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社員の口コミデータからわかった、残業はないが成長もない「ゆるブラック企業」の業界は

2019.02.11

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ヴォーカーズ(東京・渋谷)は2月6日に、同社が運営する「働きがい研究所」の客員アナリスト・古屋星斗氏による分析レポート「残業はないが成長もない。“ゆるブラック企業”を見える化する」を発表した。

就職活動において“ブラック企業”を避けようとする傾向は強まっている一方で、自分の成長につながるような厳しい経験を得ることができない企業を“ゆるブラック企業”と呼ばれている。今回のレポートでは、今の日本において、「自分の成長に繋がる修羅場経験」をすることができる企業とはどういった企業なのかを、Vorkersの社員クチコミデータから考察している。以下、リリースより

残業はないが成長もない。“ゆるブラック企業”を見える化する

若い世代の労働に対する価値観が大きく変わっていると言われている。

2018年4月の新入社員へのアンケートで、「若いうちは進んで苦労すべきか」という質問に対しては、「好んで苦労することはない」と答えた人が34.1%と過去最高。「どのポストまで昇進したいか」に対して最も多かったのは、「社長」でも「部長」でも「専門職」でもなく、初の「どうでもよい」だった。(日本生産性本部, 『新入社員「働くことの意識」調査』,2018年度版)

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こうした状況のなか、就職活動において“ブラック企業”を避けようとする傾向は強まっており、働き方改革のなか、企業側も無駄な残業を減らす取組が進んでいる。異常とも言えるような過酷な労働環境を強いる企業が評価されなくなっていることは良いことだ。

日本の就活システムでは、スキルを持っていない学生が企業とマッチングする。企業は学生にスキルやパフォーマンスではなく、ポテンシャルを求めて採用しているわけなので、入職後にOJTやOff-JTの形で教育が行われるわけだ。日本においては、こうした入職時点でのマッチングの特徴から、特に20代において、「修羅場」や「厳しい場面を乗り切った成功体験」、「一皮むける瞬間」といった言葉で語られるようなOJT的な側面を持つ仕事の経験が重要であると語られることが多くある。もちろん、単なるハードワークではなく、振り返って「あの仕事をして良かった」と思えるような経験が重要となる。

ネット上では、こうした経験を得ることができない企業を“ゆるブラック企業”と呼ぶことが提唱され、労働環境は決して厳しくはないがスキルも得られず成長もない企業に対して議論を呼んでいる。
今回は、今の日本において、「自分の成長に繋がる修羅場経験」をすることができる企業とはどういった企業なのか、Vorkers社員クチコミデータから考える。

ハードワーカーの若者のうち、4割以上が20代成長環境を高く評価

「自分の成長に繋がる修羅場経験」には様々な形態があるが、今回は、ハードワークをこなしながらも、積極的に企業の20代での成長環境を評価している個人として考える。月の残業時間の20代の平均は35.6時間だが、今回は月60時間以上の者を抽出し、そのうち社員クチコミデータの「20代成長環境スコア」(5.0満点)が4.0よりも高い者を「自分の成長に繋がる修羅場経験」をすることができた者として検討する。

s_vorkers_2_190207整理すると、20代で月60時間以上残業している者は20.2%。また、月60時間以上であり、20代成長環境スコアに対して4.0以上を付けた者は20代のうち8.3%だった。
今回はこの8.3%の「自分の成長に繋がる修羅場経験」を企業から得ることができた個人に注目する。

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なお、「20代成長環境スコア」が4.0以上の者については、20代全体では32.6%しか該当者がいないが、月60時間以上の20代では4割を超える割合となっている。

20代で自分の成長に繋がる修羅場経験ができるのはどんな企業か

「自分の成長に繋がる修羅場経験」ができる企業の属性をまとめたのが以下の表である。

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企業規模別では、ベンチャー企業等の小規模な企業が最も高く11.6%、一方で5000人以上の超大企業では7.1%と最も低く、1.5倍程度の差がある。ベンチャー企業などの小規模な企業では、裁量権も大きく、20代において相応のポストに昇進することも珍しいことではなく、そうした環境がハードワークのなかから生み出される成長に繋がる良い経験に至っていると考えられる。

業種別にはコンサルティング30.7%、マスコミ19.7%が高く、インフラ、運輸3.0%、メディカル3.5%、メーカー・商社5.1%、金融5.2%あたりはかなり低くなっており、大きな差がある。コンサルティング企業は就活においても、早い段階でストレッチの機会が与えられ時としてUp or Outの環境のなかで自己のスキルを伸ばすことができるキャリアが一部の学生に魅力的に映っている。こうした状況が上の表にも表れていると言えるだろう。

これで、業種別や規模別で何人くらいが「自分の成長に繋がる修羅場経験」ができるか、ということはわかった。しかし、単に忙しいために「修羅場経験」ができる割合が高いのか、それとも「修羅場経験」に繋がるような良い経験ができる可能性が高い環境があるのか、はわからない。そこでこの2点を分解してみる。
「ハードワーク率」は、残業が月60時間を超えている者の割合である。「育った率」は、残業が月60時間を超えている者のなかで、20代成長環境スコアが4.0以上と高い者の割合である。

つまり、「育った率」が高いことは、ハードワークが良い経験となった個人が多いことを意味する。他方「育った率」が低い場合は、ハードワークが単なる過剰労働に終わり、成長機会には繋がっていないことを意味する。

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コンサルティングで全力疾走か、IT系で成長環境を選ぶか

2つの指標をまとめたのが以下の表である。

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ハードワークが多いのはどういった企業だろうか。「ハードワーク率」を見ると企業規模は大きくなるほど割合が下がっていく。しかし、「育った率」を見ると企業規模によって大きな差はない。小規模な企業では仕事の機会の多さが、結果として「自分の成長に繋がる修羅場経験」に至っているとわかる。

また、業種別にみた場合にはどうだろうか。コンサルティングとマスコミはともに、「自分の成長に繋がる修羅場経験」ができる割合が高い業種だった。しかし、分解してみると構造は大きく異なり、コンサルティングは「ハードワーク率」も「育った率」も高い反面、マスコミでは「ハードワーク率」は高く、「育った率」は平均程度であることがわかる。また、メーカー・商社と金融は、ともに「自分の成長に繋がる修羅場経験」が低い水準にあったが、金融のみは「育った率」は平均程度あり、仕事の機会に恵まれた個人にとっては成長の機会となる可能性は高い状態だ。

加えて、「自分の成長に繋がる修羅場経験」率では平均程度だった、IT・通信・インターネットは違った見方が出てくる。「ハードワーク率」は低いが、「育った率」が高い。ハードワークの仕事に当たれば成長できるが、そうした仕事ばかりなわけではない、という意味で自身のライフスタイルと相談しながら成長を追及できる業種といえるかもしれない。

“ゆるブラック企業”が多い業種を見える化する

最後に、「ハードワーク率」と「育った率」をもとに、業種をマッピングしてみる。

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平均の右上に存在している業種は「厳しい仕事が多く、成長できる」業種です。特に「ハードワーク率」と「育った率」の相関の近似曲線よりも上側にある、コンサルティングやIT・通信・インターネットは効果的に成長できる可能性が高いと言えるだろう。
他方、平均の左下に存在している業種は「厳しい仕事は少なく、当たっても成長できない」業種だ。特に近似曲線の下にある、インフラ、運輸、メーカー・商社、行政機関は20代で大きく成長できる可能性が低いことが示唆される。冒頭取り上げたような“ゆるブラック企業”はこうした業種に多い可能性がある。

人手不足の長期化。人生100年時代の到来。企業寿命の短期化。様々な要素が、個人と組織の関係をフラットなものにしようとしている。就活で“ホワイト企業”に入れたら逃げ切れる時代は終わった。自分の成長のために企業を利用する時代がきたときに、単に残業時間が短いことはあまり意味を持たなくなるのかもしれない。

客員アナリスト古屋星斗氏による分析レポート発表の背景

Vorkers「働きがい研究所」では、Vorkersに蓄積された「社員クチコミデータ」を分析し、次世代に向けた提言活動を行う客員アナリストを募集し、趣旨に賛同いただいた古屋氏に分析を依頼した。

古屋氏は大学院(教育社会学)修了後、経済産業省に入省。産業人材の育成、クリエイティブビジネス振興、福島の復興支援、成長戦略の策定に携わった後、2017年に同省退職。現在は次世代の若者のキャリアづくりや、労働市場の見通しについて研究者として活動するとともに、一般社団法人スクール・トゥ・ワークの代表理事として高校生のキャリアづくりに取り組んでいる。

Vorkers「働きがい研究所」の新コンテンツとして、「次の時代の『働く』論」と題し、古屋氏による分析レポートを順次発表する。社員クチコミデータを、「産業社会を映し出す鏡」と捉え、様々な角度から「働く」を紐解く古屋氏の分析に期待だ。

Vorkers「働きがい研究所」:https://www.vorkers.com/hatarakigai/
次の時代の「働く」論:https://www.vorkers.com/hatarakigai/research

古屋星斗氏プロフィール

大学院(教育社会学)修了後、経済産業省入省。産業人材の育成、クリエイティブビジネス振興、福島の復興支援、成長戦略の策定に携わり、アニメの制作現場から、東北の仮設住宅まで駆け回る。2017年、同省退職。現在は大学院時代からのテーマである、次世代の若者のキャリアづくりや、労働市場の見通しについて、研究者として活動する。非大卒の生徒への対話型キャリア教育を実践する、一般社団法人スクール・トゥ・ワーク代表理事。

【プレスリリース「残業はないが成長もない。“ゆるブラック企業”を見える化する」より|2019年2月6日・株式会社ヴォーカーズ】

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