『職場の基礎代謝』著者・白井旬氏セミナー
組織の生産性向上を促す 働き方改革の新常識「職場の基礎代謝」とは
2019.01.11
働き方改革が進む昨今、組織の生産性向上や残業時間の見直しに注目が集まっている。しかし、それらを実現するために新たな社内ツールや人事制度を導入するも、うまく機能せず期待した結果が出ないと悩むことはないだろうか。
その悩みを解決するものとして「職場の基礎代謝」という新しい概念がある。『生産性を高める職場の基礎代謝』の著者白井旬氏が、同書の内容を基にしたセミナーを開催。「職場の基礎代謝」の概念や、地方の中小企業でも簡単に取り組むことができる生産性向上のメソッドについて語った。
白井旬
「職場の基礎代謝(R)」専門家/特定非営利活動法人沖縄人財クラスタ研究会代表理事
https://www.human-okinawa.org/syokuba-kisotaisya/
大学卒業後、大手旅行会社とITコンサル企業で7年ずつ業務を経験。その後、経済支援団体と地銀系シンクタンクを経て、2012年から現職。
現在は、慶應義塾大学大学院・特任教授の高橋俊介氏と連携し、官公庁としては全国初の認証制度である「沖縄県人材育成企業認証制度」の事務局長としても活躍中。
組織活性化コンサルタントとして「職場の基礎代謝(R)」の考え方をベースに、アンガーマネジメント、ドリームプラン・プレゼンテーション、レゴ(R)シリアスプレイ(R)メソッドなどを活用し、全国延べ1万人以上のリーダー人材育成や組織活性化支援に携わる。
「職場の基礎代謝」は「最新版にアップデートされたOS」である
著書のタイトルにもなっている「職場の基礎代謝」。白井氏は、これを「時代や価値観の変化に対応してアップデートされた新たなOS」と定義する。「パソコンのOSが古いままであれば、最新のアプリケーションはうまく作動しない。それと同じように、基礎となる価値や考えを今の時代に合ったものにアップデートしなければ、新たな人事制度や話題の研修を導入したとしても、良い結果は得られない」(白井氏)
職場の人事制度、社員が持つ知識・技術、社員同士の関係性などをアプリケーションの一つ一つとして捉えると、最新のOSが土台にあることで、それぞれのアプリケーションの機能を最大限に発揮できるというイメージだ。
昨今は特に、働き方改革やダイバーシティ政策などの推進によって働き手の価値観の変化が加速しているため、OSのアップデートが急務といえるだろう。
「能力」通りの「実力」を発揮することが重要
そして、職場の基礎代謝を上げるには、「能力」と「実力」の関係性を理解することが重要だという。能力とは「保有しているもの」、実力とは「発揮しているもの」。「ブルペンエース」を例に、これらの関係性について解説した。
ブルペンエースとは、 ブルペンでは素晴らしい投球をするにもかかわらず、実戦では良い投球ができない投手のことを指す。つまり、本来はエース級の「能力」を持っている選手が、実戦ではそれを下回る「実力」しか発揮できていない状態だ。
この原因の一つとして、実戦ならではの緊張感や不安といった精神的負荷が挙げられるが、職場でも同様の現象が起きているという。上司との人間関係がうまくいかない、机と椅子の高さが合わない、体調が悪い……。大小問わず、さまざまな要因に阻害されることにより、「感覚値として、多くの社員は『能力』の50%~70%程度の『実力』しか発揮できていないはずだ」と白井氏は言及する。つまり、いかに「能力」通りの「実力」を発揮できるかで、組織の生産力が変動する。
さらに白井氏は、「人材育成=能力の向上」、「組織開発=実力の発揮」と定義した上で「組織としてのパフォーマンスを上げるなら、『人材育成』よりも
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