モティファイ主催『世界最高のチーム』決定戦レポート
HR業界のオピニオンリーダーが「最高のチーム」を語る
2018.11.29
2018年10月15日、モティファイ株式会社が主催する「真のチーム王者は誰だ!? 〜 唯一無二の『世界最高のチーム』決定戦〜」が開催された。
同イベントは、一橋大学、モティファイ、プロノイア・グループが「日本の働き方を変えたい人」を募り、コンテストを通じチームビルディングについて学ぶことで、日本の社会に貢献することを目指して開催された。
社会人から留学生、学生などが参加し、チームワークと課題解決能力を競い合い、この日は、実際の日本企業に潜在する人事課題を明らかにした同社の「リアル・データ」をもとに、画期的な解決策をチームごとに考案。審査員陣の前でプレゼンテーションを行った。
また、この日のイベント内では、審査員陣によるパネルディスカッションも行われた。「組織マネジメント」という最も重要な課題を取り上げ、日本の次世代を担う人材に向けて、変化に対応した「より良い働き方の創造」についての議論が展開された。「チーム」を知り尽くした豪華審査員が語る、最高のチームを作る礎について、参加者、来場者一同が耳を傾けた。
社員が辛そうに働く会社は「組織マネジメント」ができていない
イベントは主催者を代表し、モティファイ株式会社代表取締役のドレ・グスタボ氏が挨拶。同氏は「なぜ日本人はこんなに辛そうな顔で仕事をするのか」と常々疑問を感じていたと言う。同氏は、仕事の辛さを軽減し、やりがいを感じやすい職場環境にするためには「組織マネジメント」が必要だと考える。
プロノイア・グループ株式会社 代表取締役 ピョートル・フェリクス・グチバチ氏は、組織づくりについて次のように語った。
「我々が生きている世界は絶え間なく変化しており、現場の集合知が、企業の生き残るための鍵となります。できるだけ早く現場が判断し動けるようにするには、生産性の高いチームを作る必要があるでしょう。お互いが信頼できる環境があると心理的な安全性が高くなり、感情の葛藤が減るため、チームのパフォーマンスの向上につながります。また、アイデアを生み出すために建設的な意見の対立を歓迎することや、チームの構造が明確であることも重要です」
今回のコンテストも、多様性に富んだ集合知から社会課題の解決策を生み出すことを目標としている。そのためには、チームが「多様性」と「心理的安全性」を持つことがポイントだとピョートル氏は強調し、以下3点を評価基準に審査した。
1.事前課題に対しての施策準備資料と各メンバーの役割を示したログ
2.心理的安全性に基づいたコミュニケーションがあるチームワーク
3.最終プレゼンテーション
コンテストでは、以下の3チームが表彰された。
1位.エキサイティング時々セクシー
2位.Team ForSta
3位.Gstar
最高のチームは「出る杭を伸ばす」ことで作る
パネルディスカッションでは、審査員9名が「チームビルディング」についての議論を展開した。
楠木氏:
チームビルディングにおいて、アウトプットに対するコミットメントが重要ですよね。どうしてもインプットに注目しがちですが、ある大手企業でインプットを重視するチームづくりを行ったところ、その2年後に、メンバー全員が会社を辞めてしまったというケースがあります。
自社のサービスに興味を持たない社員は、仕事をキャリアステップの手段にしか捉えられないので、インプットのみを行い、アウトプットをしないまま立ち去ってしまうのです。そこで、その会社では、アウトプットに対するコミットメントを測るために「あなたは一生〇〇屋でもいいんですよね?」と社長が面接で直接確認するようになったそうです。
井手氏:
ヤッホーブルーイングは「出る杭を伸ばす」方針でチームビルディングを行っています。社員はみんな同列で、それぞれの得意分野を伸ばすことを目指しています。このようなチーム編成をしていくと、小さな会社でも新しいイノベーションを起こせるようになり、我々のような小さな会社でも世の中に注目していただけます。
小野氏:
チーム全体はもちろん、個人としての努力も欠かせません。日本は、特定の組織の中だけで通用するスキルを身に着けさせようとしますが、それによって会社に対する依存度が高まり、組織として非常に不健康な状態となります。今は自己投資をする時代ですから、積極的に外部のビジネススクールに行くなど、自らスキルアップできる人間になる必要があります。
グスタボ氏:
特に大企業に勤めている人は、その企業の肩書をアドバンテージに仕事をしているため、転職を恐れる気持ちが生まれやすいように感じます。日本と海外で、人事戦略に違いを感じる点はありますか?
小野氏:
日本だと「新卒社員は活躍できない」という考え方が主流ですが、欧米では新卒社員も自信を持って業務を行っています。新卒社員それぞれが違う市場価値を持って働いているんです。今後は、日本でも「新卒社員は活躍できる」という考え方が浸透していくと良いですね。
唐澤氏:
メルカリでは、海外と日本で戦略を変えていますね。現地の採用市場と条件を合わせる必要があるので、たとえばシリコンバレーの人財競争に勝つには向こうの仕組みに合わせないといけない。現在年収500万円で働いている人であっても、年収800万円の価値があると思えば一気に昇給させます。
グスタボ氏:
チームのパフォーマンス向上はどのように図っていますか?
タイプの異なる人同士を組み合わせて、「多様性の掛け算」をしています。掛け算は足し算では生まれない価値を生み出すので、1と1を掛け合わせると2以上の価値を生み出す可能性があります。たとえば、メルカリで長く働いている人と入ったばかりの新入社員を同じチームにする、といったことをしています。
ドレ・グスタボ氏インタビュー「今の日本が抱える人事課題とは」
最後に、@人事編集部では、モティファイ株式会社代表取締役ドレ・グスタボ氏に、今の日本が抱える人事課題についての考えを伺った。
―今の日本における最大の人事課題とは何でしょうか。またその課題解決に向けて、どのような行動が求められると考えますか。
基本的に、どの業界の会社でも、人事担当者の業務は「下の仕事」として見られていることが多いように感じます。
人事担当者としての専門性がない人を採用する代わりに、大きい成果も期待しない。成果が期待できないので人事部としての予算も少なくなり、別の部署の社員からあまり尊敬されない、というバッドスパイラルに入っています。
このような現状を改善するために必要なのは、優秀な人材を採用し、プロジェクトマネジメントスキル、アジャイル知識、心理学といった専門的な知識を高めた上で「ラーニングサイクル(※)」を期待することです。
※ラーニングサイクル…「導入→探求→概念の確信→応用→振り返り」の5段階で行う学習サイクル
プロジェクトを行い、その結果を振り返り、改善策を提案して、次のプロジェクトで実行する。営業、開発、デザインといった他の部署では、これらのサイクルが当たり前に行われているのに、なぜ人事担当者にはこの改善サイクルが期待されていないのでしょうか。
会社全体の成長を担う責任者の1人として、人事担当者を認めることが大事だと考えます。
社員1人ひとりが長所を生かして働ける環境づくりが重要
イベント全体を通じて、モティファイ社は「最高のチームを作るためには『心理的安全性』が必要」だと強調した。社員それぞれの多様性を尊重しながら、1人ひとりが自分の長所を生かし気兼ねなく働ける環境を用意することが、成長し続ける集団を築く礎となるのではないだろうか。
イベント概要
名称:真のチーム王者は誰だ!? 〜 唯一無二の「世界最高のチーム」決定戦 〜
参加募集期間:平成30年8月20日(月)~平成30年9月20日(木)
事前審査期間:平成30年9月20日(木)~10月8日(月)
コンテスト(表彰式):平成30年10月15日(月)
開催場所:Innovation Space DEJIMA(東京・五反田)
Webサイト:http://www.motify.work/contest-2018
協力:株式会社電通、株式会社朝日新聞社ほか
参加者(応募資格)
1チーム(4〜6名)組み合わせは自由。あらゆる分野 (中小企業、大企業、就活中の大学生、2019年度新社会人の大学生、MBA学生、留学生、スタートアップ) から応募可能。
審査員紹介(敬称略) ※は関連記事紹介
・ドレ・グスタボ氏
モティファイ株式会社 代表取締役
・ピョートル・フェリクス・グチバチ氏
プロノイア・グループ株式会社 代表取締役(※)
・唐澤 俊輔氏
株式会社メルカリ 執行役員 VP of People & Culture(※)
・小野 浩氏
一橋ビジネススクール国際企業戦略専攻教授
専攻分野:人事管理、組織論、国際経営、人的資本理論、幸福度、統計学
・楠木 建氏
一橋ビジネススクール国際企業戦略専攻教授(※)
専攻分野:競争戦略論、イノベーション
・青野 誠氏
サイボウズ株式会社 人事部副部長(※)
・羽田 幸広氏
株式会社LIFULL 人事本部長(※)
・片貝 朋康氏
株式会社電通 ビジネスプロデューサ
・井手 直行
株式会社ヤッホーブルーイング 代表取締役社長
主催者情報
モティファイ株式会社
本社:〒100-0004 東京都千代田区大手町 2-6-1 朝日生命大手町ビル3F
設立:2016年4月27日
代表:経営者CEO (Chief Executive Officer) ドレ・グスタボ(ドリー)、
CSO (Chief Science Officer) ピョートル・フェリクス・グジバチ
事業内容:HRソフトウェアの企画・開発・販売
HP:http://www.motify.work/
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執筆者紹介
萩原かおり(はぎわら・かおり) フリーランスのライター・編集者。美容と心理が専門で、婚活パーティーの取材人数は200人を超える。三度の飯と執筆が同じくらい好き。求人・化粧品・社史制作を経て独立。現在は執筆業を中心に、取材記事から広告・LP・メルマガ作成まで幅広く活動中。休日はエステとジムに通い詰める美容オタク。 https://note.mu/hagitaro1010
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