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コラム

@人事 ドイツ支部通信


採用基準に語学力は不要!? TOEICの点数とビジネス力は別物だ

2019.02.25

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「グローバル化」という言葉がもてはやされ、英語をはじめとした語学力は、ひとつの採用基準になっている。しかし、合理的な理由なしに「とりあえず」の語学力を求めてはいないだろうか。中途半端なドイツ語力で就活に臨んだ経験から、採用基準としての語学力について考えていきたい。

雨宮紫苑雨宮 紫苑(あまみや・しおん)

ドイツ在住、1991年生まれのフリーライター。大学在学中にドイツ留学を経験し、大学卒業後、再びドイツに渡る。ブログ『雨宮の迷走ニュース』を運営しながら、東洋経済オンラインやハフィントンポストなどに寄稿。

目次
  1. 6.2%の企業が語学力を「特に重視」
  2. そこそこの語学力ではビジネスはできない
  3. 語学力はほぼ自己申告のドイツ
  4. 「とりあえず」語学力は本当に必要なのか

6.2%の企業が語学力を「特に重視」

ヒト・モノの移動が活発になった現代、「国際市場で存在感を」「グローバル人材を育成すべし」といった声は日増しに大きくなっている。実際、採用選考の際にTOEICの点数を尋ねたり、SPIで英語のテストを設けたりする企業も多い。昇進の際、TOEICの点数を重視する企業もあるくらいだ。

経団連の『2018年度 新卒採用に関するアンケート調査結果』における「選考にあたって特に重視した点」では、コミュニケーション能力や主体性、チャレンジ精神、協調性、誠実性、という数値ではなかなか測れない人格的な要素が上位に上がるなか、語学力も6.2%という結果になっている。(参考:経団連

その理由は理解できる。これからの時代、英語、もとい語学力が必要だと「いわれている」からだ。しかし実際のところ、語学力を求められる仕事についている人はどの程度いるのだろうか。中途半端な語学力をもっている人を採用したところで、外国語でビジネスができるのだろうか。教養としての英語力を測るのであれば意味もあるのだろうが、「グローバル化」という言葉に気を取られ、語学力が不要な人にも中途半端なレベルの語学力を求めている気がしてならない。

そこそこの語学力ではビジネスはできない

2014年、わたしがドイツで就活したとき、「そこそこ」のドイツ語力をもっていた。どれくらいのレベルかというと、TOEIC換算で945点以上、現地の大学に入学できるレベルだ。しかし実際に働くとなると、「そこそこ」のドイツ語力ではまったく太刀打ちできないのが現実だった。

たとえばFossilのショップでアルバイトをしたときのこと。お客さんには、「この革とこの革はどうちがうの?」「秒針があって日付を設定できる時計は?」「パソコンを入れるのに最適なショルダーバックは?」などと聞かれた。

ショッピングする男性のイメージ

「そこそこ」のドイツ語力をもっていたわたしだが、革の種類のドイツ語なんて知らないし、「秒針」なんてドイツ語は使ったことがない。ショルダーバッグの機能性を説明する語彙力ももっていなかった。お客さんの住所を聞いたときも、地名や通りの名前がなかなか理解できない。保証書について聞かれても、保証書に使われている専門的な単語がよくわからない。メールでの書き言葉表現の知識が足りず、微妙な顔をされたこともあった。

「そこそこ」の外国語レベルでできる仕事なんて、本当に一握りだ。自分がお客さんだとしても、大きな金額が動く契約であれば、語学力が怪しい人の説明じゃ不安になる。企業だって、中途半端な語学力の外国人に大事な仕事は任せられないだろう。当然である。

語学力はほぼ自己申告のドイツ

こういった現実を目の当たりにしたから、「TOEIC700点以上」のような基準設定にどれほどの意味があるんだろう?と常々疑問に思っている。しかもTOEICではリーディングとリスニングの力しか測れないので、語学力の証明としての効力は限定的だ。さらに、日米以外の国ではほとんど使われていない。そもそも、語学テストで測れる語学力とビジネススキルはまったく別の話である。1年間留学してTOEICで満点をとった人が現地の人とビジネスができるとは限らない。だから、語学テストの点数を「国をまたいだビジネス能力」に直結させないほうがいい。語学テストはあくまでテストであり、対策できるものなのだから。

ちなみにドイツでの英語テストは、リーディング、リスニング、スピーキングとライティングセクションがあるTOEFLが主流で、場合によってはIELTSが使われる。しかし採用の際、「語学力をテストの点数で証明しろ」とは言われることはあまりない。基本的に語学力は「中級」「流暢」「ネイティブレベル」など自己申告である。求人でも、「Gute Kenntnisse(日常会話ができる中級レベル)」「Verhandlungssicher(ネイティブではないがそれと同等レベル)」など、区分はあくまでざっくりしたものだ。ドイツでは、実際にその言語で職務を遂行できるかが重視される。

たとえば求人で英語力を求められており、履歴書でも「English:Fluent」だと書いていれば、基本的に英語ですべての書類が読め、ネイティブと電話で契約の確認をし、資料を作ってプレゼンができるのだと理解される。だから突然英語の契約書を渡され、「これをまとめて先方に電話しておいて」と言われる可能性があるのだ。ドイツで大事なのは、いかにその言語で仕事ができるかどうか。だから細かいテストの点数は求められることはまずない。そのぶん、面接で「英語でこういうことはできますか」などと聞かれたりする。

「とりあえず」語学力は本当に必要なのか

語学力が日常的に必要になる日本にある企業は結構限られているだろう。海外とのつながりが強い企業でも、語学力必須なのは一部の部署だけではないだろうか。そういった仕事を任せる人に語学力を求めるのは当然だ。しかしそれなら、どんな種類のどんなレベルの語学力が必要かを明らかにすべきだろう。そうしなければ、その職務をまっとうできる語学力があるのかを測れないのだから。

海外クライアントと議論できるスピーキング力を求めるなら、その国の文化や価値観もある程度知っておかなければならないので、アカデミックな留学経験があるといいだろう。スピーキングのテストがないTOEICの点数はアテにならない。たまに英語でメールをする程度であれば、テンプレート+基礎的な英語でカバーできるかもしれない。それなら、ある程度の大学の英文科を出ていれば十分だ。語学力必須というレベルの環境であれば、語学テストや留学経験などで判断するよりも、その言語で面接したほうが手っ取り早い。

語学力を求める目的や理由を明確にすれば、それに応じた採用基準になってくる。それを欠いたまま「TOEIC○点以上」「留学経験者歓迎」と不要な「グローバル化」に縛られて無駄に採用のハードルをあげるのは、得策ではない。本当に語学力が必要なのか、必要とすればどの程度なのか。「グローバル化」という言葉に引っ張られて意味なく採用基準に語学力を加える前に、語学力を求める合理的な理由があるかどうかを、しっかりと見直してみるのもいいかもしれない。

面接する男女のイメージ

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執筆者紹介

雨宮紫苑(フリーライター) ドイツ在住、1991年生まれのフリーライター。大学在学中にドイツ留学を経験し、大学卒業後、再びドイツに渡る。ブログ『雨宮の迷走ニュース』を運営しながら、東洋経済オンラインやハフィントンポストなどに寄稿。著書に『日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち』(新潮新書)がある。

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