企画

「今日、部下が会社を辞める。」動画を通じて企業に発信したメッセージ


SNSで話題の「中小機構の動画」から考える 人手不足による労働環境の闇と打開策

2018.10.10

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中小企業基盤整備機構(東京都港区、略称:中小機構)が公開した動画「今日、部下が会社を辞める。」が、「予想外の展開」「労働環境の闇を描いている」とSNS上で話題になっている。動画では、機構が中小企業に実施した人手不足に関する調査結果を一部公開。ITツールの導入により人手不足の課題を解決する必要性を訴えている。
今回は、機構の動画を紹介しながら、調査結果をより詳細に紹介。調査から見える中小企業の苦しい現状と、対応策を考える。

目次
  1. 中小機構の動画「今日、部下が会社を辞める。」のストーリー
  2. 動画が生まれた背景
  3. 中小機構の調査から見える人手不足の現状
  4. 人手不足対策の1つとして、ITサービスの活用を

中小機構の動画「今日、部下が会社を辞める。」のストーリー

動画は約3分間。3年間働いた会社を辞める若手社員を、上司や同僚が送り出す場面から始まる。

上司は、入社後から失敗続きの部下を指導し、成長を見守ってきた。部下が会社を離れるその日、「私は良い上司だっただろうか」と思いを巡らせながら、部下を見つめて温かい拍手を送る。

感動のシーンで動画は終了…かと思いきや、映像が一変。
別の社員の「うちの会社、次から次に若手が辞めて…いい加減気付けよ!」という怒号に続き、「中小企業の73.7%が人手不足を感じている」「人手不足を残業などの業務過多で解決する中小企業が60.7%」と調査結果が次々と紹介される。つられるように泣き叫び、オフィスの備品を壊す社員たち。「社員が崩れると会社が崩れる。」「会社が崩れる前に、ITツール導入で、会社と社員の負担を減らす。」とのメッセージが提示される。

動画が生まれた背景

中小機構は動画の公開とともに、中小企業の生産性向上を促進するための特設サイトを開設。サイト内ではITツールや企業での活用事例を紹介している。
動画はサイトのPRとして制作された。機構は動画について、「働き方改革に向けた生産性向上の必要性を発信した」(ニュースリリースより)と説明している。

現在、中小企業等は深刻な人手不足となっています。中小機構の調査では、人手不足の状態を従業員の多能工化、兼任化、残業増で対応している中小企業等が約 6割となる一方で、5割強がIT活用による生産性向上を行っていないのが実態となっています。

中小企業等の生産性向上にはIT導入が不可欠です。しかしながら、ITは高コストで効果も不明という中小企業等の経営者の意識がある上、中小企業等に対する情報提供が不足していたこと等から、導入が進んでいないのが実態です。現在は、低コストで簡単に導入できるアプリ等のITツールが数多く存在します。中小機構では、こうした情報をわかりやすい事例や支援情報とともに、本サイトで提供しています。(ニュースリリースより)

中小機構の調査から見える人手不足の現状

ここからは、機構のアンケート調査の結果をより詳しく紹介する。
(出典:中小企業基盤整備機構 中小企業アンケート調査報告「人手不足に関する中小企業への影響と対応状況」

人手不足が売り上げや商品の質の低下にまで影響

調査では、中小企業1,067社のうち786社(73.7%)が人手不足を感じていると回答。業種別に分類すると、製造業(241社)が最も多く、続くサービス業(203社)と合計すると全体の半分以上を占めた。

人手不足の深刻度については、786社のうち半数以上の415社が「かなり深刻」もしくは「深刻」と回答している。

人手不足の影響は、「人材の採用難」(75.6%)や「売り上げの減少(需要増への対応困難、機会損失)」(34.4%)、「商品・サービスの質の低下」(30.3%)に表れているという。人手不足に悩む中小企業の多くが採用難に苦労し、さらに売り上げや商品の質の低下などの経営面にも打撃を与えているようだ。

今いる従業員の多能工化、残業の追加でやりくり

人手不足への対応策については、「従業員の多能工化・兼任化」が75.6%と最も多かった。そのほか、「業務の一部を外注化」(39.3%)、「残業を増加」(35.0%)、「業務プロセスの改善・工夫」(33.5%)が上位に入った。

企業が現状の従業員で人手不足に対応するため、兼任者を増やしたり、残業を増やしたりして、やりくりをしている様子が伺える。

一方、「IT化、設備導入による省力化」(17.9%)や「外国人の採用」(8.7%)は下位に。企業は人手不足解消に向けた新たな施策を打ち切れていないようだ。

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課題は「資金」「業務効率化できる人材の不足」

人手不足の対応における課題に関しては「資金」(48.0%)が最も多く、「業務効率化を実行できる人材がいない」(46.2%)が続いた。「経営層、管理者層のノウハウ、知識」(29.9%)も上位となり、自社内で対応策を講じる組織環境が整っていないとみられる。安価で利用でき、人材不足への対応策の知識を活用できるようなサービスが求められる。

アンケート概要

「人手不足に関する中小企業への影響と対応状況」
実施期間:2017年3月16日(木)~27日(月)
調査対象:
・中小機構メルマガ会員(中小企業経営者等)約 37,000 社
・有効回答企業数 1,067 社
アンケート方法:インターネット調査

※調査対象の分類
・全体(n=1,067)
製造業 294、建設業 176、情報・通信業 86、運輸業 26、卸売業 77、小売業 73、飲食店・宿泊業 35、サービス業 300
合計 1,067
・人手不足を感じている企業(n=786)
製造業 241、建設業 132、情報・通信業 63、運輸業 22、卸売業 41、小売業 50、飲食店・宿泊業 34、サービス業 203
合計 786
・人手不足を感じていない企業(n=281)
製造業 53、建設業 44、情報・通信業 23、運輸業 4、卸売業 36、小売業 23、飲食店・宿泊業 1、サービス業 97
合計 281

人手不足対策の1つとして、ITサービスの活用を

調査によると、中小企業の7割以上が人手不足を課題に感じているものの、資金や業務効率化できる人材が足りず、今いる従業員でなんとか対応している様子が伺える。
その状態が続けば、動画のような「次から次に若手が辞めて…いい加減気付けよ!」の叫びが社内に巻き起こるかもしれない。

中小機構は「生産性向上」特設サイトを立ち上げ、POSレジ、勤怠管理、販売管理などのITツールを紹介している。

そのほか、@人事でも「サービスガイド」と題し、人事や総務担当者向けの課題解決に役立つサービスを厳選、カテゴリ別に案内している。各サービスがどの課題を持つ企業に向いているかを解説するほか、期待される効果、費用モデル、他サービスとの比較まで網羅する。

業務効率化につながる勤怠管理システムについては「完全ガイド」を用意。@人事の編集部がサービスを選ぶポイントや導入にかかるコスト、よくあるトラブルを独自に分析、解説した。また、「@人事ONLINE」では、企業の先行事例を取材した記事や、専門家による連載を掲載。人手不足や働き方改革に役立つ具体的なナレッジを紹介している。

中小機構や@人事を活用し、自社の企業規模や悩みに合った適切なサービスを選んで課題解決に役立ててほしい。

【取材・執筆: @人事編集部】

ITツールから代行サービスまで業務効率化を推進する人事向けサービス情報と業種業界ごとの社員の勤怠管理システム選びはこちら

人手不足で起きるさまざまな課題の解決に役立つ記事はこちら(@人事ONLINE)

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