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ビースタイル×あしたのチーム セミナーレポート


働き方改革に企業はどう対応すべき? 人材不足を解消し業績を伸ばす人事制度とは

2018.09.18

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働き方改革に採用氷河期……今、人事担当者がするべきことは何だろうか。働き方改革を唱える政府は、企業に「労働者に十分な休息を与えながら業績を上げる」ことを求めている。この一見相反する課題は、どうすればクリアできるのか。

2018年8月23日にビースタイルとあしたのチームが共同開催した「働き方改革関連法案への対策」と「人材不足の解消」に関する人事担当者向けセミナーより、中小企業がとるべき人材不足の対策方法を紹介する。

優秀人材を確保できる「ポートフォリオ採用」とは

株式会社ビースタイル代表取締役会長 三原邦彦氏によれば、最近では「ダイレクトリクルーティング」という手法が流行していると言う。これは、人材会社やサービスを介さずに、企業が直接求職者にアプローチする採用方法だ。

三原氏:
「企業の人事部自体が人材紹介会社のように動く会社が増えています。直接SNSなどで個人をスカウトして、直接面接し、採用にこぎつけているのです。今後の採用活動は、知名度やブランドを軸とした展開が求められるでしょう。採用費も年々増えており、福利厚生も徹底して取り組む企業も増えています」

企業の売り上げが伸びない理由を洗い出すと、うち70%が人材不足だ。営業社員を採用できず、十分な営業活動を維持できないケースも多い。人材不足に陥ると、優秀な人に業務が集中する。

三原氏:
「働き方改革により、無理な残業はできなくなります。残業代未払いにより数億の支払いが生じる企業もあり、株価に影響を及ぼした事例もありました。過剰な残業は、企業と社員の双方にとって不幸しかありません。まずは人材確保が課題でしょう」

そこで三原氏が提案するのが、「ポートフォリオ採用」の積極導入だ。ポートフォリオ採用とは、ポジションにおける経済効果に合わせて、報酬と採用投資コストを決める採用である。

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三原氏:
「1980年代の食品会社は、全ポジションに新卒社員を配置していました。しかし現在は、大手流通営業には優秀な社員、中堅流通営業は平均的な社員、地域のスーパーや小売店営業にはパートのラウンダーを配属しています。優秀な社員を競争の激しい取引先に配属することで、成功する確率は高くなり、大きな売り上げ利益を得られます。そのため優秀人材の採用投資コストは高く、報酬も高いのです」

営業以外でもポートフォリオ採用を行う企業が増えてきた。ひとつが人事の採用企画ポジションだ。大手企業は採用予算に1~2憶円を充てており、人事を優秀な社員に担当させるだけで1,000万~2,000万円のコストカットができる。

そのほかにも、ネット広告を多く出稿している企業であれば、ネットマーケティング企画や運用ポジション、商品力が販売に大きく影響する商品開発ポジションなどでも優秀人材は経済効果を発揮しやすく、ポートフォリオ採用が導入されている。

三原氏:
「総じて、一対多で仕事するポジションや、大きな予算を預かるポジションでは経済効果が高くなる傾向があります。ポートフォリオ採用を積極導入することで、これまで活用しきれなかった埋もれた優秀層を採用できます。アメリカでは労働者の25%がフリーランスとして働いていて、日本でもフリーランスが増えていますので、戦略採用で取り込むのもいいでしょう」

2025年までに労働人口は約300万人減少するが、唯一45~54歳の女性だけが増える。15年後には、労働人口のピークは45~74歳になる。事実上、74歳まで働く時代が訪れるのだ。こうした人口減少をふまえると、大手ほどのネームバリューがない中小企業こそ戦略採用を行うべきであり、なかでもシニア層や主婦層にアプローチすることが、人材不足解決の一手になると言えるだろう。

成果重視の評価で離職率が下がる

採用後は、離職率の低下を目指すことが重要となる。そのためには、短時間で成果を出すことを評価する仕組みづくりが有効だ。

三原氏:
「エクセルのマクロを習得している人であれば1時間でできることが、習得していない人だと7時間かかることがあります。時給制派遣の場合は後者が7倍のお金を得るわけですが、本来前者が多くの給与を受け取るべきですよね。成果で評価しないと、不当な待遇になるリスクがあります」

成果による評価は、特に若年社員のモチベーション向上に効果的だ。新卒社員が1~2年目で中途社員よりも成果を出した場合、中途社員と同じ給与を与えた方が退職率は下がる。しかし、成果で評価しなかった場合は、優秀な社員ほど不満を感じて退職してしまう可能性が高い。

三原氏:
「また、女性においては結婚・出産する方が増える27歳ころに『この会社で結婚・出産しても働き続けられるだろうか』と考えて転職するという“寿前転職”が増えています。これも成果で評価する評価制度を導入すれば、『時短でも成果を出せれば評価される』と感じるため防止できるのです」

従業員満足度ではなくエンゲージメントを高める

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株式会社あしたのチーム取締役副社長COO 渡邉健太氏は、「人事評価制度の導入はコストではなく投資だ」と述べる。なぜなら、人事評価制度を通じて労働生産性が向上し、業績アップや優秀人材の獲得、採用コストの削減などにつながるからである。

たとえ高い能力を持っていても、それが顕在化されなければ意味がない。集団型管理・職能給の時代は勤務年数や労働時間などの時間軸で判断されていたが、バブル崩壊後は通用しなくなった。企業が不況時代を生き抜くためには、リアルタイムの成果による人事評価制度が必要なのだ。

渡邊氏:
「ESと呼ばれる従業員満足度を確認する企業もありますが、離職率の低下には寄与しても業績アップには影響しません。そこで注目していただきたいのがエンゲージメントです」

エンゲージメントとは、自発的に自分の力を発揮しようとする貢献意欲のことだ。エンゲージメントは企業の方向性に対する理解、帰属意識、行動意欲の3要素で構成される。エンゲージメントが高い社員は会社での仕事を楽しんでいるので、離職の可能性も低い。

従業員や組織のエンゲージメントを可視化するための12の質問がある。

1、職場で自分が何を期待されているのか知っている
2、仕事をうまく行うために必要な材料や道具を与えられている
3、職場でもっとも得意なことをする機会を毎日与えられている
4、この7日間のうちに、よい仕事をしたと認められたり、褒められたりした
5、上司または職場の誰かが、自分を一人の人間として気にかけてくれている
6、職場の誰かが自分の成長を促してくれる
7、職場で自分の意見が尊重されているようだ
8、会社の使命や目的が、自分の仕事は重要だと感じさせてくれる
9、職場の同僚が真剣に質の高い仕事をしようとしている
10、職場の親友がいる
11、この半年のうちに、職場の誰かが自分の進歩について話してくれた
12、この1年のうちに、仕事について学び、成長する機会があった

これらの質問に5段階評価で回答し、平均値が3.8を超えれば、その組織はエンゲージメントが高いと言える。3.2を下回ると危険信号だ。(平均は3.6である)

年々深刻化する人手不足解消のカギは、多様な人材を採用するポートフォリオ採用だ。その上で離職率を下げ業績を上げる成果重視型の人事評価制度を導入すれば、より強い組織づくりができる。社員のエンゲージメントも確認し、メンタルケアも欠かさず行うのが理想的と言えるだろう。

【編集部より】
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執筆者紹介

萩原かおり(はぎわら・かおり) フリーランスのライター・編集者。美容と心理が専門で、婚活パーティーの取材人数は200人を超える。三度の飯と執筆が同じくらい好き。求人・化粧品・社史制作を経て独立。現在は執筆業を中心に、取材記事から広告・LP・メルマガ作成まで幅広く活動中。休日はエステとジムに通い詰める美容オタク。 https://note.mu/hagitaro1010

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