HR Japan Summit 2018イベントレポート
オペレーション業務からHRBPへ 今後の社会で求められる人事像とは?
2018.09.05
2018年7月11-12日、日本を代表するCHRO・人事統括者が一同に会し、人事が直面する課題について議論する「HR Japan Summit 2018」がホテル椿山荘東京で開催された。
イベントでは、サトーホールディングス株式会社 執行役員 最高人財責任者の江上茂樹氏を議長に、日本を代表する人事リーダーたちが講演やパネルディスカッションを行った。今回はその中から、7月11日に行われたインタラクティブフォーラム「人事のプロとはー求められる人事の形」でのディスカッションの一部をご紹介する。
世界的な大企業である三井化学株式会社、MSD株式会社、AIGジャパン・ホールディングスの執行役員が、近年大きく変わりつつある「人事」の役割について、本質的な議論を交わした。
インタラクティブフォーラム「人事のプロとは-求められる人事の形」
安藤 嘉規氏
三井化学株式会社執行役員 人事部長
1986年入社。システム部、労働組合執行部を経て、1993年より三井化学の根幹を支える主要事業の原料調達に携わり、海外プロジェクトに参画。その後、5年間、市原工場にて人事ライン職を経験。2005年にシンガポールへ赴任し、現地プラント向け主原料調達に加え、新規事業の立ち上げを起案。帰国後、事業企画、秘書室(社長秘書)を経て、2013年に人事部へ異動、2015年から現職。
太田 直樹氏
MSD株式会社 取締役執行役員 人事部門統括 兼 人事部門長
1963年、東京都生まれ。慶応義塾大学経済学部を卒業後、三和銀行(現 三菱UFJ銀行)入行。在籍した十数年の間には2度の支店勤務の他に、ニューヨーク大学ビジネススクールへの派遣留学、為替ディーリング部門や秘書室、経営企画など多岐にわたる部署を経験した。2001年、GEへ転職し、はじめて人事のプロとしての業務を経験。コーポレート人事部門において組織開発マネジャー等を歴任。2006年にはアイエヌジー生命保険に転じ、常務取締役 人事・コーポレート企画担当役員に就任。そして2009年、万有製薬(当時。現 MSD)に入社、現在にいたる。
松尾 美香氏
AIGジャパン・ホールディングス 取締役執行役員 CHRO
米国タフツ大学卒業後、サンフランシスコ大学マクラレンビジネススクールにおいてMBAを取得。1987 年にシティバンク銀行東京支店に入社、日本におけるリテール部門立ち上げに携わる。その後JP モルガンチェースを経て、2002年には再建中の東京スター銀行の人事部長に転身。破綻した地方銀行の人事制度改革、報酬制度見直しなどを実行し、先進的な金融機関への変革に貢献した。ムーディーズのアジア太平洋地域人事担当責任者、東京スター銀行のリテールバンキング事業担当執行役を経て、2011 年 9 月より現職。
求められるのは「事業への貢献」と「アウトサイドインの視点」
まず、同フォーラムでは、江上議長から「最近の人事部門に求められていること、人事部門で昔と比べ変わってきていると感じるところ」という議題が投げかけられた。
この議題に対して、三井化学の安藤氏は、「いわゆるビジネスパートナー(HRBP)といった言葉に代表されるように、『事業にいかに貢献するか』という点が、人事部門においても重視されるようになってきている」と指摘。また、人事マネジメントの対象について、「(かつて重視されていた)本社、日本人、労働組合といった視点だけではなく『あらゆる人事施策をグループ・グローバルベースで考えなくてはいけない』事業環境に変わっている」と実感を語った。
MSDの太田氏は、人事の現状について「求められていることが、どんどん内側から外側に向かっている」と端的に表現した。太田氏は、かつては「社員情報を把握する」ことが人事の仕事として重視されていたが、その後は「ビジネスパートナー(HRBP)」「部門人事」といった言葉で表現されるように「ビジネスのことが分かる人事」が評価されるようになってきたと人事の仕事の潮流を紹介。
その上で、「昔は自社の社員のことをより多く知っているというのが人事部の強みのようなところがあったかもしれませんが、
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