コラム

失業経験あり人事コンサルによる直球コラム


休職と復職を繰り返す社員の解雇で注意すべきこと

2016.02.19

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目次
  1. 「反復型休職復職者」の特徴
  2. 復職否定とは?
  3. 退職勧奨の方法とは?
  4. 就業規則の改定

「反復型休職復職者」の特徴

高ストレス社会といわれる昨今、企業内で問題視されているのが、精神疾患、すなわちうつ病等による休職者の存在です。未だ医学的に原因・治療法がはっきりせず、復職したと思ったら、病が再発してまた休職してしまう状態は、あくまで勤怠上の表現ですが、かなりの問題であり、そのような状態の従業員を抱えている企業は頭を悩ませています。しかし企業運営していくにあたって、これらの問題は避けて通れない事項ともいえます。

多くの企業では、休職規定・復職規定を制定していると思いますが、これを意識して、休職期間満了、すなわち自然退職日の前に無理に復職し、また制度的に休職できる状態になると休職してしまうケースも多々見受けられます。これが反復型休職復職者の特徴です。

就業規則に触れるケースではないため、対処法がないのがこの反復型休職復職者の困ったところです。かといって戦力にならないと解雇してしまうと、就業規則の解雇事由に該当しているでもないのに解雇するという矛盾が生じてしまいます。

そこでそのような従業員を解雇(自然退職含む)する方法として考えられるのが、「復職否定」、「退職勧奨」あるいは「就業規則の改定」です。

復職否定とは?

まず復職否定は、文字通り復職可能(=就業可能)となっている状態以外の従業員は復職させないという方法です。復職に関する規定に、産業医および会社指定医師が復職可能と判断しない限り、復職させないと規定しておくことです。これを定義しておくと、患者寄りの主治医の思いやりによる復職可能診断を可能な範囲で排除することができ、効果的です。

ただしこれは主治医の意思を無視してもよいということではありません。主治医の見解は労働問題に発展した時の判断でも大きなウエイトを占め、言うまでもなく重要な要素です。ですから、もし主治医と産業医(あるいは会社指定医)の復職可否判断が異なった場合には、休職者本人の同意のもとで、人事担当あるいは責任者が、産業医同席で主治医と面会して、病状・回復に関する見解を一致させる努力をすることが大切です。あくまでも主治医は直接的な会社の敵ではないということを認識することも重要でしょう。

退職勧奨の方法とは?

つぎに退職勧奨の方法です。労働者災害ではない私傷病による休職の場合は、出欠勤が繰り返されており、本来の労働契約の労務が提供されない状態であることを求職者に明確に伝え、復職に対する配慮としてリハビリ目的の軽度作業を与える等の措置を講じていることなどを行えば、解雇とまではいかないまでも退職勧奨をすることは可能です。

ここで重要なのは、説明を記録に残し、退職までの手続き段階をしっかりと踏むことです。よく状況を理解させないまま退職勧奨等を行えば、本人にとっては職を失うという大きなショックとなり、自殺問題等に発展しかねません。

就業規則の改定

最後の方法は、「就業規則の改定」です。就業規則を改定し、「復職日から◯◯日以内に、同様の疾患により再び休職するときは、休職期間を通算する」との一文をいれて、就業規則を改定すれば、休職と復職を短期間に繰り返しても通算され、自然退職とすることができます。

それでも解決せず、解雇無効の労務問題や裁判となった場合は、会社側の休職者に対する配慮が十分であったか、手続きは十分に説明義務を果たしながら行われたかなどが争点になります。つまり、「面倒くさいから配慮せず、手続きはおろそかにして解雇した」などは論外ですし、「就業規則に書いたから万全だ」などは、まったく企業防衛の根拠にならないということです。会社としては、十分に尽くしたが、本人が労務を提供してくれなかったという姿勢で臨まないと、裁判等では相当不利になるでしょう。

執筆者紹介

田中 顕(たなか・けん)(人事コンサルタント) 大学を卒業後、医療系人材派遣会社・広告代理店で人事を担当したのち、密着型人事コンサルティング団体「人事総合研究所」を設立。代表兼主任研究員として、労務相談受付・課題解決に取り組む。得意分野は採用・法務・労務・人事全般の問題解決等、多岐にわたる。

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