元銀座ホステスがアドバイスする採用面接の心得
元銀座ホステスが語る「成長する新人」の見極め方と面接で人を見誤る5つの理由
2016.02.12
元銀座ホステスで、再就職の公的支援事業に講師として参加している筆者が、成長する新人の見分け方を考察します! 今回は、面接で人を見誤る5つの理由と、成長する新人を見抜く3つのポイントについて説明していきます。【写真はイメージ】
ベテランほど見誤りやすい?!面接で人を見誤る5つの理由
才能ある人を見落としてしまった。採用した人が期待とは違っていた。そういった判断ミスは、ベテランになってもなくなりません。
東の聖人と呼ばれる、あの「孔子」でさえ弟子を二人見誤っています。裏も表も熟知している銀座ホステスも騙されながら成長します。
どうして私たちは人を見誤るのでしょうか。まずは判断ミスをする5つの理由を知っておきましょう。
1.第一印象は主観であり個人差があるということを忘れがち
同じ学生を前にしても「奥ゆかしい」と感じる人もいれば「暗い」と感じる人もいます。第一印象は主観であり個人差が多いことは忘れがちです。銀座ホステスは第一印象で人を判断する怖さを、身を持って知ります。「実はこちらの人のほうがお金持ち」なんてことは日常茶飯事なのです。
2.採用する側は判断力を高く見積もりがち
短時間で人を見抜くのは難しいもの。わかっているのに、私たちは自分の評価する力を高く見積もります。銀座で「開発」と呼ばれるスカウトの専門家も、見た目や印象に騙され女性に振り回されています。
3.応募者が高評価を得るための対策をしている
応募者は事前に面接対策をしています。それはそれで評価の価値があるのですが、素の部分は見えにくいです。
百戦練磨の銀座ホステスが思わぬ男性にオトされるというケースでも、相手の周到な準備が原因。期待外れというのは、どの世界にもあるものです。
4.ベテランほど「脳の決めつけ」に騙されやすい
ベテランの採用担当者ほど、脳のヒューリスティクス(判断の省略・決めつけ)に振り回されがち。特に決裁権があるほど、人を見誤りやすいという研究もあります。
銀座時代に、オーナー社長のまわりにいた取り巻きの方たちを思い出してしまいました。ごめんなさい。
5.面接から合否判定まで時間がある場合、記憶による判断は間違いやすい
記憶を思い出すときに間違いや思い込みが生じやすい。面接の記憶を手繰って、後日合否判定をする場合は注意が必要です。初恋の人、クラスのマドンナ、確か可愛かったキャバ嬢などなど、男と女の間でも記憶はあてになりません。
研究者は「採用面接の場には人を見誤る要素が見事に揃っている」と言います。そんな状況で、どうすれば成長する新人を見抜けるのか。次の3つのポイントでご紹介します。
「成長する新人」は3つのポイントで見極める
ポイント1:マニュアルどおりにできるかどうかは意外に重要
ポイントの1つ目は、あたりまえのことができるかどうか。まずは、ごく一般的な質問で受け答えを見ることをオススメします。「マニュアル通りの受け答えなど参考にならない!」とお叱りをうけそうですが、成長する新人という視点で見る場合、ここは意外に重要です。
筆者は8年ほど前から、大学のカリキュラムを再就職支援に利用する公的プロジェクトに、W大学の講師として参加しています。指導にあたるうち、就職が決まらない人には思わぬ共通点があることに気づきました。それは、指示された極めてシンプルな作業を、指示通りに再現できないこと。
例えば「この3つを入れて自己紹介をしましょう」というワークで、オリジナルな自己紹介をしてしまう。漢字の上に「ふりがな」と平仮名で書いているのに、カタカナでふりがなを振ってしまうなどです。
こういった傾向がある人は、素晴らしいキャリアや資格を持っていても避けられがち。特に、成長する新人を探すのであれば素直さ、言われたとおりに作業を遂行できる力は重要度がさらに高くなります。
「面接対策に騙されない!」と、変わった面接方法ばかりをとる採用担当者もいらっしゃいますが、あたりまえの対応ができるかどうかは一つの見どころ。面接対策を立て、そのとおりに振舞える人というのは、必要条件を満たした悪くない人材なのです。
ポイント2:「類推思考」ができるか?
成長する新人を見抜くポイントの2つ目は「類推思考」ができるかどうかです。指示通りに動く。そんな基本の次に必要とされるのは、そこから類推思考をして仕事を遂行していく能力です。
銀座ホステス時代、筆者は様々な業界で活躍されている方々とお話をしました。その中で、成長を続ける人に共通していると感じたのが、この類推思考です。
成果を上げ続ける人は、日常な様々な事象から常に学び続けています。ある商品で大ヒットを出したお客様は、自社とはまったく別の業界のコンセプトを参考に、アイデアを出したと、その経緯を教えてくれました。このような事例はマーケッターの間では常識で、枚挙にいとまがないのだとか。
面接で類推思考のレベルを知りたいのなら「今成功している○○社の××というコンセプトを、この会社で応用するとしたら?」「うちの会社のお客様に別の商品サービスを提案するとしたら?」といった、もしもシリーズの質問がオススメです。
ポイント3:想像力はあるか?
成長する新人を見抜くポイントの3つ目は「想像力」があるかどうか。こういう言動はトラブルになる。こういった仕事のやり方では迷惑がかかる。そんな想像力を持たない人が入社すると、職場全体に悪影響が及びます。
面接では協調性があるかどうかは定番の見どころです。でも、それよりも大切なのは想像力。想像力があれば自分の行動によって第三者がどういう気持ちになるか想像できるので、職場の和を乱すような言動はとりにくいのです。逆に協調性があっても、想像力がない人は悪気のないままNG行動を続けてしまう可能性があります。
この季節になると、SNS(ブログやフェイスブック、ツイッター)の使い方に関する研修やハニートラップ対策の研修に呼んでいただくことが増えます。これらの研修では、過去に問題になった事例とその代償がいかに大きいかを紹介するのですが、そのほとんどは「想像力の欠如」によって起きています。
相手の期待に応え成果を上げるためにも、トラブルを起こして足をひっぱらないためにも、想像力があるかどうかはチェックしておきたいポイントです。
「社内で○○というトラブルが起きた場合、あなたならどんな対応をしますか? 思いつくだけ教えてください」「プライベートで○○に巻き込まれたら、誰に連絡するか考えつくだけ教えてください」といった、想像力を駆使する質問で探ってみてはいかがでしょう。
業界や会社によって優先順位は違うと思いますが、担当者さまの参考になれば幸いです。
【編集部おすすめの「ホワイトペーパー」】
体系的にまとめられた情報の中から必要な部分をパッケージングした業務に役立つ資料です。
執筆者紹介
藤田尚弓(ふじた・なおみ)(株式会社アップウェブ代表取締役) 日本社会心理学学会会員、悪女学研究所所長、コラムニスト。企業と顧客を結ぶ「コミュニケーションデザイン」を研究する、株式会社アップウェブを経営。企業サイトの制作運営、印刷物の制作などを行っている。企業研修や大学などに講師として登壇している他、テレビ・ラジオ出演も多数。著書に「銀座で学んだ稼ぐ人のシンプルな習慣」(総合法令出版)「NOと言えないあなたの気くばり交渉術」(ダイヤモンド社)などがある。
@人事では『人事がラクに成果を出せるお役立ち資料』を揃えています。
@人事では、会員限定のお役立ち資料を無料で公開しています。
特に人事の皆さんに好評な人気資料は下記の通りです。
下記のボタンをクリックすると、人事がラクに成果を出すための資料が無料で手に入ります。
今、人事の皆さんに
支持されているお役立ち資料
@人事は、「業務を改善・効率化する法人向けサービス紹介」を通じて日本の人事を応援しています。採用、勤怠管理、研修、社員教育、法務、経理、物品経理 etc…
人事のお仕事で何かお困りごとがあれば、ぜひ私達に応援させてください。
「何か業務改善サービスを導入したいけど、今どんなサービスがあるのだろう?」
「自分たちに一番合っているサービスを探したいけど、どうしたらいいんだろう?」
そんな方は、下記のボタンを
クリックしてみてください。
サービスの利用は無料です。
関連記事
-
コラム
データが会社を強くする! 北野唯我のロジカル採用理論
「新卒で何人採る?」に答える、人事担当者が把握すべき5つのデータ
あなたの会社では、採用に「データ」を活用できていますか?「@人事」では今月から、「北野唯我のロジカル採用理論」と題したコラムを連載します。執筆するのは、株式会社ワンキャリアのチーフ...
2017.08.30
-
コラム
林修三先生のなるほど人事講座
即戦力を無駄にしないために…中途採用社員を職場に馴染ませる4つのパターン
今年新卒社員を採用した会社ですと、新人を研修している頃でしょうか。新人であれば、良くも悪くもまっさらな状態ですので自社の社風や業務フローに馴染ませていくことは比較的容易かと思います...
2017.05.08
-
コラム
自然体で仕事する処世術
「聞き上手」な人は、ある部分に意識を集中させて話を聴いている
こんにちは!F太です。あなたは、「人の話をよく聴く」と言われたことがありますか?あるいは、これから部下や後輩ができたら、話を聴いてあげられるリーダーになる自信がありますか?今回は、...
2017.04.24
-
コラムニュース・トレンド
企業とシニア求職者のミスマッチをひもとく 第3回
シニア人材の活躍事例――これまでの人生経験を生かす
シニア層の活躍: 未経験業界への挑戦第1回は、シニア層の就業実態および意識をシニア個人と企業双方の視点からお伝えし、第2回では、積み重ねたキャリアで得たスキルや専門性を生かして生き...
2023.08.25
-
コラムニュース・トレンド
企業とシニア求職者のミスマッチをひもとく 第2回
シニア人材の活躍事例――これまでのキャリア・専門性を生かす
シニア人材の採用と活躍:スキルと経験を生かす方法第1回では、リクルートの調査研究機関『ジョブズリサーチセンター』が実施した「シニア層の就業実態・意識調査(個人編・企業編)」をもとに...
2023.08.18
-
コラムニュース・トレンド
「人的資本経営」の実践のポイント 第4回
人的資本経営の実践に向けて――マネジャーのリスキリング
人的資本経営の実践の要となるミドルマネジャーの「リスキリング」に注目本連載では、人的資本経営の実践のポイントとして、「人的資本の情報開示」「人事部の役割変化」「ミドルマネジメントの...
2023.08.10
あわせて読みたい
あわせて読みたい
人気の記事
国内・海外ヘッドライン
THE SELECTION
-
PRTHE SELECTION企画
「置き型健康社食」がもたらす可能性とは
健康経営、採用強化、コミュニケーション活性化にも。 手軽に導入できる「食」の福利厚生
-
PRTHE SELECTION企画
街なかの証明写真機「Ki-Re-i(キレイ)」で、もっと社員の顔写真管理をラクに
社員証の写真、「最適化」できていますか? チーム力を強化する顔写真データ活用法とは
-
THE SELECTION特集
【特集】ChatGPT等の生成AIが一般化する社会で必須の人材戦略・人的資本経営の方法論
-
THE SELECTION企画
レポートまとめ
@人事主催セミナー「人事の学び舎」 人事・総務担当者が“今求める”ノウハウやナレッジを提供
-
THE SELECTION特集
特集「人手不足業界の逆襲」~外食産業編~
「見える化」と「属人化」の組み合わせが鍵。 丸亀製麺が外食業界を変える日
-
THE SELECTION特集
人事のキーパーソン2人が@人事読者の「組織改革」の疑問に答えます(第2弾)
数値化できない部署を無理に人事評価する方が問題。曽和利光×北野唯我対談
-
THE SELECTION会員限定特集
働きやすい職場づくり~サイバーエージェント編
「妊活支援」や 「働くママ・パパ支援」を、 一部の社員のものにしないためには?