要です」(岡本氏)

他にアウトソースしたほうがいい研修としては、コミュニケーション研修は、その分野に特化したプロ講師に登壇してもらった方がより効果が期待できますね。

また、実績が豊富な研修会社や講師にアウトソースすることで、さまざまな業種・業態での実施事例や成功事例等を知ることができるというメリットもあります。

それから、内製とアウトソースの両方のメリットを組み合わせた“いいとこ取り”の研修方法もあります。例えば、基礎となる土台の部分はアウトソースしてプロ講師にレクチャーを依頼し、それ以降、仕事の現場で実践する部分は、社内の実績のある社員を講師にして研修を組み立てるといった方法です。全てをアウトソースしてしまうとコストも時間もかさんでしまうので、自社でできること・できないことを見極めることも必要です。

内製すべきものとアウトソースすべき社員研修の見極め方【POINT】

・研修で教える内容が自社業務に直結する場合は内製
・専門的な知識の場合はアウトソース
・内製とアウトソースの両方のメリットを組み合わせることも可能

アウトソースする際の研修会社への相談の仕方

──研修をアウトソースする場合、研修会社にはどのように相談すればよいのでしょうか?

岡本 研修会社への最初の問い合わせの段階では、具体的な研修の内容が決まっていなくても「おおまかにこういった研修を実施したい」といったように、漠然とした感じで大丈夫です。当社では、実際に研修担当者とお会いしてヒアリングを行い、細かいニーズを把握し、担当者の方が考えていることを顕在化するようにしています。こちらからお出しできる情報と担当者の方からいただく情報を掛け合わせて、検討していくということを繰り返す中で、実際にどのような研修をやるべきかを決めていきます。

──研修担当者にヒアリングする際、どんなことを質問するのですか?

岡本 まずは、どのような目的で、どのような社員に、どのようなことを身に付けて欲しいのか、という3点です。さらに、研修のゴール設定についてお聞きすることも重要ですね。その他に、実施する時期や、予算といったことがヒアリングの必須事項です。

アウトソースする際の研修会社への相談の仕方【POINT】

・最初の段階では漠然とした内容でも大丈夫
・研修会社の担当者と何度か打ち合わせを重ねる中で細部を詰めていく

研修のプロ「TAC」の社員・講師が教える社員研修虎の巻、次回は社員研修にありがちな失敗例を基に、社員研修成功のポイントを紹介する。

【取材・編集:@人事編集部】

【編集部より】
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執筆者紹介

山下 久猛(フリーランスライター・編集者) バイクレース専門誌、旅行情報誌、転職サイトを経て独立。現在は主にビジネス、キャリア、転職などの分野で取材、執筆、編集、撮影などを行っている。 特に人物インタビューを得意としており、雑誌・Webでロングインタビュー記事の連載のほか、仕事紹介系書籍の執筆や、経営者本の構成も数多く手掛けている。 趣味は居酒屋巡りと写真とスキューバダイビング。 http://interviewer69.com

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