特集

活力を生み出すダイバーシティ(LGBT編)


【後編】「中小企業にこそ積極的な取り組みを」学生が切り拓くLGBTの未来~JobRainbow~

2016.02.17

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「LGBTがありたい姿、ありたい性で就職活動・転職活動をすることを応援」する学生団体JobRainbow。前回に引き続き、LGBTの現状や中小企業が取り組むことのメリットについて伺った(前編はこちらから)。

当事者を守るためにも、人事担当者に伝えたいこと

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LGBT就活・転職活動サイト「JobRainbow」

―当事者の方々が感じる一番の問題とは何ですか。
星代表「(経営者や人事担当者に)当事者社員の声が届いておらず対応が遅れているところがある一方で、逆にせっかく会社に取り組みがあってもそれが当事者の耳に届いていなかったり利用できていなかったりすることがあります。どちらも社員がカミングアウトできない環境に原因があります」

-改善していくためには、人事担当者だけが情報を学んでもダメだということか。
星代表「そう思っています。理想は経営者を含めた全社員が理解している環境です。ただ、なかなかそうはいかないので、社内で情報発信ができるよう、人事担当者や管理職の方には、セミナーや研修をなるべく受けてもらって、当事者の社員から意見や相談があっても受けられる体制をつくるというのが必要になってきます。カミングアウトそのものは本人の意志の問題なので自由ですが、したい方ができない環境は変えていかなければいけない。その人たちに何かあった時に、例えば、それがセクハラやいじめに発展しないように、守ってあげる体制を整えることが大事なのではないでしょうか」

真梨子さん「LGBTの方が企業内で疎外感を持ってしまうのは、何気ない会話だったりします。例えば、男性同士が会話で盛り上がっているのを見て、『お前ら仲が良いな、ホモか』と聞いて『違うよ、気持ち悪いこと言うなよ』といった会話があるとします。当事者からすれば、それはセクハラだと感じるのです。飲み会でそのような会話がでた時に、『そういう会話はダメだよ。それは差別やセクハラにあたるから、うちの会社では認めないから』と言えるかどうか。それがダメなものだと非当事者の方も学ぶ機会にもなりますし、意識して気をつけるようになりますよね」

優秀な人材の採用、雇用にも影響

-中小企業が取り組むことにメリットはありますか。
星代表「いま、当事者の就活生が志望先企業を選ぶ際の選択軸として、『LGBTに対してフレンドリーであるかどうか』のウエイトが大きくなっています。そういう意味では、中小企業であっても、フレンドリーであれば、優秀な人材が集まる可能性が広がるので、メリットに感じてもらえると思います」

真梨子さん「LGBTの方は離職率が高く60%とも言われています。離職してしまえば、それまでにかかっていた教育コストも損失になってしまいます。そういう意味でも、中小企業こそがもっと取り組んでいくべきではないかと私たちは考えています」

-人事担当者へのメッセージをお願いします。
星代表「社内から声が出ないと対応は必要ないと思いがちですが、LGBTの人口に占める割合は7.6%※といわれており、つまり13人以上の規模の会社であれば、1人以上いる可能性が高いです。その人たちがいるとすれば、なぜ言いだせていないのかをまず考えていただき、その上で、 研修をやってみるとか、社内でアンケートをとってみるとか、小さな行動の1つでも起こしてみてください。それだけでも社内にいる当事者にとっては心強く感じられます。まず一歩。ぜひアクションを期待しています」

星代表よりオススメのイベント情報

星代表よりオススメのイベント情報:「毎年11月ごろに開催している『Work with Pride』は人事担当者や管理職向けの勉強会、セッションを開催しています。2015年は240社400名ほどが参加し、イオン、KDDI、ラッシュジャパン、野村證券、ゴールドマン・サックス証券の取り組み発表や社員の声を紹介しています。ぜひ、管理職や経営者の方と一緒に参加してみてください」

※電通ダイバーシティ・ラボが発表(2015年4月23日)。全国の20~59歳の個人6万9989名を対象に調査した結果、LGBT層該当者が7.6%いると発表した。

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