人事に薦める一冊

佐々木俊尚氏オススメの一冊『物欲なき世界』

2016.01.27

今回紹介する本

物欲なき世界: 単行本、Kindle版
2015/11/4発売
1210円（Kindle版）

近年、消費者の行動が大きく変わってきていると言われています。「若者の○○離れ」といった言葉もよく語られています。これはいったい何を意味していて、その先のどのような社会がやってくるのでしょうか？　この本は、豊富なインタビュー取材や事例をもとにして、その未来のビジョンをたいへんわかりやすく描いている本です。

「企業と人の関係」という採用の世界も、この流れに無縁ではありません。わたしたちはどのようにして企業とつながり、社会と関係していくのか？　ニューヨークやロンドン、東京などの先進都市の若者たちは、ファッションに興味をなくし、家電も買わなくなりました。これを本書は「物欲レス」と呼びます。

しかしいっぽうで彼らは、仲間や家族、恋人とのあいだの食事の時間を大切にし、コミュニティを大事にし、モノを買うのではなく共有する「シェア」の感覚を持っています。

消費は落ち込み、今までの資本主義経済は成り立ちにくくなっていきますが、その先に新しい経済のモデルや新しい人間関係、そして新しい価値観が生まれてくるでしょう。このようなビジョンを、これから多くの人のあいだで共有していくことがとても重要だと感じます。

執筆者紹介

佐々木俊尚（ささき・としなお）(（作家・ジャーナリスト）) 1961年生まれ。早稲田大学政経学部中退後、毎日新聞記者、パソコン雑誌編集者を経て独立し、フリージャーナリストに。テクノロジーの進化による社会の変遷を主なテーマとしている。『21世紀の自由論優しいリアリズムの時代に』（NHK出版新書）など著者多数。総務省情報通信白書編集委員。