「人事 to IT カイギ #05」セミナーレポート
4人の人事プロフェッショナルが解説 「HR Technology Conference & Expo」の注目すべきポイントとは?
2019.01.08
近年、日本でもHRテクノロジーに注目が集まり、実際にサービスを提供する企業が増え、人事を取り巻く環境は常に変化している。
そんな中、エンジニア採用支援や人事領域のアドバイザリーを行う「ワミィ」の主催で行われたセミナー「人事 to IT カイギ #05」では、2018年9月11日~14日にアメリカ ラスベガスで開催された「HR Technology Conference & Expo」に参加した4人の人事のプロフェッショナルが登壇。世界最大級のHRテクノロジーの祭典を楽しむポイントや、昨年との比較などが語られた。
※参考
「HR Technology Conference & Expo」で参加すべき4つのコンテンツとは?
「HR Technology Conference & Expo」から見る、HR業界のトレンドとは
〈第一部〉ConferenceとExpoを誰よりも3倍楽しむ極意はこれだ!
第一部は人事領域のプランニング・コンサルティングなどを行う「アルドーニ」の永見昌彦氏が登壇。今年初めて「HR Technology Conference & Expo」に参加したという永見氏から、同イベントの概要が話された。
イベント会場は、さまざまな企業が出展するExpo会場と、カンファレンス会場の2つに分かれる。
「Expo会場には442もの企業が出展しているため、どこから見たらいいか分からない。そんなときはテーマごとに30分間で3~5つのベンダーを回ることができるExpo Guided Tourに参加してみることをお薦めする。また、スタートアップ企業を対象にしたピッチコンテストも行われており、観客も審査に参加できる取り組みが興味深かった」(永見氏)
また、「今後AIをどのように活用していくか」をテーマにしたカンファレンスが目立った一方で、テクノロジーは全能ではないといったことを話していたセッションが印象的だったと語った。その上で、イベントを3倍楽しむ極意として、永見氏は3つのポイントを挙げた。
1.事前にスケジュールを組む
限られた時間の中で効率よく回るためには、出展企業やタイムスケジュールなどをチェックし、ある程度スケジュールを固めておく必要がある。また、突然のセッションキャンセルに備え、第2、第3候補も決めておくとよい。
2.イベントに集中する
期間中、会場内ではさまざまなスタイルのイベントが行われている。楽しみながら参加できるイベントも多く、集中すればするほど学びも多い。ラスベガスはカジノの他、誘惑が多いが、エンターテインメントを楽しんでいる余裕はない。
3.発信&チェック
イベント参加レポートは、ハッシュタグを付けてSNSで共有を。同じタグを辿り他の参加者のレポートを読むことで、自分が理解しきれていなかった点が把握でき、より学びが深くなる。
〈第二部〉昨年との徹底比較&いまHR Techサービスに参入するならこれだ!
第二部では、「ワミィ」の伊藤和歌子氏が登壇。昨年もHR Technology Conference & Expoに参加した伊藤氏は、「昨年との徹底比較&いまHR Techサービスに参入するならこれだ!」をテーマに、今年興味深かった基調講演(キーノート)を紹介した。
「昨年の日本人参加者はわずか90人だったが、今年は180人に倍増。大手だけでなく中小企業からも多く参加しており、日本の企業もHR Techサービスに関心が高まってきていることを肌で感じた。
昨年はオープニング、クロージングともにHRのエキスパートと呼ばれる人が講演を行ったが、今年のオープニングは、アメリカの人気司会者マイク・ロウ氏が、ブルーワーカーの重要性について語っていた。
また、中日にはFacebookの創業者マーク・ザッカーバーグ氏の姉で、ベストセラー作家のランディ・ザッカーバーグ氏が登壇し、社員が作り出すコンテンツは最も重要なメディアツールであるという話をするなど、一見、HRテクノロジーとは無関係に思える人物の講演が印象に残っている」(伊藤氏)
永見氏と同様、「今後AIをどのように活用していくか」をテーマに掲げる講演が目立ったとし、メディアや広報など、人事以外の分野でもHRテクノロジーが活用されていく可能性について語った。
また、日本において今後注目すべきHRテクノロジーについては、「まだ成功している企業が少なく、世間の認知や法整備も時間をかけて進んでいくであろう分野だからこそ、今からでも取り組む余地がある」としてAIヘッドハンティングサービス(※)を挙げた。
※AIヘッドハンティングサービス:ネット上に公開されている情報をクローリングし、AIが応募者の能力を分析し、最適な企業にマッチングさせるサービス。
〈第三部〉HR Technology Conference & Expoぶった斬り!? データサイエンティストによる赤裸々本音トーク
イノヴァストラクチャー 三好氏第三部では、データ解析に基づくコンサルティングを行う「イノヴァストラクチャー」の三好淳一氏、HR&Learning 分野専門の分析会社「Rejoui」の菅由紀子氏が登壇。データサイエンティストの視点から、今回のHR Technology Conference & Expoについて意見を述べた。
「全体的な課題としては、『具体的な施策やダッシュボードの例がない』、『データマネジメントの話がない』、『システム構成、分析手法の細部の話がない』、と3つのポイントが挙げられる」(三好氏)
個人情報保護対策の動きが高まっていることもあり、ある程度は仕方がないとしながらも「HR Techの潮流やサービスを知るという点ではメリットはあるが、データサイエンティストとしては物足りなかった」とし、分析の具体・最新事例を知りたい場合は、ペンシルバニア大学やPeople AnalyticsWorld、Digital HR Competetion(日本で開催)など他のイベントを薦めると述べた。
また、菅氏もPeople Analytics(※1)をテーマに掲げる講演は多いものの、具体的な事例を挙げたセッションが少ない点を指摘。
その上で最も印象的だったキーワードとして「STEM教育(※2)」の重要性、出展社としてはデータサイエンティスト採用プラットフォームを提供するQuantHUBを挙げた。
「今後、人事に関わる方に求められるAnalyticsスキルとしては、『自社の人事データの取得状況や背景を把握し、基礎的な統計学を学ぶ』、『アナリスト・データサイエンティストの業務を把握する、見極めるための力を磨く』ことが重要になると考える。
今後は、社員のスキル育成等教育の分野においてデータサイエンスを生かすこと力を入れていきたい」(菅氏)
※1 People Analytics:社員の行動データを収集・分析し、採用や人材配置といった組織づくりに生かす手法。
※2 STEM教育:「Science(科学)」「Technology(技術)」「Engineering(工学)」「Mathematics(数学)」の4つの分野に重点を置く教育方針。IT社会に適応した、競争力を持つ人材を生み出すとして注目を集めている。
HRテクノロジーの発展の可能性を探る
2018年で21回目を迎えた「HR Technology Conference & Expo」。年々参加者が増えていることからも、世界的に注目度が高いことが窺える。
今回のセミナーでは、「HR Technology Conference & Expo」全体の課題として、主にサービス導入事例の少なさに関する指摘が挙がった。その一方で、HRテクノロジーの発展の可能性に触れ、それを自社の業務やサービスに翻って見直すことができる良い機会となりそうだ。
近年、多くの業種・業態において人材不足が問題視され、個人の働き方についてもさまざまな意見が飛び交っている。今後、さらにHRテクノロジーサービスが進化・発展することによって、現代社会が抱える多くの問題が解消されることを願ってやまない。
セミナー概要
ラスベガス HR Technology Conference & Expo 2018 参加レポート
開催日時:2018年12月5日(水)19:00~21:00
場所:代々木YCS
主催:ワミィ株式会社
プログラム:
第1部
ConferenceとExpoを誰よりも3倍楽しむ極意はこれだ!/アルドーニ株式会社代表取締役 永見昌彦氏
第2部
「昨年との徹底比較&いまHR Techサービスに参入するならこれだ!」/ワミィ株式会社代表取締役 伊藤和歌子氏
第3部
「Conference & Expoぶった斬り!? データサイエンティストによる赤裸々本音トーク」/
株式会社イノヴァストラクチャー 代表取締役社長 三好淳一氏・株式会社Rejoui代表取締役 菅由紀子氏
【編集部より】
HRテクノロジーに関する記事はこちら。
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