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キーパーソンインタビュー


「究極のマネジメントは夢!」歯科女医が語る、企業の離職率低下と業績アップに有効な「ドリームマネジメント」とは?

2018.10.25

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現在、アメリカでは社員の離職率の低下と企業の業績アップに有効なマネジメント手法・『ドリームマネジメント』が注目を浴びているという。しかし、日本ではまだ認知度が低いのが現状だ。そこで、歯科クリニックサロンを運営しながら、ドリームマネジメントの普及活動に努める女性歯科医師・井手真理氏を取材。『ドリームマネジメント』のノウハウや、その効果について話を伺った。【取材:2018年7月2日、イデアデンタルクリニックにて。聞き手:野澤 麿友子】

プロフィール

井手真理(いで・まり)

香川県高松市生まれ、広島大学歯学部卒。卒業後、一般歯科、小児歯科、審美歯科、噛み合わせ治療など臨床現場で経験を積むにつれ、身体と心はつながっていると気付き、さまざまな分野の心理学・催眠療法・東洋哲学・統合医療・分子整合栄養学・食事療法・リンパセラピーなどを学び、多角的にアプローチするメソッドを開発。一方、自身のクリニック経営にも力を入れており、2017年にドリームマネジメントに出会って以降、その手法を活かした経営と普及活動を行っている。

私が経営者になったら、働く仲間の夢や希望がかなう場所にしたい。

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―井手先生がドリームマネジメントに出会ったきっかけはなんでしょうか。

2017年にあったある経営勉強会で、尊敬している経営者の方から「職場環境や人間関係の改善に役立つプログラムがあるよ」とドリームマネジメントを紹介されました。
経営するクリニックを働く仲間の夢や希望がかなう場所にしたいというのは、私がドリームマネジメントに出会う前からずっと試行錯誤していたことだったので、きちんとしたプログラムがあるならとすんなり取り入れることができました。

というのも、開業前は上下関係のはっきりしたピラミッド型の組織の中で、女性歯科医師として院長とスタッフの間に入る中間管理職のような立場になることが多くありました。そうした環境で部下の相談に乗るうちに、権力で縛る組織体系は人間関係を悪化させやすいマネジメントなのではないかと感じるようになっていったんです。

心理学を学んでいるからかもしれませんが、人はそれぞれ自分の人生を生きていて、会社や仕事の延長線上に自分の夢があるからここで頑張ろうと思えると考えています。ですから、その夢と会社を一体化してあげることで、「社員は自然とモチベーションを持って自発的に動いてくれるのではないか」「私が経営者になったらそういうマネジメントをしていきたい」とその頃から考えていました。

特にデンタルクリニックのような小さい組織は、少人数で閉鎖的です。部署異動もない中で、ずっと同じ仕事内容・同じ空間で働くわけですからモチベーションを保つのが難しい。さらに、アルバイトや正社員などさまざまな雇用形態の方がいらっしゃる中で、給料でも昇給でもない共通のモチベーションを持つことは非常に難しいことなのです。

でも「夢」だけは全員が立場に関係なく平等に持てるものなので、マネジメントしていく上ではとっても有効な概念だと感じています。

ドリームマネジメントは“人生のトータルマネジメントスキル”が身に付くライフコーチングプログラム

―ドリームマネジメントとはどういったものなのでしょうか。

ドリームマネジメントは、米フロイド・コンサルティング社が開発し、実用化したライフコーチングプログラムです。日本に入ってきてまだ2~3年しか経っていませんが、アメリカでは世界的企業への導入実績もあります。ドリームマネジメントを実施している企業は総じて離職率が低く、また求人広告を打たなくても応募が殺到するほど効果が絶大だといいます。

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1年単位のプログラム構成で、毎月1回2時間×12回のセッションがあります。初回のセッションで、自身のドリームリスト(100の夢のリスト)を作ります。ただし、ドリームマネジメントの特徴は、参加者に夢を語らせるだけでは終わらせず、その夢を実現させるためにいつまでに何をしなければならないのかということを本気で考えさせて、実践的な時間の管理やお金の管理を学ばせるところにあります。

例えば、あと5キロ痩せたいという夢であれば、「飲み会の回数をどれくらい控えるのか」「どう運動量を増やすのか」「どうやって運動時間を確保するのか」というように、目的を達成するための具体的な行動を書かなければいけません。

―ダイエットを頑張ることと職場で仕事を頑張ることには少し乖離があるような気がするのですが、ドリームマネジメントではどのように考えられているのでしょうか。

「自己管理」という点で考えていただくとわかりやすいかと思います。自分の人生をマネジメントできない人は仕事ができないというのがドリームマネジメントの考えです。自身の持ち物の整理整頓、家の整理整頓ができない人は会社のデスク周りすら整理整頓できないですよね。

ドリームマネジメントプログラムでは、セッション1「夢の書き出し」、2「目標設定」、3と4「お金の管理方法」、5「性格分析による自己理解」、6「時間の管理方法」、7「健康維持のための生活習慣の見直し」というように、セッションごとにテーマを持たせています。
最終セッションでは人格の形成までテーマに入れていて、個人の夢を実現させることはもちろん、人としての成長も叶える複合的なプログラムになっています。

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そして、時間やお金の自己管理がきちんとできるようになると、それらの管理術は仕事にも転用できます。このようにドリームマネジメントを取り入れることで、社員は人生のトータルマネジメントスキルを身に付け、スキルアップと自己実現を同時に叶えることが可能になります。それが、結果的に会社は定着率と業績がアップするという、会社と社員の双方に対して正の相互作用が生まれます。

夢を共有することで企業内に“助け合いの文化”が生まれる

―たとえば豪邸に住みたいという夢を持った社員がいたとして、会社の給与的にいまの会社では自身の夢を実現できないと考えて転職するケースも起こり得そうですが、ドリームマネジメントでは社員が会社を辞めてしまうリスクについてはどのように対処しているのでしょうか。

ドリームマネジメントでは自分たちの企業でできる範囲まではサポートをします。しかし、それ以上のレベルまで従業員が到達してしまってこれ以上の成長が見込めないという場合には、例えば専任のキャリアコンサルタントを置いて転職の斡旋をすることもあります。
会社にとって社員が辞めることはリスクですが、そこまですることで、会社が本気で自分の人生のステップアップを応援してくれているということが伝わるので、本当の意味での会社のファンが増えます。

ただ、そうしたことよりも私がドリームマネジメントを導入して本当に良かったと感じるのは、メンバー同士が夢を共有することで、立場に関係なく企業内に助け合いの文化が生まれたことです。

私自身もスタッフの夢を聞くといろんな機会を提供してあげたくなりますし、それによってスタッフとの間に強い信頼関係が生まれました。今ではスタッフがどうしたら組織が良くなるのか、私以上に考えて自発的に動いてくれていると感じています。

応援したり助けたりすると相手にも返したくなる、それが日常的に起こると素敵な組織になっていくと思います。

―日本で普及活動をしている中で、どんな点に苦労されていますか。

まだ日本では実績が少ないためか、経営者に話すと、「それはとてもいいね!」と仰ってくださる方と、「どうしてモチベーションアップに夢なのか?」と理解していただけない方に二極化しています。これからドリームマネジメントを実際に導入する企業が増えていけば、売り上げや離職率の改善などが数値で目に見えてくるようになるでしょう。

ドリームマネジメントのセッション自体は、1回あたり50名ほどの大人数でも実施できるものなので、導入にあたり企業規模は関係ありません。大きな会社であれば、まずは管理職から受けていただいて段階的に浸透させていくのが良いかもしれません。これから人材の確保が大変になってくる中で、今いる人材を大切にしたいと考えている経営者の方には本当におすすめです。

目指すのはみんなが自分に優しい社会。

―井手先生はドリームマネジメントの普及活動をされていますが、そのモチベーションの背景にある想いはどのようなものなのでしょうか。

究極的には社会全体を元気にしていきたいんです。私は経営者であると同時に母親なので、娘が生きる社会がより良くなったら良いと思っていますし、ドリームマネジメントは、企業を、社会を、変えていける可能性を秘めたプログラムだと考えています。

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医療者から見て、日本には自分の身体の声を聴いていない方が非常に多いと感じています。みんな疲れているし、余裕がないように見えます。余裕がないから、自分の本当にやりたいことや、子供のころに抱いていた夢とか、人に対しての温かい気持ちを忘れてしまっていて、ストレスを抱えて、人間関係に苦しんでいます。だからこそ、私は経営者として、医療者として、その余裕をもっと社会全体に作っていかないといけないなと思うんです。

―ドリームマネジメントは日本をどのように元気にしていくのでしょうか。

人の意識はすごい力を持っていますよね。だからこそ、どこに意識を向けるかで人生はすごく変わってくるじゃないですか。ドリームマネジメントは、夢という自分の本当の気持ちに向き合えるプログラムなので、セッションを通して前向きな人が増えていきます。私は、そこに非常に大きな可能性を感じています。

人生は時間の積み重ねでできているので、どういう時間を過ごすかで人生の質が変わってくる。今はそれに気づいている一部の方だけが、自分の想いに従って前向きに生きています。一方で、そうではない人は自分の本当の気持ちから目を背けたまま、ずっと苦しい想いを抱えたままです。

普通に生活しているだけではそうした気持ちや夢に向き合う機会があまりない中で、もし会社がそのきっかけをくれたら、なんて良い会社なんだろうって社員の方は思うんじゃないでしょうか。少なくとも、私はそう信じています。

ーそれは素敵な未来の可能性ですね。本日はありがとうございました。

執筆者紹介

野澤 麿友子(のざわ・まゆこ)(株式会社スキマタイズ) 本職はIT企業人事。新卒で入社したメーカーで経営企画業務に携わる中、「従業員の幸せ」と「会社の発展」を両立できないことに疑問を持ち、それを実現できる人事になることを決意して転職。将来の夢はCHRO。人の理念や情熱などの漠然とした想いを、言語化することが好き。

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