企画

Unistyle株式会社、早稲田大学広告研究会による共催イベント


早稲田生が大手企業に一芸でアピール。新感覚の逆求人型就活イベント「ICHIGEI」に潜入

2018.11.15

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逆求人型就活イベント「ICHIGEI」とは? 潜入取材で探る

「就活をもっと自由に」。2018年10月、ヘアケアブランド「パンテーン」が、CMやポスター広告で画一的な就職活動に一石を投じ、話題となった。リクルートスーツを脱いで、ひっつめ髪をほどき、「自分らしい自分」を見せる。そんな就職活動があってもいいのではないか―。そんな思いで生まれたのが、新感覚逆求人イベント「ICHIGEI」だ。

会場では、個性派の早稲田大の学生がそれぞれブースを設け、他の人には真似できない一芸(特技や経験)を披露。トヨタ自動車や三井住友カード、パーソルキャリアなどの大手企業が、気になる学生のブースを回る。

経団連が2021年卒からの「就活ルール」廃止を表明し、企業と学生は新卒採用の変革期の真っ只中にいる。一芸の披露による「逆求人」は、新しい就職活動として成り立つのか? イベントの様子や企業、学生両者の思いを探った。

【参考】『もっと就活を自由に』パンテーン広告から見る、「就活病」の問題点

人力車の車夫? サーカスに入団? カーリング日本代表? 個性派早稲田生が「ICHIGEI」を披露

「ICHIGEI」は2018年11月13日、東京都内で開かれ、20年卒の早稲田生30人、企業10社が参加した。イベントは、学生側の1分間の自己PRからスタートした。

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「野宿旅行で全国を回りました」

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「アタック25で優勝して、ネットでバズりました」

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「鼻が曲がっているので、鼻でリコーダーを吹きます」

「アタック25で優勝して、ネットでバズりました」「アメリカ留学中にサーカスに入団しました」「個人事業主として稼いだお金で、新車のベンツを買いました」「曲がった鼻を生かして、鼻でリコーダーを吹きます」「左翼、右翼の両方の政治勉強会に参加してバランスを取っています」―。「何それ? もっと知りたい! 」と言いたくなる経歴の学生が続々と登場し、その個性の強さに会場の人事担当者も思わず爆笑してしまう。

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(日本代表のジャージーを着てPRする学生)

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(人力車の車夫姿を披露した学生)

学生は服装にもこだわりを見せた。カーリングの選手は日本代表のジャージー姿、浅草で人力車を引く学生は、ねじり鉢巻きの車夫姿、「野宿旅行」で全国を回った学生は、何日分の荷物が入るのか分からない巨大なバックパックを背負う。(良い意味で)個性が渋滞している……!

学生に続き、企業にもPRタイムが用意された。人事担当者は自社が求める人材像を説明しつつ、「体重は100キロ超えですが、ストリートダンスが踊れます」「学生時代にバーを経営していたので、シェイカーを振るのが得意です」と自己紹介する場面もあった。

互いのPR終了後は、企業が随時、興味のある学生のブースを回った。学生は一芸の具体的な内容、一芸に取り組んだ理由、挫折経験や学んだことについて、人事担当者にスライドの資料や映像を見せながらプレゼンをする。多くの学生は1社につき10~30分程度話し、密なコミュニケーションを取っていた。企業側は学生のプレゼンを掘り下げて質問しながら、自社の事業内容や求める人物像も紹介した。

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(学生の話に耳を傾ける人事担当者)

「ICHIGEI」をアピールする学生の狙いは「自分の個性を見てほしい」

ICHIGEIに参加した学生と企業は、これまでにない「就職活動」に何を感じたのか。

社会科学部の矢島紀保さんは、アルバイト先の飲食店で、外国人や障害者などのさまざまな従業員を束ねた経験をアピール。「従業員の個性や能力を見つけて伸ばし、アルバイトの身分でも店全体の組織づくりのために努力した経験をアピールできた」と自信を見せた。

一方で、「企業に質問されて答えるような、通常の面接とは形式が異なる。相手企業の特徴に合わせてその都度、自分なりの説明で一芸を紹介するのが難しかった」と悔しさをにじませた。
経験のない手法で企業と接触し、戸惑いを感じたのかもしれない。学生にとっては、自分の魅力を新たな角度から企業に伝える方法を学ぶ機会になったようだ。

人力車のアルバイトをする教育学部の飯田優作さんは、「自分の個性や良いところを見てくれる企業と出会えるのか、確かめたかった」と打ち明ける。企業の人事担当者といきなり会話する状況に緊張した様子だったが、「こんな就活もありのかもしれない」と語った。

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「ICHIGEI」に参加する企業の狙いは「採用ターゲットと出会う」「解禁前に学生の就業観を知る」

企業側からも多様な意見が聞こえてきた。

株式会社ネオキャリア(東京都新宿区)人事戦略本部の仁木紫援さんは「イベントの奇抜性に引かれて参加した。採用ターゲットである発想力や特色のある学生、イノベーションを起こしてくれる学生と出会いたかった」と話す。

近年は、逆求人型の就職活動サイトを介したダイレクトリクルーティングが浸透しつつあるが、「メールで気になる学生に連絡するのは、少しドライな印象もある。直接会い、互いに思いを伝え合った方が良い」と、対面型の逆求人にメリットを感じていた。

トヨタ自動車株式会社(愛知県豊田市)人材開発部の唐澤俊章さんは、「これだけ早い段階から学生と接触できる機会に魅力を感じた」と語る(経団連が定める20年卒新卒採用の広報活動解禁日は2019年3月)。近年は、学生の就業観が変わり、1つの会社で働き続ける「就社」から、仕事内容を重視する「就職」へと変化しているといわれる。

唐澤さんは「学生が就職に何を求めているのか、それに対して会社が何を提供できるのか、見極めたかった」と話す。実際に学生と話した印象については、「自分の一芸について熱心に話してくれた。ただ、『この会社に入りたい』はあったが、『この仕事がしたい』の思いまではなかなか見えなかった」と振り返った。

企画者は語る「自分が心から誇れる自分」を表現できる場にしたかった

「ICHIGEI」を企画したのは、学生向け就職活動サイトを運営する、Unistyle株式会社(東京都新宿区)。現役大学生による団体「早稲田大学広告研究会」を巻き込んで、共催でイベントを開いた。

Unistyleマーケティングチームの村山寛さんは「学生が『企業受けする自分』をアピールするのではなく、『自分が心から誇れる自分』を表現できる場にしたかった」と話す。
広告研究会の広報担当の田中龍之介さんは「就活ルールの廃止により、就職活動の在り方や、学生と企業とのコミュニケーションの取り方は変わると思う。言い換えれば、今はそれを自発的に変えられる絶好の機会かもしれない」と前向きな姿勢を見せた。

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(ICHIGEIを共催したUnistyleの村山さん(左)、早稲田大学広告研究会の田中さん)

「ICHIGEI」は効果的な採用活動となるか? 新たな就活スタイルの今後に期待

「ICHIGEI」は、各企業の本選考や採用に直結するわけではない。しかし、ありのままの姿を見せた学生が、企業と時間をかけて話し合うことで、両者の新たな出会いのきっかけになる。ネオキャリアのように、「一芸」が採用ターゲットと合致する企業にとっては、効果的な採用活動かもしれない。

一方で、トヨタ自動車の唐澤さんは「1人ひとりとじっくり話すので、大人数の新卒採用をする企業は難しいかもしれない」とも語った。自社の採用手法と合致するか、企業側は冷静に判断しているようだ。

ただ、ある企業の担当者は「イベントに参加した学生が、イベント内容や参加した企業名を口コミで拡散し、情報が大学内外で広がっていく。企業にとっては、イベントに参加すること自体が1つのブランディングになる」と、企業イメージ向上や採用活動への好影響も期待した。

Unistyleは今後、早稲田大以外の学生とも連携し、同様のイベントを開く予定だ。学生の一芸を通じて、企業と学生が密なコミュニケーションを取る就活スタイルは浸透するのか。企業、学生がそれぞれメリット、デメリットをどう見出していくのか。就職活動の在り方が変化する時代の新たな取り組みとして、今後の動きに注目したい。

【取材・編集:@人事編集部】

就活ルール廃止に関する記事はこちら

個性的な採用活動に関する記事はこちら

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