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弁護士が解説。給与前払いサービスの仕組みと業者の見分け方

2018.12.18

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貸金業法違反? 銀行法違反? 給与前払いサービスを法律の視点から考える

近年、給与前払いサービスを展開する業者が増えている。従業員が給料日前でも働いた分の給与をすぐに受け取れる利便性が支持され、導入する企業にとっては求人応募者数の増加や離職防止に役立つとされる。一方で、サービスの仕組みによっては無登録の貸金業者による貸し付けと判断される可能性がある。ただし、関係省庁からはまだ明確な判断が示されていない。

今回は、企業法務全般に精通する藤井総弁護士が、法的な観点から給与前払いサービスの仕組みを解説。サービスのどこが違法と見なされる可能性があるのか、企業は何を基準にサービスを見極めるべきなのか、明らかにする。

藤井 総

藤井総弁護士

弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士。第一東京弁護士会所属。
「世界を便利にしてくれるITサービスをサポートする」ことを使命(ミッション)に掲げ、ITサービスを運営する企業に法務顧問サービスを提供している。
顧問を務める企業は2018年現在で約70社。契約書・ウェブサービスの利用規約(作成・審査・交渉サポート)、労働問題、債権回収、知的財産、経済特別法など企業法務全般に対応している。

給与前払いサービスとは?

給与前払いサービスとは、毎月の給料日より前に、すでに働いた分だけお金を受け取ることができるようにするサービスです。給与前払いサービスを提供する業者は、①従業員から前払いの申請を受け付け、②従業員の勤怠・給与データを把握して、働いた時間・賃金を計算し、③給料の前払いを行うという3つの業務を行います。これらの業務に対して、サービス提供業者は企業から手数料を取得しています。

給与前払いサービス

給与前払いサービスは、大きく2種類に分類されます。

立て替え型

給与前払い分のお金をサービス提供会社が立て替えて支払うシステムです。

企業負担型

給与前払い分のお金を企業があらかじめ預けておいて、そこからサービス提供業者が支払うシステムです。

実は、このうちの立て替え型が金融庁に目をつけられている前払いサービスとなります。

業者がお金を立て替えると、貸金業法違反?

なぜ、立て替え型の給与前払いサービスに違法の可能性があるのでしょうか。

サービス提供業者が事前に企業から立て替え払いをする場合、立て替え金が貸金となり、この手数料が金利になるのでは、といわれています。アメリカでは、給料を担保に短期・高利の小口ローンを提供する「ペイデイローン」が社会問題になっているのですが、それと変わりない怪しい業者が介入しているのではないかと金融庁に疑われているのです。

お金を立て替えてもらっているということは、サービス提供業者からお金を借りているのと実質的に同じです。貸金業を営むには貸金業法の登録が必要ですが、この登録がないサービス提供業者が立て替えているのだとすると、貸金業法違反になる可能性があるのです。

さらに、お金の貸し付けに関して借主からお金を受け取ると、利息制限法により、名目を問わず金利となり、利率が制限されます。貸金業法の登録があるとしても、毎月の給与の前払いだと数日程度の貸付になりますから、年利に変換するとかなりの利率となり、利息制限法違反となります。

給与前払いサービス

企業からお金を預かると、銀行法違反?

だからといって、企業負担型の前払いサービスにも、規制がないわけではありません。

企業からお金をあらかじめ預かったり、企業の口座からお金を引き出して従業員の口座に振り込んだりすることは、無資格では行えません。誰かからお金を預かったり、振り込んだりするのは、基本的には銀行の仕事です。サービス提供業者が無資格のまま、自分の名前で業務を行えば、銀行法違反となります。

そのため、給与前払いサービス提供業者は、銀行と提携して、その銀行にお金を預かってもらったり、振込の委託をしたり、資金移動業(金融機関以外でも100万円以下の資金であれば移動をすることができる)の登録をしたりして、銀行法に違反しないよう対応をしている状況です。

サービス利用者である企業の責任は?

現時点では、サービスの利用者側である企業が調査されたり、責任を問われたりした事例はないようです。

ですが、サービス提供業者が摘発により前払いができなくなったとき、従業員に対して責任を負うのはサービス提供業者ではなく企業そのものですので、従業員に対して損害賠償責任を負う可能性があります。その点でも、怪しいサービス提供業者と契約するのは避けるべきです。

サービスの導入をどう判断する? サービス提供業者を見分ける3つのポイント

給与前払いサービス

以上のとおり、給与前払いサービスの問題は複雑で大変です。ただ、危ない業者を選ばないようにするのは簡単です。次の3つのポイントを確認すれば、危ない業者を回避し、選ぶべきサービス提供業者を見分けることができます。

システムの解説がウェブサイトで公開されている

まず1つ目のポイントは、サービス提供業者のウェブサイトを確認することです。そして、そのウェブサイト上で、システムの解説が公開されているかを確認してください。

給与前払いサービスは、これまで説明したようなリスクを指摘されることもあるため、きちんとしたサービス提供業者は、適法であることを強みとしてアピールしています。だからこそ、自社のウェブサイト上で、サービスの解説が公開されていることが多く、その上で、違法でないことをアピールしています。

一方で、怪しい業者は、ウェブサイトでシステムの解説を公開していません。特に、前払いの資金を会社が用意するか、サービス提供業者が立て替えるのかという肝心なところさえ触れていません。資料請求のみで説明するような場合が多く、そのような企業を選ぶことはリスクがあります。

従業員側の手数料が低い

従業員側が負担する手数料の低さもポイントの1つです。

怪しい業者は、従業員の給与を担保にした貸付をして、高い金利を得る目的で参入しているわけです。そのため、従業員側の手数料が高いというのは、怪しい業者の1つの特徴だといえます。1回の利用あたり数百円程度、または利用額の数%程度の手数料が限度であり、これよりも高いものは避けたほうがよいかもしれません。

銀行との提携や資金移動業などの許認可を得ている

また、銀行との提携についてプレスリリースされているか、資金移動業などの許認可を取得しているかも確認するのがよいでしょう。

プレスリリースは、そのサービス提供業者のウェブサイトなどで確認できますし、許認可については、監督する官庁(資金移動業であれば金融庁)のウェブサイトで確認ができます。

サービスの導入を検討している総務・人事担当者へのアドバイス

採用者数増加や定着率向上のため、給与前払いサービス導入を検討している企業は多いと思います。ですが、危ない業者と契約し、企業の責任が問われ、かえって企業の価値が下がり人材不足となることも考えられます。必ず3つのポイントを確認するか、よく分からないときは弁護士に相談するべきです。

また、企業が給与前払いサービスを導入するためには、従業員の勤怠データをサービス提供業者に共有するシステムが必要となります。このシステムの構築が大変なのですが、きちんとしたサービス提供業者に依頼をすれば、このサポートも期待できるでしょう。たとえ導入費用が安いなど、魅力的であっても、怪しい業者を選ばないようにしてください。

「@人事サービスガイド」掲載 給与前払いサービス提供会社の一例

「Payme」
運営会社:株式会社ペイミー(東京都渋谷区)

企業負担型のサービスで、企業側が前払いに必要な原資を銀行口座に用意する。口座から従業員が申請した金額が前払い給与として引き出される。利用手数料は基本的に従業員の負担。企業側の導入費、運用費は0円。

ペイミー広報担当者は「福利厚生の1つとして社内外に『給与前払いサービス』の導入をアピールすることで、応募者数の増加が期待される。また、給与が『見える化』されると従業員の働くモチベーションが高まり、短期離職率の低下も見込める」と語った。

※情報は全て2018年12月18日時点

【取材・編集:@人事編集部】

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