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「ワーク・ルールズ!」トークセッション


成長フェーズで変化する採用方法~日本版「ワーク・ルールズ」を探る

2016.01.14

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2015年12月1日に開催された『ワーク・ルールズ!』(東洋経済新報社)を題材にしたトークセッション「~ワークスタイル変革で始まる【クリエイティブな働き方】~」のレポート後編。企業が競争を勝ち抜き、持続的成長を得るための「採用の仕方」について各社が議論を交わした。トークセッションには、角川素久氏(Sansan株式会社CWO[Chief Workstyle Officer]/人事部長)、佐々木大輔氏(freee株式会社代表取締役)、田中弦氏(Fringe81株式会社代表取締役)、池見幸浩氏(株式会社grooves代表取締役)が登壇し、モデレーターを東洋経済オンライン編集長の山田俊浩氏が務めた。(レポート前編はこちら)

コストをかけ面接官へのフィードバックを実施

セッションの前半は、リモートワークやサテライトオフィスなど各社が事例を紹介しながらクリエイティブを生み出すための働き方について議論。後半は、クリエイティブ人材を獲得するために各社が実施している採用手法や採用に対する考え方が披露され、集まった人事担当者や人材業界関係者約300名以上が耳を傾けた。

現在150人ほどの社員が在籍し、向こう1年間で100人の採用を目指すというfreeeの佐々木氏は、面接官の育成がカギを握ると考える。

「面接官としてのスキルが高い人が面接をすれば、候補者の隠れた才能に気づきやすいし、自分より優秀な人を恐れずに採用できるということがあります。スキルが低い人が面接をすると、自分より優秀だという雰囲気を出している人を対抗意識から採用しなかったり、候補者の良いところに気がつけなかったりということが起こりがちです。もっと高い目線から面接しなければいけないということをトレーニングで改善していく。たぶんコストが最もかかるが、力を注いだ分最も成果は出る」

freeeでは、面接官としてトレーニング中の人が出したフィードバックに対して、ベテランの面接官がフィードバックをする。採用基準や重視する点などがフィードバックを繰り返しているうちに「目線が合ってくる」(佐々木氏)ことで、最近は、創業して5番目に採用したような会社の中心メンバーとなる人材を多数獲得することに成功しているという。

広告技術を中心とした事業開発を行っているFringe81も、ミッションや文化に共感できるかを重視する。

「僕たちは、広告をやりたいというだけの人は採りません。もちろん、一番伸びている仕事ではありますが、広告だけをやりたいなら他にも会社はたくさんある。それよりも僕たちのビジョンや文化を見てほしい」

それを実践する方法の1つとして、田中氏は最終面接で採用候補者と対峙する際、自身が書いているブログに対して「どの記事がどうササったのか」という話のみをして、採用するかどうかを判断するという。

一方で田中氏は採用後のマネジメントついても言及する。ミッションや文化に共感するという「人間性」を重要視して採用するのであれば、「社員の不幸にどう付き合うか」など、マネジメントも当然考える必要がある。

「(会社が成長し、)社員が100人や200人を超えて増えてくると、社員が自分(役員)のあずかり知らぬところで、たとえばプライベートでトラブルに巻き込まれたりしていることがある。それにどこまで付き合うかという話を役員としました。私たちはできる範囲で、全部付き合おうという結論になりました」

離職率が高いと言われるベンチャー企業においては、採用ばかりに力が注がれるが、持続的成長を目指す上ではマネジメント(社員との付き合い方)にも注意を払わなければいけないだろう。

「ワーク・ルールズ!」が教えてくれるもの

Sansanの角川氏は、採用候補者が人生の岐路に立ったときにどういう意思決定をしてきたかを深掘りしてよく聞くようにしているという。その理由はこうだ。

「面接はその人の価値観やこれからのビジョンが会社と刷り合うかどうかを見極めるための『お見合いの場』。深いところで刷り合わないとなると、入社しても辞めることにつながってしまう」

具体的には就職や転職、結婚など人生のターニングポイントでその人が下した意思決定が、ある程度一貫した価値観のもとに行われており、それはどのような価値観なのかを浮き彫りすることで、会社が求めているような(価値観を持った)人材であるかどうかを見ていくという。

groovesの池見氏は採用の仕方について、企業の成長フェーズに応じて違ってくるものとしながら、ある程度のパターンがあるという見解を示した。

「100人から500人になる段階の採用の仕方と、5万人までに拡大するときの採用の仕方は違う。横浜国立大学の服部泰宏先生が進めている「採用学」の研究で、このような報告がありました。人間による面談を4回やって採用したAさんと、適性テストを4回やって採用したBさん、3年後のパフォーマンスはどちらが良かったかを検証した研究なのですが、実はBさんのほうが良かったいう話です。ミッションやビジョンを軸にして人間の基準で採用していくのと、Googleのように質問内容や採用設計をしっかり定量化して、分析していくことでより良い人を採用して、自分たちのワークスタイルや文化にフィットさせていくやり方の、2パターンあるのかなと思います」

採用の仕方は各社それぞれ違うが、共通しているのは、自社の企業文化、ミッションに共感し、マッチングするかどうかを重視して採用している点だ。その点がぶれずに採用を続けていることで、競争を勝ち抜き、持続的成長を遂げている。

その意味において、人事担当者が気をつけなければいけないのは、「競争を勝ち抜き、持続的成長を遂げる」ための文化やミッションを作り上げていかなければいけないということだろう。そうでなければ、採用が何も生み出さないただの「答え合わせ」となりかねない。

トークセッションの題材となった『ワーク・ルールズ!』はGoogle独自の採用や評価、教育、コミュニケーション手法などを詳しく紹介しているが、それらはあらゆる業種、規模の企業でもとりいれられる普遍性を持っている。自社にピッタリ合う人事制度や「正解」そのものが書かれているわけではないが、Googleの成功を支えている制度がどのような背景のもとで作られ、失敗し、改善していったのかという道筋は制度設計や組織作りのヒントになりうる。制度や組織作りを考えていくことは、企業文化やミッションを見直すきっかけにもなるのではないだろうか。

※トークセッション全編ならびに参加者からの質疑応答の様子を、「@人事デジタルライブラリー」で公開中です。

この記事は株式会社grooves、株式会社東洋経済新報社より提供された情報および写真をもとに構成しています。

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