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コラム

@人事 ドイツ支部通信


ドイツの就活はインターン重視? 就活ルールがないドイツの採用方法

2019.01.29

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就活ルールの見直しにより、今後の就活システムがどう変わるかに注目が集まっている。この決定には多くの問題が指摘されているが、一方で就活ルールがない欧米では、日本で指摘されているような問題は起こっていない。それはなぜなのか、ドイツを例に考えていきたい。

雨宮紫苑雨宮 紫苑(あまみや・しおん)

ドイツ在住、1991年生まれのフリーライター。大学在学中にドイツ留学を経験し、大学卒業後、再びドイツに渡る。ブログ『雨宮の迷走ニュース』を運営しながら、東洋経済オンラインやハフィントンポストなどに寄稿。

目次
  1. 就活ルールがなくても機能するドイツの就活
  2. 欠員募集なら「早いもの勝ち」にならない
  3. 平均10週間のインターンシップが就職のカギ
  4. 10回の面接より3日一緒に働くという選択
  5. 職場に学生を受け入れ信頼関係を築いていく

就活ルールがなくても機能するドイツの就活

2021年度卒の採用活動に向けて、現在就活ルールが見直されている。経団連主導から政府主導にはなるが6月1日に面接を解禁する現日程を踏襲する予定らしいので、実際のところどの程度変化があるのかは未定だ。

しかし一時「就活ルール撤廃」という見出しで報じられていたため、企業側からは「常に採用活動をしなくてはいけなくなるのでは」、学生側からは「就活が長期化して学業に影響するのでは」という心配の声があがっていた。

就活ルールの見直しによって就活が「ノールールゲーム」になるのか、政府主導になるだけで実際ほとんど変わらないのか。いまだ不明な点が多く、不安に思う人が多いのも当然だろう。

一方、就活ルールが存在しないドイツでは、企業がそれを負担に思っているということや、学生が「就活により学業に集中できない」なんていう話はまず聞かない。それはなぜなのか。その理由を明らかにすることで、就活ルールが撤廃されたあとの採用をスムーズに行うためにはどうすればいいのかを考えていきたい。

欠員募集なら「早いもの勝ち」にならない

ドイツをはじめ多くの国では、欠員募集が基本である必要に応じて採用活動をするので、常に採用活動する必要はない。だからこそ、就活の期間を定めるルールがなくとも困らないのだ。

また、ドイツでは6割の学生が修業期間(日本なら4年、ドイツなら3年)より長く在籍するので、みんな同時に卒業することを前提に一括で採用すること自体が成り立たない(HOCHSCHULEN AUF EINEN BLICK)。

そういった背景もあり、学生は卒業する目処が立ってから、もしくは卒業してから就活をはじめる。在学中からインターンとして定期的に働きつつ授業が完全になくなるタイミングでフルタイム労働に切り替え、そのまま就職することもある。

ドイツでは、学生は自分の学業の進行具合に合わせて就活していく。そして欠員募集だから、「早く就活すれば有利」ということもない。

就活の期間に関するルールをなくすとしたら、常に採用・就職活動をするのは非現実的なので、日本もドイツのように「必要に応じて採用する就活する」流れになっていくだろう。つまり、あらかじめ枠を決めて欠員を補充するという方向性の採用を視野に入れていく必要が生まれるということだ。

欠員募集の場合、どんな仕事をどんな人に任せたいかをはっきりさせてからの求人となる。そうすれば、どんな学生にアピールすべきかも自然と見えてくるだろう。広報であればフリーペーパーをやっている学生にコンタクトをとる、経理であれば簿記の講座をとっている学生を狙うなど、よりマッチングしやすい学生と積極的にコンタクトを取ることが重要になるはずだ。

勉強する外国人女性のイメージ

平均10週間のインターンシップが就職のカギ

また、ドイツではインターンシップが非常に重視されており、かなりの割合の大学・専攻がインターン修了を卒業要件としている。

日本でいう高校生や大学入学前の人、大学生などさまざまなステータスの人をひっくるめた統計ではあるが、ドイツではインターンの1日平均労働時間は7.75時間、期間は平均10週間。インターンに「不満」と答えている人の平均期間が7週間で、「満足」と答えた人の平均期間が11週間なのは興味深い(PRAKTIKANTENREPORT 2012)。

ドイツの就活において、インターンの経験は自分の能力をアピールする絶好の武器だ。そのため、学生はインターンでなにを学べるかをとても重視する。

コピー取りやお茶汲みといった雑用だけしか任せなければ、学生は堂々と「これでは履歴書にかけないので仕事をください」「この仕事は僕の専攻に関わらないのでちがうチームを手伝わせてくれませんか」などと交渉する。

そのうえドイツは、日本と比較してフルコミット以外の働き方がしやすい国である。たとえば夏休み中はインターンとしてフルタイムで働き、そこで気に入られてその後も週2のバイトとして継続的に働くこともある。うまくいけばそのまま就職だ。

インターンあがりの新卒はインターンを通じてすでに仕事場の雰囲気や仕事内容を学んでいるので、フルタイムで働き始めたとたん「イメージとちがった」となることは少ない。実践的な長期インターンシップは、日本で問題となっているミスマッチ防止にもなる。

就活ルールがないドイツでは、インターンシップやアルバイトとして学生を受け入れることで、企業への入り口をオープンにしているのだ。

複数の外国人が話し合っているイメージ

10回の面接より3日一緒に働くという選択

現在日本ではインターンシップと就活を結びつけてはいけないことになっており、2018年度、インターンシップの期間は「1日」が53.4%。「2日」が8%で、「3日以上1週間未満」が21.3%だった。半数以上のインターンシップがたった1日で終わってしまい、8割以上が1週間未満の開催となっている(就職白書2018)。

しかし採用活動において、共に働く経験はもう少し評価されてもいいのでは、と思う。何回も面接するより、数日間一緒に働いた方がその人の人となりや能力もわかるからだ。

日本もドイツのように、インターンシップを通じて学生とのつながりを大事にしていくといいのではないだろうか。現行ルールを踏襲してインターンシップと就活を結びつけてはいけないとされるのであれば、学生アルバイトというかたちでもいい。

長期休暇のあいだだけフルタイムで働いてもらったり、週1からのアルバイトをOKにしたりと、大学に通いながらも働ける柔軟な環境を用意しておけば、『就活』という枠に縛られずとも学生との信頼関係を築くことができる。関わることができる実務や学べる内容を学生にしっかりと伝えれば、多くの学生がインターンやバイトに興味をもってくれるだろう。

また、学生の登録者数が多いワーキングシェアアプリ『Taimee』や『Wantedly』のようなビジネスSNSなどのツールを積極的に活用するのもおすすめだ。ほかにも、長期インターンに特化した『ゼロワンインターン』のようなインターン特化のサイトならばインターン生が集まりやすいだろうし、学生が書いたコードをもとに選考を進める『paiza新卒』といったサイトであれば、即戦力になりうるIT系の人材をインターン採用できる可能性が上がる。

インターンシップやアルバイトを「期間限定」としていれば、もし実際には採用したくない学生がいても「契約終了」を言い渡せばいいので、いきなり正社員として内定を出すよりもリスクが少ない。インターンシップやワークシェアリングを望んでいる学生が多く集まりそうなツールを使うことで、学生とのマッチング率も高まるはずだ。

職場に学生を受け入れ信頼関係を築いていく

就活ルール見直しによりフレキシブルな就活が実現したとしても、現行の大学システムがそれにすぐに対応できるわけではない。

それならば、融通が利きづらい大学制度に身を置く大学生を受け入れるために、企業側がフレキシブルな受け入れ体制を整えておくしかないだろう。そのためには欠員募集で求める人材を明確にしたり、インターンシップやアルバイトとして学生との関係性を築いたりするといいのではないだろうか。

今後は人口減少の影響でさらなる売り手市場になることが予想されており、内定辞退の増加も懸念されている。

だからこそ、学生にただ自社の魅力をアピールするのではなく、在学中から一緒に働き信頼関係を積み重ねていくことが大事だと思う。インターンやアルバイトで学生時代から長く身を置いていれば、「できることならこのまま就職したいな」と思ってくれる可能性も上がるだろう。

就活ルールの先行きはまだ不透明。しかし就活の自由度は、多少なりとも上がるはずだ。これからは、どんな人材をいつ募集するかを考え欠員募集の方向に舵を切り、職場に学生を柔軟に受け入れていくことがカギになるのではないだろうか。

執筆者紹介

雨宮紫苑(フリーライター) ドイツ在住、1991年生まれのフリーライター。大学在学中にドイツ留学を経験し、大学卒業後、再びドイツに渡る。ブログ『雨宮の迷走ニュース』を運営しながら、東洋経済オンラインやハフィントンポストなどに寄稿。著書に『日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち』(新潮新書)がある。

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