就活ルール廃止元年 2021年卒早稲田生の本音(前編)
2021年卒緊急アンケート「就活ルールが廃止されても影響なし!? 」
2019.02.05
昨秋、経団連が2021年卒の新卒採用から「就活ルール」を廃止する指針を示した。採用選考の時期の定めがなくなり、学生は新たな環境で就職活動をせざるを得ない。21年卒の学生はルール廃止に何を感じ、どう就職活動をしようと考えているのか。
@人事は早稲田大学広告研究会の協力を得て、21年卒の早稲田生に緊急アンケートを実施。ルール廃止に対する意見や就職活動の開始予定時期に加えて、人気業界や不人気業界、インターンシップの人気職種についても赤裸々に答えてもらった。企業の人事担当者には21年卒の採用戦略に役立ててほしい。
※参考:経団連・中西会長「就活ルール」廃止に言及 安倍首相は遵守を呼びかけ
※参考:就活ルール廃止。今後の新卒採用のカギは「ファン」の創造
学生は前例のない就職活動に困惑
@人事では2018年12月、2021年卒予定の早稲田大学の学生を対象に、就職活動に関するアンケートを実施した。結果を分析すると、前例のない就職活動に学生たちのイメージが追いついていない現状が浮かび上がってきた。
就活ルール廃止:約半数が反対。「実際にやってみないとなんとも言えない」
就活ルール廃止への賛否を尋ねる質問では、17.4%が賛成、47.8%が反対、34.8%がどちらとも言えないと回答。ルール廃止に反対する意見が約半数となり、賛成を大きく上回った。
賛成の理由は「好きなように就活したい」「自分のタイミングで就活を始められるから」と、自分のペースで活動できることにメリットを感じていた。一方、反対の理由は「皆で一斉(に活動し始める)ならお互いに情報共有できるが、それがしにくい」「1年生から就活を始めなくてはいけなくなる」「サークルなど学生でなければできないことが就活によって遮られてしまうのは、長い人生で見れば損である」など。ルール廃止による就職活動の長期化、活動時期の自由化による足並みのずれを不安視している。
今回のアンケートで興味深かったのは、3割以上が「どちらとも言えない」と回答した点だ。「まだよく把握していない」「前例がない」「影響がよく分からない」「実際にやってみないとなんとも言えない」と、学生たちがルール廃止の実態をつかみきれていない様子が伺える。ルールの廃止によって就職活動がどのように変わるのか想像できず、現状では手探り状態なのかもしれない。
いつから就職活動する? :現行日程の20年卒とほぼ同じ「3年生の早期」から
いつから就職活動を始めるか尋ねる質問では、「3年生になったら」が30.4%、「3年生の6月(7月)」が26.1%となった。2つの回答を合わせると、半数以上が3年生の早い時期から就職活動をする予定だと分かった。
現行のルールで就職活動をする20年卒は、3年生からインターンシップに参加して企業研究を始め、企業説明会や面接に備えるケースが多い。21年卒は今のところ就活ルール廃止の実態がつかめていないため、就職活動の開始時期も20年卒と同じように考えているのではないか。
また、すでに2年から就職活動を始めている人もわずかに見られたほか、「何も決めていない」の回答もあった。
人気業界・不人気業界:商社や金融が人気。圧倒的不人気は広告
今回のアンケートでは学生にイメージの良い業界、悪い業界を3つまで選んでもらった。
イメージの良い業界1位は商社。「高給だから」「多くの就活生が受けるから」との回答が多く、根強い人気が伺える。2位は金融で「安定してずっと良い職業なイメージ」、3位のマスコミ・メディアは「興味がある」。4位のIT・情報通信は「最先端」「成長産業」との回答が集まり、各業界で取り入れられているAIやIoTに注目しているようだった。
イメージの悪い業界1位は広告。2016年に電通の新入社員が過労死した事件が学生の脳裏に今でも焼き付いているようだ。続く2位はマスコミ・メディア、3位は人材。1~3位は「ブラック」「休みが少なさそう」という回答が大半を占め、労働時間が長く、過酷な労働環境のイメージが直接「不人気」に結びついている。
マスコミ・メディアは人気業界、不人気業界の両方で上位に入った。学生から興味関心を集めるものの、過重労働のイメージから就職先としては選びにくい様子が伺える。
長期インターンシップ:就職活動の自己PRに使える、創造性の高い職種が人気
企業は学生との接触機会として、積極的にインターンシップに取り組んでいる。中でも、学生が半年以上参加する長期インターンシップは、より実務に近い体験ができることから学生の人気が高い。今回のアンケートでもその傾向が見られた。
アンケートで長期インターンシップの認知度や参加意欲を尋ねたところ、60.9%が「(長期インターンシップを)知っていて、今後参加してみたい」と回答。「知らなかったが、参加してみたい」の回答と合わせると73.9%となり、回答者の大半が意欲的だった。参加したい職種(複数回答可)は1位がマーケティング(56.5%)、2位デザイナー(34.8%)、3位企画職(30.4%)、4位ライター/編集(26.1%)。マーケティングでは事業の根幹となる企画段階から業務を学べる。就職活動時の自己PRの際に、具体的な実績として企業に伝えられる業務を期待しているのかもしれない。デザイナーやライターなど、創造性が高い職種にも人気が集まった。
企業が使う採用PRの言葉、どれが合う? :「自己成長」が「社会貢献」を上回る
最後に、企業が採用サイトや入社案内で使いやすいフレーズの中から、どれが自分に合うか選んでもらった(複数回答可)。
1位は「チームワーク」。企業の採用サイトの「求める人物像」でよく使われるフレーズで、学生の感覚とも一致しているようだ。2位は「クリエイティブ」で、学生は単純作業よりも、独自の視点で物事を考えたい欲求の方が強い。3位は自己成長。「社会貢献」や「地域貢献」よりも回答数が多く、自身のキャリアアップをより重視する傾向が分かった。「クリエイティブ」な仕事を通じて「自己成長」できる仕事を求める学生の思考も伺えた。
21年卒採用戦略は春までに立てないと間に合わない?
今回のアンケートからは、新しい就職活動に困惑する様子、ブラック企業のイメージが学生に与える影響の大きさ、創造性のある仕事や自己成長を求める志向が赤裸々に現れた。21年卒の学生は2019の早い段階からインターンシップや就職活動に参加するようだ。ということは、企業は21年卒の採用戦略を今春までに立てないと間に合わない。一足早く21卒の早稲田生の特徴をつかみ、自社の採用戦略の参考にしてほしい。
調査概要
・タイトル:情報メディア「@人事」早稲田大学2年生向け就職活動・インターンシップ意識調査
・調査対象:早稲田大学の2021年卒予定の学生
・調査期間:18年12月7~31日
・調査方法:インターネットのアンケートフォームによる調査
【編集部より】
■就活ルール廃止に関する記事はこちら
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