【レポート】HR HoT Leaders Conference #1(前編)
それは新しい熱狂。HR×「プロレス」開幕。
2018.10.29
主催者のチカイケ秀夫氏は言った。「今日のメインテーマはプロレスです。ここはリングです」その瞬間、私たちは一種の熱狂につつまれた。その場にいた誰もが確信した。これはただのHRイベントではない。独自の価値観をTwitterで発信し続ける、HR界隈で話題の3名が集結した夜、前代未聞の熱狂がいま、開幕する。【2018年9月18日取材】
【参考】人事&総務がフォローしておきたいHR領域のオピニオンリーダー14人
HR HoT Leaders Conferenceとは(主催者発表より)
【趣旨】twitterでも独自の価値観や発信で、HR界隈で話題のHRの方が、今自分がHOTな話題と、それについて参加者も含めて、議論を深める場となります。
【登壇者紹介】
チカイケ秀夫(ファシリテーター/パーソナルベンチャーキャピタル)
「すべての人にスタートアップを」をミッションに、GMOグループ上場企業での企業理念策定/社内新党に参画。2008年よりGMOグループにてベンチャー企業の立ち上げと、全グループ5,000人に関わるプロジェクトにリーダーとして、グループ内ブランディングを経験。現在は、熊谷代表直下のプロジェクトで学んだ「ブランディング」を通して、スタートアップ/ベンチャー企業に特化した支援事業を展開。
https://twitter.com/chikagoo
福本 真士(GOunite)
学生時代は役者として過ごし、営業、芸人、エンジニアを経験した後、起業。現在は関西を活動拠点に、未来電子テクノロジー株式会社(2019年にプロダクト統合のためGOuniteに社名変更予定)にてCEOを務め、開いているギャップに橋をかける「Bridge the Gap」をすべての行動指針とし、学生に企業選びの判断基準をつくるインターンシッププログラム事業を行っている。
https://twitter.com/sfkmt
寺口 浩大(ワンキャリア)
新卒でSMBCに入社し、業界調査、財務分析、M&Aなどを経験。転職し、Cyber Agentでアナリスト、DeloitteでHRコンサルタントを経験した後、現在は株式会社ワンキャリア・経営企画室にて経営管理部採用担当に従事。人事領域に携わる一方で、精力的に執筆活動を行っており、「就活生が150人死んだって。人事は何人死んでんだっけ。」といった過激な題材を掲げ、多くの共感を集めている。
https://twitter.com/telinekd
三木 芳夫(アカリク)
4歳から始めたサッカーの世界で出会ったプロ選手に刺激を受け、ビジネス世界でのトッププレイヤーになりたいと新卒で社員数50名のベンチャー企業(現ノバレーゼ)に入社。12年間在籍する中で一部上場やTOBを経験。1,800名まで社員規模が拡大する中、一貫して人事担当としてHR領域に従事する。現在、IT企業の経営企画に勤める傍ら、株式会社アカリクの経営管理本部・執行役員を務めている。
https://twitter.com/y_tronc
全員リングに上がれ。インタラクティブなプロレス(=議論)にこそ価値がある。
チカイケ:今日はお集まりいただき、ありがとうございます。この企画は、いまTwitterに第2ブームがきていて結構アツいなと思っていて、発信力のある経営関係者の中で面白いことをやろうよとなったのがきっかけです。
そして、今日のテーマは「プロレス」です。ここは「リング」です。10名限定という場にしたのも、皆さんには単なる観客として、聞いて、帰って、寝て、忘れてしまうのではなく、当事者としてこの場に参加してほしかったからです。全員がリングに上がってください。ゲストからの質問も大歓迎です。インタラクティブにいきましょう。よろしくお願いします!
一同:はい!!!(拍手&笑)
チカイケ:それでは、まず各登壇者に簡単な自己紹介をお願いできたらと思います!
福本:関西の未来電子テクノロジーという会社でCEOをやっている福本です。学生向けのインターン事業をやっています。私は正直、経歴なんて立派なものはなくて。というより、そもそも就活自体をしたことがなくて……。やり方が分からなくてしなかった、が正直なところなのですが。だから、仕事柄学生と関わる機会が多いんですけれど、就活をしている学生が相談にきてもアドバイスができないんですよね。だって、経験がないから(笑)
だから、就活はしなかったけれど起業した、そんな今の私にできることは、「自分のできることにリミットを設けなくて良い。やりたいことがあるなら行動していれば必ずできるよ」というのを伝えていくことかなと思っていて、それでTwitterをやっています。
チカイケ:熱い!
寺口:皆さんよろしくお願いします、ワンキャリアの寺口です。私は、新卒で大手金融会社に就職し、不良債権回収やM&A事業などを手がけました。その後転職して、ウェブマーケ企業、人材育成のコンサルタント企業など、いろんな領域の企業を渡り歩く中で、金融とかマーケティング領域は賢いけれど定量的で無機質な人が多くて、逆にHR領域は感情に熱いけれど定性的な人が多いなと感じています。
私自身は、そんな人間らしいHRの領域に携わる人々が非常に好きなんですが、一方で自分がこれまで得てきた定量的な知見を全部HRに入れて、もっとHR領域がデータドリブンになったら結構面白いんじゃないかと思っていて、今年からいろいろな実験をしています。
チカイケ:よろしくお願いします!では最後、三木さん……!
三木:よろしくお願いします、三木です。私は2人に比べたらTwitterのフォロワー数も多くないんですけれど、この3人の中では一番ちゃんと人事をやってきました(笑)。2005年に新卒入社した会社にいまどき珍しく12年間勤めていました。社長がリクルート出身のベンチャー企業だったので、入社1年目から採用をやらせてもらって、そこから14年間一貫してHR領域をやらせていただいています。
自分自身、企業の上場やら急拡大・急成長を経験させてもらって感じるのが、いま人事領域の求人はものすごい数が出ているのに、それを本当にこなせる人はほとんどいないんじゃないかということです。ですから、私が少しでもそこに貢献できるのであれば還元したいと思って、現在は複業というかたちでさまざまなHR領域で幅広く活動させていただいています。
チカイケ:熱い! 皆さま、本日はよろしくお願いします!
2.0が生まれて1.0が死ぬ。「アップデート」は敗北宣言。
チカイケ:寺口さんのロックなスライドが気になりますね(What kills curiosity? What kills words? What kills brand?と書かれたスライドを指しながら)。
寺口:ちょっと格好つけているんですけれど(笑)問いがあった方が伝わりやすいかなと思いまして。私の頭の中には、好奇心ってなんで死ぬの? 何が言葉を殺しているの? 何がブランドを殺しているの? というこの3つの問いが常にあると感じています。
チカイケ:おおー! カッコイイ。
寺口:1つ目の問いから話しますね。いま私は新卒領域に携わっているんですが、最近の学生ってみんな驚くほど自分の「やりたいこと」や「なりたい姿」がないなぁと感じています。
一方で、私には1歳くらいの子供がいるんですけど、赤ちゃんって驚くほど好奇心旺盛なんですよ。家では、そういう好奇心のかたまりみたいな赤ちゃんを見ていて、会社に行くと「自分が何に興味があるのかわからない」と言っている18歳~20歳くらいの学生を見る。それを毎日交互に見るわけじゃないですか。頭がおかしくなりそうになりますね(笑)。
好奇心が「ある」状態から、これほどまでに好奇心が「ない」状態に変化する。その間には一体何があるんだろうって。何が好奇心を殺しているのか、探求したいなと思うわけです。
チカイケ:あぁ、なるほど。
寺口:もう1つがワード=「言葉」ですね。私は普段から執筆をしているので、「言葉」というものを非常に大切にしていてるのですが、中でも一番悲しいのが「バズワード」なんです。生まれては死んでいくワードってあるじゃないですか。「言葉」というものは、生まれた瞬間に「○○はこの言葉で表せますよ」という、その時点での「○○」を形容する信頼を持っていることの約束だと思っているんですが、その信頼が死んでいったから結局2.0や3.0っていう話になるんじゃないかなと。
「アップデート」って格好良く言っているけれど、それはつまり敗北宣言だと思っていて、2.0はもちろん必要な表現だとはわかっているんですけど、例えば「働き方改革2.0」っていう言葉が出た瞬間に、「1.0もうちょっと粘れよ!!」って思うんですよ(笑)
一同:爆笑
「言葉は価値だ」という哲学。学生の好奇心は何に殺されているのか。
寺口:ブランドも同じで、世の中の人ってみんなブランディングブランディングって言っている気がするんですけど。
ゲスト:めっちゃ言っている人がここにいますよ(笑)(チカイケ氏を指しながら)
寺口:チカイケさんのことじゃないですよ(笑)
チカイケさんに「ブランディングってなんですか」って聞いたら、こちらが引くくらいにブランディングについて説明してくれると思うんですね。皆さんも「ブランド」という言葉を自分の言葉で説明できるかを心に問うてほしいんですけど、私にとってブランドは約束を守った履歴のログなんですよ。そういう信頼の積み重ねにブランドは付くものなんです。
それなのに、「採用ブランディングしましょうよ」って言って、クオリティの高いウェブコンテンツを作っておきながら、質の低いインターンを開催して学生から批判されるっていうのはブランディングに失敗しているし、ブランディングの基礎の基が分かっていないんじゃないかって思うわけです。そんなの当たり前じゃないかっていう人もいるかもしれないけれど、意外と世の中そういうコンテンツばかりじゃない? と思っている次第です。
チカイケ:その世の中に批判を投げかける感じいいですね!
福本:学生で言うと3つ目のブランドに対する誤解が学生自身を殺していますよね。自分たちに変なブランドを感じているんですよ。
三木:それは学歴的なやつですか。
福本:それもあるんですけど、ブランドっていうものは本来、人から認知されて相手の中に蓄積していくものじゃないですか。そうであるにもかかわらず、これは傷つけられないブランドだというものを自分の中で勝手に作り上げてしまって、だから「失敗できない」んです。自分の価値を自分で決めちゃって、それがひいては自分の好奇心を殺すことにもつながっているという。
寺口:人からもらったタグがブランドということですね。
福本:私はソシュールと言う哲学者が結構好きなんですけど、彼は「言葉は価値だ」って言っているんですよ。分かりやすく言うと、日本語には「蝶々」と「蛾」っていう2つの言葉があるけれど、フランス語にはパピヨンしかない。つまり、フランスでは蝶々も蛾も分ける意味がないってことになります。
だから、例えばですけど「正社員」っていう言葉を作っていること自体がそもそも問題じゃないかと感じていて。つまり、正社員も社員の名称を言葉で区切っているだけなのに、ブランドというか、そこに不必要にポジティブなイメージを入れてしまっているから、私たちも言葉にすがる部分が生まれてしまっているのではないかな、と。名称のイメージにとらわれないようにするには、シンプルにそういう言葉を全無視するしかないかなというのが私の中での結論です。
Twitter界隈で話題の方々らしく、言葉の定義から始まった熱い議論。「HR HoT Leaders Conference #1」は、まだまだ序盤戦が開幕したばかり。チカイケ氏の言うプロレスはこれからますます白熱していくことだろう。3回に分けてお送りする熱い夜のレポートを、ぜひ最後まで見逃さないでいただきたい。
「HR HoT Leaders Conference #1(中編)」に続く
【撮影:高井直樹】
「HR HoT Leaders Conference #1」イベント概要
会場:株式会社ペライチオフィス
開催日時:2018年9月18日19:30-21:30
主催:CHRO STUDY COMMUNITY
https://www.facebook.com/events/711314499202515/
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特集:企業ブランドと人材戦略のカギを握るCHRO(最高人事責任者)
執筆者紹介
野澤 麿友子(のざわ・まゆこ)(株式会社スキマタイズ) 本職はIT企業人事。新卒で入社したメーカーで経営企画業務に携わる中、「従業員の幸せ」と「会社の発展」を両立できないことに疑問を持ち、それを実現できる人事になることを決意して転職。将来の夢はCHRO。人の理念や情熱などの漠然とした想いを、言語化することが好き。
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