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人事が知っておきたい「オンラインストレージ」のメリットと選び方

2018.12.07

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「働き方改革」を推進するオンラインストレージとは

時間や場所を気にせず働くことができ、人手不足の解消や生産性向上に役立つ方法の1つとして注目を集めているテレワーク。「働き方改革」が推進される今、テレワークの実施を検討している人事担当者もいるのではないだろうか。しかし、セキュリティや勤怠管理、資料・データの共有などテレワークを導入するために考慮すべき点がいくつかある。

そんな中、テレワークをサポートしてくれるツールの1つとして、広まりつつあるのが、オンラインストレージ。Webを通じて、資料・データの自由な受け渡しが可能になる便利なサービスだ。

オンラインストレージがテレワークでどのように役立つのか、人事担当者がオンラインストレージを選ぶ際にはどんな点に注意すべきか、ネットワークソリューションによって中小企業の企業活動を支援するスターティアレイズ株式会社の松原良貴氏に伺った。
(2018年10月31日取材。聞き手・撮影:@人事編集部)

【参考】中小企業のための RPA 基礎講座~11の質問でRPAを解き明かす~

プロフィール

スターティアレイズ株式会社の松原良貴氏松原良貴(まつばら・よしき)氏
スターティアレイズ株式会社ソリューション営業部マネージャー。2008年のスターティア株式会社入社時よりネットワークソリューション営業課に配属され、中小企業のネットワーク機器・ネットワークセキュリティ機器の販売を担当する。2018年、スターティア株式会社のホールディングス化に伴い立ち上げられたスターティアレイズ株式会社に転籍。それまでに培ったネットワークソリューションについての知見を生かし、中小企業向けのクラウドストレージに特化した販売・提案に従事している。

オンラインストレージの3つのメリット

オンラインストレージのメリットについて語るスターティアレイズ株式会社の松原良貴氏

―テレワークにおけるオンラインストレージのメリットについて教えてください。
テレワークにおけるオンラインストレージの主なメリットは、次に挙げる3つです。

  1. 多大な初期投資がいらない
  2. 時間・場所を選ばず業務利用の資料が共有できる
  3. 大容量ファイルを送ることができる

一般的なテレワークでは、従業員に社用PCを貸し出したり、ファイルを入れたUSBやSDカードなどの大容量記憶装置を渡したりする必要があります。しかし、オンラインストレージを使えばBYOD(※)が実現できるため、それらを購入する必要がありません。ビジネス用のものであっても、弊社が取り扱う製品でいえば、初期で10万円も投資すればファイルを簡単に共有できる環境が整います。ソフトをインストールすれば使えるため、導入にかかる時間的コストも節約できます。

さらに、時間・場所を選ばず仕事用の資料にアクセスできることはもちろん、通常、メールに添付できないような大容量のファイルも送ることができます。

※BYOD……Bring Your Own Deviceの略。従業員がPCなどの個人で所有するIT機器を業務に活用する仕組みを指す。会社のコストが削減できるほか、従業員が使い慣れた機器で作業できることで効率が増すなどのメリットもある。

―オンラインストレージは具体的にはどのような場面で役立ちますか?
例えば、育児や介護等で就業時間に制約のある従業員に対して、柔軟な働き方を提供する場面で役立ちます。通常こうしたケースでは、保育園の送迎や通勤にかかる時間などを理由に時短勤務にならざるを得ない場合も多いです。しかし、オンラインストレージを活用すれば自宅でオフィスと同じように仕事を始められるため、フルタイムで働くという選択も可能になります。

また、オンラインストレージを活用することで、業務範囲が大幅に制限されることなく、従業員がこれまでのスキルや能力を十分に発揮できるという点も重要です。「子育てや介護を理由にキャリアを諦めなくてはならないのでは」という不安を抱える方は少なくありません。こうした選択肢が増えることは、多くの企業が課題とする優秀な人材の採用、維持という面でも非常に効果的です。

オンラインストレージで注意すべき情報漏えいの危険性

オンラインストレージのリスクについて語るスターティアレイズ株式会社の松原良貴氏

―良いところばかりのようですが、テレワークでオンラインストレージを使うことの危険性はないのでしょうか?
情報漏えいやファイル消失のリスクは存在します。顧客データや訪問先リストといった企業の機密情報が漏れて問題となったニュースを見聞きした方も多いのではないでしょうか。
ここで意識していただきたいのが、情報漏えいが起こる主な原因はウイルスや外部からの不正アクセスなどの外部要因ではなく、実は、従業員のミスや持ち出しといった会社の内部の問題だということです。

IPA(情報処理推進機構)の2016年度の調査報告によると、営業秘密(※)の漏えいが発生したルートの8割以上が従業員・元従業員など内部の者によるデータ持ち出しやミスによるものです。その中でも43.8%が現役の従業員等のミスによる漏えい、24.8%が中途退職者による漏えいで、内部データを間違って個人や外部のサービスにアップロードしてしまうミスや、中途退職者による外部へのデータの持ち出しなどが情報漏えいを生んでいることが推察されます。

※営業秘密…生産方法、販売方法など事業活動において有用な技術上または営業上の情報で公然と知られていないもの。

SAMBA_図表_01

―このようなリスクについて、特に気を付けるべきなのはどのような企業ですか?
全ての企業がリスクの対象ではありますが、特に30~300人規模のベンチャー・中小企業は気を付けたほうが良いでしょう。このような企業は成長フェーズにあるため従業員の入職・退職が多く、情報の持ち出しや競合他社への売り込みが起こりやすい環境だといえます。また、中小企業やスタートアップ企業ではシステム管理などセキュリティ対策を専門に行う部門がないことが多いため、情報管理が徹底されていないケースが少なくありません
業界・業種で言えば不動産会社や人材派遣会社は物件や人にまつわる情報そのものが財産であり、情報流出は命取りになります。そのため、セキュリティ対策はどれだけ行っても足りるということはないでしょう。

―情報漏えいやファイル消失を防ぐためには、どのような対策を取るべきですか?
オンラインストレージにまつわるリスクを防ぐためには、次の3カ条を意識することが重要です。

  1. セキュリティ対策が徹底されたオンラインストレージを使う
  2. 従業員を教育し、ITリテラシーを高める
  3. 情報取り扱いにまつわるルール作りをしっかり行う

なによりも簡単で効果的なのはセキュリティ対策の整ったオンラインストレージを使うことです。社内ネットワークからの情報流出対策はできている企業様が多いですが、オンラインストレージとなると手薄になってしまうケースも見られます。しっかりと安心できるオンラインストレージを選ぶことが大切です。
併せて、従業員の教育やルール作りを行い組織全体のセキュリティ体制を整えることが現代の企業には求められています。特に若い従業員の場合、SNSやオンラインツールに幼いころから慣れ親しんでいるがゆえに、公私混同やアカウント間違いを起こしてしまいがちです。弊社では、新人教育に企業に属する従業員としてのITリテラシーについてのプログラムを設けています。

オンラインストレージ選びで気を付ける5つのポイント

―テレワークに用いるオンラインストレージ選びのポイントを教えてください。
テレワークに用いるオンラインストレージは、次の5つのポイントを満たすものを選ぶことが大切です。

  1. 外部攻撃に対する対策が十分に施されている
  2. データの持ち出しを防ぐことができる
  3. サービスの安定性が高い
  4. IT知識がなくても設定・管理が行える
  5. ユーザビリティが高く使いやすい

これらのポイントを満たしているサービスであれば、情報漏えいの心配なくテレワークに勤しむことができます。
5つのポイントの中でも特に、内部からの流出を防ぐための「データの持ち出し防止機能」は外せません。例えば弊社が取り扱うセキュアSAMBA Proであれば、ストレージ内のデータを個人のPCにダウンロードさせないように設定できます。さらに、スクリーンショットや資料印刷の制御も可能です。このように、データを物理的に持ち出せない=流出させられない仕組みを持つオンラインストレージは非常にセキュリティの信頼感が高いといえます。

個人のPCへのダウンロード制御画面
許可を受けていない個人がオンラインストレージからローカル(個人のPC内)にファイル・フォルダをダウンロードしようとすると、「通常のディスクへの保存権限がありません。管理者に問い合わせてください。」と警告が出る。この設定は、管理者から許可をもらわなければ変えることができない。
※画像は『セキュアSAMBA Pro』のダウンロード制御画面。

SAMBA_図表_02

また、「サービスの安定性が高い」というのは、急なサービス終了やサーバーダウンの心配がないということです。サーバーの安定性という意味では、海外ではなく国内にサーバーを置いているオンラインストレージの方が安心でしょう。また、当然ですが無料のサービスよりも有料のものの方が圧倒的に安定性やセキュリティ面は優れています。

セキュリティや安定性に加えて欠かせないのが「設定しやすさ・使いやすさ」です。中小企業において、オンラインストレージの設定は総務・人事の方が行うことが多いもの。一から勉強するには骨が折れるため、初心者でも設定が容易なものを選ぶのがおすすめです。また、実際に使うユーザー側の使用感も、それまでと変わらずに使えるものがベストでしょう。そうすることでユーザーの教育コストがかからず、スムーズにテレワーク環境を実現できるはずです。

実際の企業のオンラインストレージ活用事例

【メーカーA】
製品の海外展開に力を入れているメーカーA。社員の海外出張が多く、盗難やセキュリティの甘いWi-fiを通じた情報流出に遭うことを懸念していた。そこで、オンラインストレージを導入。盗難に遭ってもパソコン本体の中には機密資料は入っておらず、ウイルス対策も徹底されているため、セキュリティ面の安心感が高まった。その上、オンラインであればどこからでも営業用資料にアクセスできるので、仕事での利便性もアップした。

【IT企業B】
多くの在宅勤務者と契約し、制作物をオンライン上でやり取りすることが多かったIT企業B。在宅勤務者との大容量のデータをやりとりすることも多く、スムーズかつ安全性の高いやり取りを実現するためにオンラインストレージを導入した。やりとりが効率的になったうえに大容量データの郵送でのやりとりが必要なくなったためコスト削減にも成功。必要なファイルにしかアクセスできないように設定できたため、セキュリティ面での心配もなくなった。

【人材派遣会社C】
女性社員が多く、育休・産休を利用する社員が多かった人材派遣会社C。時間制約のあるママワーカーの手もなるべく借りたいと考え、オンラインストレージを導入した。セキュリティが整っているため、重要な仕事も産休前と変わらず依頼することができ、人材の採用・教育コストが削減できた。また、育休後の復帰を希望する社員は重要な仕事にも関わり続けられるため、会社へのエンゲージメントを維持でき、育休から復帰後の定着率が高まるといううれしい結果も生じた。

※上記のオンラインストレージはすべてセキュアSAMBA Proのケース。なお、セキュアSAMBA Proには廉価版であるセキュアSAMBAもあります。

オンラインストレージ×テレワークQ&A

―総務・人事担当者がテレワークのためオンラインストレージを導入したいと考えたときに気を付けるべきポイントはありますか?
「経営者と現場のニーズをどちらも満たせるか」という観点でオンラインストレージ製品を選び、ルール作りを行うことです。
総務・人事の方がテレワーク環境を実現するためにオンラインストレージを導入しようとすると、経営者の壁と従業員の壁という2つの壁に阻まれることになると思います。
経営者はリスクを懸念し、セキュリティを重視している。一方で、現場の従業員は使い勝手の良い製品を求めている。その板挟みで、なかなか稟議を通すことができず、導入を進めることができない、という人事・総務の方もいらっしゃるでしょう。
そんなときには前述の5つのポイントを満たしたソフトを選び、そのソフトを選んだ根拠を説明できるようにしましょう。セキュリティ面での安全性を示す根拠を示して説明できれば経営者の安心感は高まり、条件を満たしたソフトであれば従業員から不満の声が上がる可能性も少なくなるはずです。また、運用をスムーズにするためソフト導入前に仕様上のルールを明確にしておくことも大切です。

―ストレージ選びのほかにテレワーク導入で人事・総務が気を付けるべきポイントは何でしょう?
BYODを導入する場合は、個人のPC・スマートフォンのウイルス・ランサムウェア対策も従業員に徹底させることです。個人のIT機器を仕事に使うために通るべき承認ルートを整備する、マニュアルを設けインストールすべきウイルス対策ソフトを指定する、といった対策方法があります。
企業のPCでは基本的なセキュリティ対策は行われていることがほとんどですが、個人の場合は全く対策が施されていないことが多いです。そのため、最初に人事・総務がルール作りを行い、対策を徹底させることが重要になります。
※上記以外の質問やサービスについての問い合わせはスターティアレイズのサイトで受け付けている。
https://securesamba.com/sambapro/telework/

―ありがとうございました。

エントランスのロゴ前に立つスターティアレイズ株式会社の松原良貴氏

※情報はすべて取材時点
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