コラム

林修三先生のなるほど人事講座


応募者の本音を引出す面接テクニック 「話の受け止め表現」とは

2018.11.13

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筆者のコラムにて、「応募者の本音を引出しながら志望度を上げる『引き出し型面接』」について、これまで何度か取り上げてまいりました。
※参考:応募者の本音を引き出し、志望度を上げる「引出し型面接」のポイント

前回は「引き出し型面接」における質問技術の基礎についてご紹介しました。今回は、応募者の本音を引出す「話の受け止め方」の表現技術の基本についてご紹介していきます。

目次
  1. 応募者の本音を引き出す「受け止め表現技術」
  2. 3つの「受け止め表現技術」
  3. 「受け止め表現→質問」というセットで活用する

応募者の本音を引き出す「受け止め表現技術」

引出し型面接の基本は、前回の「なぜ?」「具体的には?」という質問技術と、今回の受け止め表現技術をセットにして使うことにあります。

人間誰しも、他人から質問攻めにあった場合、良くてヒアリングやインタビューをされているという心持ち、悪いと尋問されているという心持ちになります。すると話し手(応募者)は、自分に都合の良い情報だけを選別して話し、都合の悪い情報は隠してしまうという「防衛反応」を強く示す傾向にあります。

そのため、話を引き出す側としては、いかにこの防衛反応を起こさせないかという点が課題となります。そして、この防衛反応を起こさせないための技術が、今回ご紹介する「受け止め表現技術」なのです。

3つの「受け止め表現技術」

受け止め表現技術は、主に以下の3つに分類されます。

1.応募者の話を繰り返す(オウム返し)

一番基本となる受け止め表現技術は、応募者が話した中身の一部を「繰り返す」ことです。

例えば応募者から「私は学生時代、コンビニエンスストアのアルバイトで特に陳列作業に力を入れてきました。」という話があった場合、「そうですか、陳列作業ね」「なるほど、陳列作業に力を入れて来た、と」などのように、話の中身の一部を繰り返してあげることが、「繰り返し(オウム返し)」という技術になります。

この「繰り返し」を行うことで、聞き手(面接官)から応募者に対して「あなたの話をきちんと聞いていましたよ」というメッセージを届けられるのと同時に、話のどの部分にこちらが関心を抱いたのかを伝えることができます

その後の会話の流れとしては、「繰り返し」を行った部分(例であれば「陳列作業に力を入れた」こと)に対して「なぜ?」「具体的には?」という質問を投げかけていくことで、応募者の話をさらに引き出すことができます。

ちなみに上記の例では「陳列作業」という部分に着目して繰り返しをしていますが、応募者の特性や話の流れ次第では、「学生時代」という部分を繰り返しても良いですし、「コンビニエンスストア」という部分を繰り返しても構いません。

ただし、どの部分を繰り返すかによってその後の話の流れが変わっていきますので、より掘り下げていきたい部分を繰り返すことがコツとなります。

2.応募者の話を要約する

2つ目の受け止め表現技術は、文字通り、応募者が話した内容を要約し、言葉として返してあげることです。

もしも応募者が長い分量を一息に話してしまった場合、話の一部だけを「繰り返し」で返してしまうと、応募者を「その部分しか話を聞いてくれてなかったのか……」と失望させてしまう恐れがあります。そこで、応募者が長い話をしてしまった場合は、繰り返しではなく、話全体を要約して返してあげることが効果的です。

その上で、自分で要約した内容のうちの一部を切り出し、その部分に対して「なぜ?」「具体的には?」という質問を投げかけていくという流れになります。
例:「なるほど。○○と▲▲という課題があったために、□□という行動を取ろうと考えたんですね。ところで、『○○と▲▲という課題』だとおっしゃっていましたが、なぜそれらを課題だと思うようになったのですか?」

要約をする上で注意すべき点は、その分量です。自分では要約をしているつもりでも、実際には応募者が話した長い分量をほぼそのまま復唱している、ということがよくあり、これでは逆に応募者が不信感を募らせてしまいます。

面接は全てケースバイケースであるため、一概に「応募者の話は○割の分量にまとめ直すべきだ」とは言えないのですが、あくまでも「要約」というレベルの返しに留めておくことを意識しましょう。

3.表情を使う

受け止め表現は、必ずしも言葉を使わなければいけないというものではありません。お互いが顔を合わせている面接の場であれば、表情だけでも受け止め表現をすることが可能です。

例えば、面接官にとって非常に興味深いネタを応募者が口にした場合、目を少し大きく開きながら「ほお!」というような口真似をすれば、そのネタに対して「繰り返し」を行ったのと同等の効果が得られます。あるいは、面接官にとって意外な話が出てきた場合は、その「意外に思った」ということが伝わる表情をするだけでも受け止め表現として機能します。

その後質問を繰り出していく場合は、念のために改めて言葉でも繰り返しをしてあげると、受け止め表現の効果をより発揮することができるでしょう。

「受け止め表現→質問」というセットで活用する

今回は、受け止め表現技術についてご紹介しました。引き出し型面接を有効に機能させるためには、「受け止め表現→質問」というセットで技術を発揮することが必要です。

まずは応募者の話を受け止め、どこに関心を持ったかを知らせ、応募者の思考を深堀るための質問を繰り出していく。引き出し型面接は、この流れを絶えず繰り返しながら進行していきますので、集中力が要求されます。

まずは、日頃の仲間同士のコミュニケーションから意識して、ぜひこの技術を取り入れる訓練をなさってみてください。

執筆者紹介

林修三(はやし・しゅうぞう)(株式会社ヒュームコンサルティング代表取締役) 1975年生まれ。仙台市在住。東北大学法学部を卒業後、大手自動車部品メーカーの経営企画職~IT企業の人事・採用職を経て現職。現在は東北地方の複数の大学でキャリア系科目講師として学生の就職指導に努めるほか、人事・採用コンサルタントとしても活動中。

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