コラム

残業ゼロを目指して


遅刻癖がある人は要チェック! 「10分」のタスク管理が毎日を変える

2018.08.04

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残業ゼロを実現するためのビジネスハック術を紹介する、作家・佐々木正悟氏の連載企画。今回は、リストアップによるタスク管理術について解説します。

目次
  1. 10分間を「その程度」と思ってしまうのは危険
  2. 帰宅2時間前の仕事だけでもリストアップして時間を見積もる
  3. 「総和」ではなく「平均値」で考えてしまう
  4. 「総和」を考えるために、小さなタスクを記録する

10分間を「その程度」と思ってしまうのは危険

私は、朝起きてから夜寝るまで、10分かかることは全てリストアップしているのですが、これを他の方に言うとよく驚かれます。

「10分くらいのものであれば、わざわざリストにしなくてもいいのでは?」と言われることもよくあります。しかし、この10分という時間を「その程度」と思ってしまうことは、実は危険なのです

あなたが朝の7時に起きなければ、どうしても会社には間に合わないとします。それでもいざベッドで6時50分を迎えると「あと10分寝れる」と思うことはないでしょうか?

逆に、目覚めた時間が7時10分であれば、飛び跳ねるように起きて、会社へと向かう準備をするはずです。これが「10分程度」が引き起こす影響です。

上で示したのは極端な例ですが、14時ちょうどに飛び立ってしまう飛行機に乗る予定だとして、13時50分(+10分)に空港に着くのと、13時30分(-10分)に空港に着くのとでは、相当にその後の行動が変わってくる、というのも理解いただけるかと思います。

タスク管理においても、同じことが言えます。ある10分かかるタスクを行うこと (+10分)と、そのタスクを行わないことにする(-10分)のとでは、場面によってはかなり重要なインパクトを与えるものなのです。

帰宅2時間前の仕事だけでもリストアップして時間を見積もる

たとえば、あなたが遅くとも19時には仕事を切り上げて帰宅したい場合、17時から19時までの2時間で「絶対やらなければならない仕事リスト」を作ることをオススメします。おそらくこれだけでも、残業や残業時間が減ると思います。

もしかすると、

・タスクAを終わらせる(60)
・タスクBを進める(50)
・日報メールの作成 (10)

といった3つだけのリストになるかもしれませんが、それでいいのです。

たったこれだけのリストでも、10分余計なことをすれば帰宅は19時10分以降になるし、10分早く終わらせられれば、18時50分には帰宅できることが分かります。

その差異は小さなものと感じられるかもしれませんが、2時間のタスク予定に、20分の作業時間の違いが生まれれば、8時間の業務の間には、実に80分もの違いが生まれてしまうのです。

「総和」ではなく「平均値」で考えてしまう

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心理学者でノーベル経済学賞受賞者のカーネマンは、著作『ダニエル・カーネマン 心理と経済を語る』の中で、私たちが「平均値」を求めることを好む一方で、「総和」を求めることを嫌う性質を持っていることを指摘しています。

著書で紹介されている実験のうち、興味深いものを一つご紹介しましょう。

食器類Aセットは24点(枚)の食器があり、食器は全て良好な状態です。食器類Bセットは40点(枚)の食器があり、そのうち9点は破損しています。

実験では、この2つの食器セットについて、それぞれ個別に価格設定をさせました。実験の結果、大多数が「Aセットの方が価値が高い」と判断しました。

Bセットで破損している食器は9枚だけですから、良好な状態の食器はAセットの24枚よりも多い31枚です。それでも、多くの人は「Bセットの方がAセットよりも価値が低い」と判断したのです。

これは、Bセット内にある壊れた皿を見て、多くの人がBセットの価値の平均値を必要以上に下げたことを示しています。皿1枚1枚の価値を「総和」で考えれば、AセットよりBセットの方が価値が高いことが分かりますが、多くの人は、「総和」ではなく「平均値」でものを考えてしまうのです

「総和」を考えるために、小さなタスクを記録する

毎日のタスクについて話を戻しましょう。

「10分のタスク」は、少ないながらも確実に「一日のタスクの総和」に影響を与えているのですが、人は、そうしたことについて深く考えるのが苦手です。ある一つのタスクが「予想よりも早く終わった」ことはよく覚えているのですが、「小さな10分のタスク」については驚くほど無頓着なのです。

「10分レベルのタスクでもリストアップしましょう」という提案は、はじめはかなり奇異に感じられるかと思います。それでもやはり、「タスクにかかる時間の総和」を正しく認識するためには、細かいタスクを無視するわけにはいかないのです。

そうしなければ、私たちはいつまでも、10分の価値を低く見積もり、大慌てで駆け込み乗車をしてしまう生活を続けることになります。

毎日のタスクを「平均値」でなんとなく捉えるのでなく、10分単位のタスクも記録し「総和」を考える。こうすることによって、自分が毎日の生活にかけている時間が正しく理解でき、規則正しい生活を送ることができるようになります。

執筆者紹介

佐々木正悟(ささき・しょうご) 心理学ジャーナリスト。「ハック」ブームの仕掛け人の一人。1973年北海道生まれ。「効率化」と「心理学」を掛け合わせた「ライフハック心理学」を探求。執筆や講演を行う。著書に、ベストセラーとなったハックシリーズ『スピードハックス』『チームハックス』(日本実業出版社)のほか『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』(中経出版)『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』(ソーテック)などがある。ブログ:佐々木正悟のメンタルハック

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