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【レポート】HR HoT Leaders Conference #1(中編)


個人寄りのHR系インフルエンサーが経営者にすごく評判が悪い理由。

2018.11.01

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主催者のチカイケ秀夫氏は言った。「今日のメインテーマはプロレスです。ここはリングです」。独自の価値観をTwitterで発信し続ける、HR界隈で話題の3名が集結し、繰り広げられるHR×プロレス。中編は、個人寄りのHR系インフルエンサーが経営者から評判が悪い点について深く掘り下げた様子を伝える。【2018年9月18日取材】
【前編はこちら】それは新しい熱狂。HR×「プロレス」開幕。

HR HoT Leaders Conferenceとは(主催者発表より)

【趣旨】twitterでも独自の価値観や発信で、HR界隈で話題のHRの方が、今自分がHOTな話題と、それについて参加者も含めて、議論を深める場となります。

登壇者プロフィール、イベント概要はこちら

登壇者に問う「経営者から評判のよくないHR系インフルエンサーってどういう意味?」

チカイケ:さて、最近、私がTwitter上で仕掛けたプロレス(=議論)でいうと、リンクアンドモチベーションの麻野(耕司)さんのTweetに「HRのインフルエンサーに経営者からの評判が良くない人が多い理由は、視点が個人に寄りすぎているからだと思う」というのがあって、これ、自分のことかな? みたいな(笑)でも、経営者から評判の良くないHR系インフルエンサーってつまりどういう意味なのか、どうしてもわからなくて…。直接聞いてしまいました!

(スライド上の麻野氏とチカイケ氏の実際のツイートやり取り画面を見て、一同爆笑)

チカイケ:麻野さんは真面目で信念のある方ですし、一方で私自身、社名が「パーソナルキャピタル」というくらい個人に寄っていて、アンチ組織でもあるので、ここでプロレス(=議論)をしました。楽しかったです!(笑)

ゲスト:いい話!(拍手&笑)

チカイケ:そんなわけで、私が今日取り上げてみたかったテーマとして「Twitterの個人寄りのHR系インフルエンサーは経営者にとってすごく評判が悪い」というのがありますが、皆さんはこれについてどう思いますか。

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福本:そうですね。経営者の視点で見たときに、社員個々人に肩入れしすぎることの一部不利益はあると思います。たとえば、MBOで社員を目標管理したいというときに、個人主義を主張されて社員が目標を追いかけてくれなくなるとか。ただ、もう少し長期的に見れば、あまり弊害は出てこないんじゃないかと私は思っています。それよりも、むしろ人材が会社から出ていかないようにしたいっていう経営者の考えの方が、不健全だと思いますね。

どんなに優秀な人材でも「絶対に欲しい」とまでは思わない採用の不文律。

ゲスト(経営者Aさん):少しよろしいですか。
私は経営者として、社員に出ていかないでねという言い方はしませんが、この会社にいると成長できるよという機会の提供や、社員にとって居心地の良い環境を作りたいとは考えています。福本さんが批判的に仰る「出ていかないように」する施策というのは、具体的にどういう意味ですか。

福本:居心地の良い環境を整えて社員に出ていかないようにと囲いを作るのではなく、いつ会社を辞めてもいいから、いかに早く「2回目戻ってきてくれるか」。そういう状況を作りたい、というのが私の考えです。

1年間すごく貢献して働いてくれた社員が、手掛けたい仕事が外にあるからと言って卒業していく。それ自体、とても良いことだと思っていて。だからこそ辞めていくのは自由だけれど、それ以上に「いま、この会社ってこんなに面白い環境なんだぜ」というところをどう表現していくか、辞めた後にまた戻りたいと思ってもらえるかにフォーカスを当てたいんです。

チカイケ:ちなみに辞めた人に戻ってきてもらうという福本さんの考え方は、インターンの学生に「入社したい」と思ってもらうことにも通じるんですか。

福本:はい。そもそも私の会社は新卒採用の公募をしていないんですよね。自分たちには入社を強制する権利はないと考えているので、それでも入社したいと自主的にプレゼンしてくれる学生だけを採用しています。

ゲスト(経営者Aさん):なるほど。そうは言っても経営者や現場の担当者として、この人絶対欲しいと思うときってあるじゃないですか。それでも、本人が「入社したい」と言うまではグッと我慢して内定を出さないというのは徹底しているのでしょうか。

福本:どんなに優秀な人であっても「絶対に欲しい」とまでは思わないですね。もちろん、スキル面で非常に優秀な方だなと思うことはありますけど、同時に、自分から採用しにいくのは「おこがましい」という感覚もどこかにはあって。ただ、それでも入社したいと言ってくれる方には入社の機会を設けますし、本人の入社意思に対しての最善は尽くします。

三木:最終的に「私が選んだ」という状況を作り出すことって非常に重要ですよ。そうしないと入社してからまた揺れますから。あのとき、あちらを選んでいたらどうだったんだろうかって。客観的にみて、いやいや選んだのは貴方でしょ?みたいな話でも、それが大切で。

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それなのに、かたや「御社が第一希望です」って言わないと最終面接にすら進めないっていう会社もあるわけじゃないですか。どうにかしないといけないですよね。

どちらが“正解”はない。時代の過渡期だからこそ生まれるコンフリクト。

寺口:キャリアのオーナーシップは誰のものかでいうと、昔は法人に帰属していたと思うんですよ。会社から転勤と言われたら転勤するし、異動って言われたら異動する。恐らくですけど、そういう時代を経て、キャリアのオーナーシップって本来は個人のものだよねっていう価値観が後から生まれたんじゃないですか。

私は経営者になったことがないので経営の苦悩は分かりませんが、個人寄りのHR系インフルエンサーに対する感情って、感覚的には悪友が箱入り娘に「こんな面白い世界があるよ」って誘っているのを、「うちの子に変な好奇心を植え付けないで!やっと私のコントロール範囲内に収められたのに、そんなこと言ったら興味を持っちゃうじゃないの!」って心配する教育ママの視点と非常に似ているなと思っています。

時代がシフトしていっている過渡期だからこそコンフリクトが生まれていて、経営者が嫌がるのも当たり前のこと。だから、どちらもあって然りだと思います。まあ、時代がどちらへ向かっているのかというと個人寄りなので、そうじゃない会社がどこまで粘るのかっていう話だと思いますね。

ゲスト(大手企業社員):個人にキャリアを寄せるといっても、中には自分の頭で考えたくない・単純作業の方が好き!という人もいて、そういう人はこれからも企業寄りの働き方を望むと思うのですが、その点についてはいかがですか。

三木:この中で、個人で働いていた方っていますか。経験があると分かると思うのですが、個人で働くとまあ大変なこともあるじゃないですか。会社員だとまあ楽なこともあるじゃないですか。だから、これからの時代も、人から好かれて選ばれる面白い会社は生き残っていく一方で、そうじゃなくて搾取される人生ばかりを歩みたい人たちが集まるような大変な場所も確実に残ると思っています。なぜそう思えるのかというと、そもそも欧米はほぼそうなっているからです。私はそういう働き方が良いとは思いませんが、企業寄りの働き方がなくなることはないと思います。

寺口:私もそれが悪いとは全く思っていません。テクノロジーが超進化しない限りは定型業務は当然残るわけで、中にはそういう仕事が好きな人もいるから適材適所にすれば良いと思います。

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ただ、現実はそうはなっていなくて、新卒採用ではどの会社も学生に主体性を求めるじゃないですか。実際に主体的に動かれたら困るのにも関わらず。「ビジネスの世界に正解はありません、あなたたちのアイデアを貸してください」と、アイデアを出しても通らないのに潰れかけの石に3年座らせるわけじゃないですか(笑)

それなら、最初から「うちは主体性を求めません」って言い切ってしまった方が良いと思うんですよ。「弊社は、誰が何をやっても均一に成果が出せる優れたシステムとビジネスモデルを整えました。だから誰が入ってきても言うことさえ聞いてくれれば、弊社の事業は回ります」って伝えて、言うことだけ聞いていれば安泰が得られていいな! と思う人たちは、そこへ入社したら良いんです。

そういう意味では企業か個人かという問いに、どちらが正解というのはないかもしれません。ただ、もしものときの一企業が負うダメージと、個人の人生が潰されるリスクを天秤にかけたら背負うダメージのバランスが悪すぎるので、キャリアのオーナーシップは個人に寄せた方が良いと私は考えています。

企業寄り・個人寄り、そのどちらが悪いわけでも間違っているわけでもなく、ただ時代の変化の中で避けられない事象なのだと語る面々のしみじみとした表情が印象的だった今回。そして最後のレポートとなる後編では、そうした時代の変化の中で、人事は、経営者は、そして個人は、何をどのように考え、どう行動してくべきなのか、3者の熱い議論の結末を見届けていただきたい。

HR HoT Leaders Conference #1(後編)」に続く

【撮影:高井直樹】

「HR HoT Leaders Conference #1」イベント概要

会場:株式会社ペライチオフィス
開催日時:2018年9月18日19:30-21:30
主催:CHRO STUDY COMMUNITY
https://www.facebook.com/events/711314499202515/

【登壇者紹介】

チカイケ秀夫(ファシリテーター/パーソナルベンチャーキャピタル)

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「すべての人にスタートアップを」をミッションに、GMOグループ上場企業での企業理念策定/社内新党に参画。2008年よりGMOグループにてベンチャー企業の立ち上げと、全グループ5,000人に関わるプロジェクトにリーダーとして、グループ内ブランディングを経験。現在は、熊谷代表直下のプロジェクトで学んだ「ブランディング」を通して、スタートアップ/ベンチャー企業に特化した支援事業を展開。
https://twitter.com/chikagoo

福本 真士(GOunite)

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学生時代は役者として過ごし、営業、芸人、エンジニアを経験した後、起業。現在は関西を活動拠点に、未来電子テクノロジー株式会社(2019年にプロダクト統合のためGOuniteに社名変更予定)にてCEOを務め、開いているギャップに橋をかける「Bridge the Gap」をすべての行動指針とし、学生に企業選びの判断基準をつくるインターンシッププログラム事業を行っている。
https://twitter.com/sfkmt

寺口 浩大(ワンキャリア)

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新卒でSMBCに入社し、業界調査、財務分析、M&Aなどを経験。転職し、Cyber Agentでアナリスト、DeloitteでHRコンサルタントを経験した後、現在は株式会社ワンキャリア・経営企画室にて経営管理部採用担当に従事。人事領域に携わる一方で、精力的に執筆活動を行っており、「就活生が150人死んだって。人事は何人死んでんだっけ。」といった過激な題材を掲げ、多くの共感を集めている。
https://twitter.com/telinekd

三木 芳夫(アカリク)

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4歳から始めたサッカーの世界で出会ったプロ選手に刺激を受け、ビジネス世界でのトッププレイヤーになりたいと新卒で社員数50名のベンチャー企業(現ノバレーゼ)に入社。12年間在籍する中で一部上場やTOBを経験。1,800名まで社員規模が拡大する中、一貫して人事担当としてHR領域に従事する。現在、IT企業の経営企画に勤める傍ら、株式会社アカリクの経営管理本部・執行役員を務めている。
https://twitter.com/y_tronc


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執筆者紹介

野澤 麿友子(のざわ・まゆこ)(株式会社スキマタイズ) 本職はIT企業人事。新卒で入社したメーカーで経営企画業務に携わる中、「従業員の幸せ」と「会社の発展」を両立できないことに疑問を持ち、それを実現できる人事になることを決意して転職。将来の夢はCHRO。人の理念や情熱などの漠然とした想いを、言語化することが好き。

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