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コラム

@人事ドイツ支部通信


欧米では「男女平等の後進国」のドイツが、女性管理職を増やした方法

2018.09.28

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ドイツでは、女性管理職の割合を上げるために女性クオータ法が施行された。日本でも管理職に女性を登用する動きがあるが、なかなかむずかしいのが現状だ。政治的判断から女性管理職を増やすことを決めたドイツから、なにか学ぶことはできるのだろうか。

目次
  1. 女性管理職を増やす法を定めたドイツ
  2. 自然と出世コースから外れる女性
  3. ドイツ企業が行っている施策
  4. 女性だけでなく、多くの人が働きやすい社会へ

女性管理職を増やす法を定めたドイツ

2015年、ドイツでは女性管理職を増やすために、『女性クオータ法』、通称FüPoG法を制定した。この法は、大企業(108社)の監査役会において30%以上を女性にすること、中企業(約3500社)では監査役会や管理職における女性比率を上げるために目標や取り組みを設定することなどを定めたものだ。詳しくはこちら(労働政策研究・研修機構)に書いてある。

この法案成立の背景には、「大卒の半数が女性という現状(ドイツ連邦統計局)で、管理職の多くを男性が独占しているのはあきらかにおかしい」という認識がある。

FüPoG 法導入前の2014年、監査役会の女性の割合は5.4%で、執行役会では18.4%だった。導入後の2017年には、それぞれ8.1%、24.6%に上昇している(BIW Berlin)。しかし、2017年、ドイツのジェンダーギャップ指数における勤労所得の男女差は35位。ヨーロッパのなかでは、依然として低い(The Global Gender Gap Report 2017)。

ちなみに日本では、課長以上の役職における女性の割合は7.5%(厚生労働省)で、勤労所得の男女差は100位となっている(The Global Gender Gap Report 2017)。

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自然と出世コースから外れる女性

では、なぜ女性は管理職になりづらいのだろうか。まっさきに思い浮かぶのは出産と育児によってキャリアの梯子を外されることだが、それより別のところにも原因があると指摘されている。

そもそも女性には、管理職になるまでのモデルコースが用意されていないことが多い。たとえば「このプロジェクトは激務だから男性に」「転勤が多い部署に女性を配属したら辞めてしまうかも」というように、良くも悪くも忖度される場合がある。まわりに女性管理職が少ないから、目指すべきロールモデルやビジョンを共有できる人もいない。

また、FüPoG 法に関する報道では、『出世における透明性』が頻繁に言及された。現状では、人事査定の透明性が低い。営業成績で人事査定するのであれば、外回りや窓口勤務など、女性にも男性と同じだけチャンスがなければ同等の評価はもらえない。プロジェクトのリーダーを任されるのが男性だけなら、女性はプロジェクトを成功させて実績にすることができない。しかし、判断基準がオープンでなければ、女性は自分がどのタイミングで不利に扱われたかわからない、というわけだ。同法制定の際には、女性はふつうに働いているだけで自然と『出世コース』から外されている可能性がある、という声もあった。

ドイツ企業が行っている施策

ドイツはヨーロッパのなかで、『男女平等の後進国』だ。女性管理職の割合も、ユーロ圏の平均よりだいぶ低い。さらに、日本と同様に少子化が大きな問題であるため、必然的に『子育てしながらでも女性が管理職になれる方法』を模索する必要性に迫られている。

それを可能にする手段として代表的なのが、管理職でも時短ワークやジョブシェアリング、テレワークなど柔軟な働き方を選べるように推し進めることだ。

なかでも時短ワークはすでに一般的で、ドイツでは6割の女性が『子育てしながら時短ワークをする』のが理想的だとしており(statista)、事実、未成年の子どもをもつ約7割の母親が時短ワークをしている(ZEIT ONLINE)。これを拡大して、「管理職でも時短ワークしやすくしよう」という動きが活発だ。

ほかにも、女性同士が情報や経験を共有する機会を設けたり、ダイバーシティ雇用に詳しい外部の人間を登用し、女性社員と定期的に面談して経営陣に具体的な提案をする、という方法をとっているところもある。

また、ドイツでは、社内ではなく社外でスキルアップしてキャリアを積み重ねるのが一般的だ。そのため、女性の継続職業教育も推進している。日本でいえば、資格講座受講のバックアップや、国家資格受験のサポートというイメージだ。

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女性だけでなく、多くの人が働きやすい社会へ

日本とドイツの企業体質の大きな違いは、従業員がどれだけ経営陣にモノを言えるかだと思う。ドイツでは労働組合の力が大きく、労働条件は給料や労働時間など、積極的に交渉するが、日本にはその土壌がない。だから、いざ「女性が働きやすい環境を」と言っても、女性になにを求められているのかがわからないことも多いかもしれない。

まずはその現状を打開するために、社内アンケートや外部の人材を使って、現状の需要と供給、たとえば育児休暇に期待することと現在の制度がそれを満たせているかを把握する必要があるんじゃないだろうか。

だが、需要を知ったところで、それに対する対策を供給できないのでは意味がない。日本企業は働き方の柔軟性が低いことが多いため、需要を把握したら、それに合わせた柔軟な供給をしていかなくてはいけない。

フレックスタイムやテレワークの導入は、わかりやすい一例だ。週20時間働く女性をふたり、ジョブシェアリングで管理職にするのも、経費はかかるが方法としてはアリだろう。

日本ではこういった動きを「女性優遇」だと思う人が一定数いるが、働き方の柔軟性が広がったり、人事査定の透明性が上がったりすることは、介護中の男性社員や通院が必要な社員などにとっても必要な改革だ。

多くの人がより公平なチャンスをつかみ、仕事を通じて自己実現できる社会にするために、これからはより一層、女性が管理職になれる環境づくりが進められていくだろう。

執筆者紹介

雨宮紫苑(フリーライター) ドイツ在住、1991年生まれのフリーライター。大学在学中にドイツ留学を経験し、大学卒業後、再びドイツに渡る。ブログ『雨宮の迷走ニュース』を運営しながら、東洋経済オンラインやハフィントンポストなどに寄稿。著書に『日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち』(新潮新書)がある。

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