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特集「ブラック企業からの脱却」第1弾 ブラック企業チェックリストも用意


ブラック企業の新特徴は◯◯させない!? 弁護士が実際の企業事例で解説

2019.02.28

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もし、自社の社員が過労死して裁判になってしまったら――。数億円の損害賠償、社会的制裁、SNSでの炎上、新たな人材の採用難……と重すぎる代償を払うことになる。@人事は労働問題を専門とし、日本労働弁護団の事務局次長を務める笠置裕亮弁護士に取材。「ブラック企業」の特徴や近年の新しい傾向、企業がブラック化する原因、ホワイト化するために持つべき意識を聞いた。

また、笠置弁護士監修の「ブラック企業チェックリスト」も用意。自社がいくつの項目に当てはまるか、現実をよく見つめてほしい。【取材:2019年1月16日】

【特集】ブラック企業からの脱却(トップページ)

目次
  1. ブラック企業の特徴にも新たな傾向が
  2. ブラック企業になりやすいのはIT、金融、飲食、製造、医療業界
  3. 紛争化したときのリスクは数億円規模

ブラック企業の特徴にも新たな傾向が

現在、厚生労働省ではブラック企業の定義は示していないが、笠置弁護士は「労働者の心身を危険にさらす労働を強い、労働法規違反を繰り返す企業」と定義する。

ブラック企業の特徴(手法)は、長時間労働、サービス残業の常態化、有給休暇を取得できない、「名ばかり管理職」で割増賃金が支払われないなど。笠置弁護士によると、2015年ごろからは新たなブラック企業の手法が現れた。それが「社員を退職させない」手法だ。

例えば、都内のとあるコンサルティング会社(A社)では、中途採用の求人広告で研修制度の充実さをアピールしていた。しかし、実は研修費用は有料で、社員が一定期間会社に勤めなければ高額の研修費用を全額返還しなければならないルールがあった。ルールは入社前には一切伝えられず、一度入社した社員は返還の請求を恐れるがあまり退職することができないという。

この企業は、社員に研修費用を背負わせることで退職しにくい状況をつくっている。近年の人手不足の影響からか、不法行為に当たりかねないルールを設けて社員を退職させないブラック企業が登場している。

それ以外にも、退職した社員に不当な損害賠償を負わせる事例がある

2015年5月、神奈川県内のIT企業(B社)が、退職した男性社員に「詐病によって会社を欺き、説得を無視して一方的に退社した」として横浜地裁に損害賠償を請求した。男性はB社での長時間労働や上司からのパワハラが原因で、医師から精神疾患の診断を受けた上で退職していた。この提訴により症状が悪化し、精神的苦痛を受けたとして、男性が同11月に同地裁に反訴。同地裁はB社の請求を全面棄却して男性の主張を認め、B社が男性に110万円を支払うよう命じた。笠置弁護士によると、企業が退職後の社員に損害賠償請求を起こすケースは珍しく、判例として貴重だという。退職者に賠償を負わせる手法は、社員を退職できないようにすることにつながる可能性もある。

日本労働弁護団の事務局次長の笠置裕亮弁護士ブラック企業の最新事例を紹介する笠置弁護士

ブラック企業になりやすいのはIT、金融、飲食、製造、医療業界

ブラック企業になりやすい企業に共通点はあるのか。笠置弁護士によると、労働問題の事例を見ていると2000年代以降に設立された比較的新しい企業であることが多い。経営者が社内外の意見を受け入れない、企業が一気に事業拡大をしていて人手が足りない、社員の入社・退社の動きが激しいなどの状況が重なると、ブラック企業になりやすい。

もちろんブラック企業はどの業界にも存在するが、特に以下の業界では多いそうだ。各業界の特徴をまとめた。

・IT業界:企業間競争の激化による業務過多、重層的な下請け構造による業務単価の安さなどが原因
・金融:伝統的に労働時間の管理、長時間労働の是正に対する意識が薄い
・飲食・製造業:業態として長時間労働になりやすく、夜勤も多い
・医療関係:人材の入れ替えが激しく、パワハラやセクハラも多い

笠置弁護士は「ブラック企業の根源は、経営層による社員を安く長く働かせたい欲求」と分析する。その欲求が先走ると、みなし残業や裁量労働制など「給料を払わなくてもいい制度」を使い、長時間労働やサービス残業などのブラックな状態に近づく。近年は企業のグローバル化が進んで企業間競争が激化していることもあり、よる「安く長く働かせたい欲求」が高まってしまう。

また、企業がブラック化する背景には「日本的雇用」の慣例がある。日本的雇用とは、社員が私利私欲を捨てて企業に尽くす(滅私奉公)ことで、社員の身分や賃金が保証される仕組みだ。従前の終身雇用や年功序列の慣習が崩れつつある一方で、滅私奉公の意識は今でも日本企業の風土として根付いている

紛争化したときのリスクは数億円規模

もし自社がブラック企業となり、社員に損害賠償請求をされた場合、企業はどれほどの代償を負うのか。笠置弁護士によると、社員が過労死して裁判となった場合、企業は数千万~数億円の賠償金を支払う可能性がある。2008年に居酒屋チェーン「和民」で働いていた女性社員が過労死した事件(*1)では、運営のワタミ子会社が責任を認めて約1億3000万円を支払い遺族と和解した。そのほか、岐阜県の職員が上司に叱責され自殺した事件(*2)では約9,600万円、男性会社員が深夜勤務後に神奈川県内で交通事故死した事件(*3)では約7,600万円の賠償金が支払われた。

*1:出典「ワタミ、過労自殺訴訟で和解 1億3000万円支払い謝罪」(日本経済新聞)
*2:出典「岐阜県職員自殺賠償訴訟 パワハラ自殺、県と遺族和解」(毎日新聞)
*3:出典「深夜の帰宅、バイクが電柱に…過労事故死、見えない実態」(朝日新聞)

リスクは金銭面だけではない。過労死が起きればマスコミやSNSで企業名が一気に拡散され、社会的制裁を受ける。企業イメージはたちまち暴落し、採用活動にも多大な影響を及ぼす。場合によっては企業名を変えざるを得なくなることもある。

ブラック企業であることを原因に、紛争化したときのリスクはあまりにも大きい。笠置弁護士は「企業のリスクを正しく認識し、社員の使い捨て、滅私奉公を求めることを止めてほしい」と呼びかける。

東京五輪を終えた2020年以降、日本経済が不況に陥る懸念もある。「不況になればリストラも増える。残った数少ない社員が多くの業務を抱え込み、精神疾患や過労死につながることも予測される」(笠置弁護士)。不況になるとブラック企業が加速する未来が待っているかもしれない。「不況の足音」が聞こえる中、ブラック企業化からいかに早く足を洗うことができるか。企業にはいち早く決断してほしい。

「ブラック企業チェックリスト」ダウンロードはこちら

笠置弁護士監修の「ブラック企業チェックリスト」はこちらからダウンロードできる。

ブラック企業チェックリスト

笠置裕亮

神奈川県弁護士会、横浜法律事務所所属。2010年東京大学法学部卒、2012年に東京大学法科大学院既習者コースを修了。2013年に弁護士登録、日本労働弁護団に入会。過重労働による過労死、過労うつ、不当解雇などの案件を担当している。2015年より日本労働弁護団事務局次長。

【取材・編集:@人事編集部】

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