福利厚生の新しいカタチ
ネクスウェイに学ぶ“心も体も健やかになる職場”のつくりかた
2018.07.27
職場のコミュニケーション不足は、業績に影響するものだ。従業員同士がお互いの業務内容やスキル、性格を知り、スムーズに連携がとれている組織は、生み出す成果物の質も高い。従業員の働きやすさという観点で見ても、採用ブランディングで大きな魅力になるだろう。
しかし、職種や年齢の壁、職場環境など物理的な距離があるなかで、従業員同士が積極的にコミュニケーションをとる機会をどのように生み出せるか……そんな悩みを抱える企業は少なくない。
FAXの一斉同報サービスなどを手掛ける株式会社ネクスウェイ(東京・港区)は従業員252人(2018年4月1日現在)のうち、約100人の業務委託スタッフが在籍。所属や雇用形態の垣根を越えてコミュニケーションの活性化に成功している。同社の取り組みについて取材した。
【2018年7月6日取材:@人事編集部、文:中島香菜、撮影:加藤武】
企業情報
株式会社ネクスウェイ
「FOR MOVIN’ 想いを情報でつなぎ、躍動する社会をつくる」という理念を掲げ、営業やマーケティングなどのコミュニケーション支援を中心に、さまざまな情報通信サービスを開発・提供する。原稿と宛先だけ用意すれば、FAXと郵送、メールを同時に送信できる『NEXLINK』をはじめ、業務効率化およびクオリティー向上を実現する多彩なソリューションを持つ。
・本社所在地:〒105-0001 東京都港区虎ノ門4-3-13 ヒューリック神谷町ビル
・設立:2004年10月1日(株式会社リクルートから分社独立)
・従業員数:252名 うち正社員:152名(男:95名、女:57名)※2018年4月1日現在
・HP:http://www.nexway.co.jp
気軽にコミュニケーションがとれるスペース「桜テラス」を新たに設置。従業員の足が向くよう、イベントの開催やスムージー販売を開始
ネクスウェイは今、大きな転換期にある。2004年に株式会社リクルートから独立し、15年という節目を迎えるにあたり、2017年には理念、ビジョンなどを一新。会社のブランディングに本腰を入れて取り組み始めた。これまで社内で当たり前にやっていたことをすべて見直し、不要な慣例は廃止。新たな取り組みも数多くスタートさせた。そのチャレンジの1つが、社内のコミュニケーション活性化だ。
ネクスウェイには現在、約150人の社員と、エンジニア職を中心に約100人の業務委託スタッフが在籍する。同社のサービスを形にするという重要な役割を担っているのが、この業務委託スタッフだ。そのため、より良いサービスを展開し、会社を発展させるためには、社員と業務委託スタッフという枠を越えた連携が欠かせない。採用や広報など幅広い業務を担当する社長室の中川真利奈さん【右写真】は、次のように語る。
「業務委託スタッフのみなさんと私たち従業員とが交流を深める必要性は、以前から感じていました。実際に、飲み会の費用を会社が負担するなどして、コミュニケーションを促す取り組みも行ってきました。ただ、ご家庭の事情などもあって、飲み会には参加できない方もいます。そこで、業務終了後ではなく、日中にコミュニケーションの機会を増やせないかと考えたんです。そうしてできたのが、『桜テラス』でした」
勤務中に気軽に雑談をしながらコミュニケーションをとれるスペースとして設置された桜テラスは、飲食や簡単な打ち合わせができるよう設備も整えられた。
しかし、場所を用意するだけでは、期待したような結果は生まれない。次に課題となったのが、桜テラスを従業員が集まり交流する場所にすることだ。この課題を解決するため、中川さんはさまざまな取り組みをスタートさせる。
例えば毎週水曜日の朝は、市場直送のカットフルーツを無料で振る舞っている。集まった従業員がテーブルを囲み、会話を楽しみながら新鮮なフルーツを食べるというこのイベントは、毎回多くの従業員が集う定番のイベントになった。
また、従業員から「健康的に小腹を満たせるものがほしい」という声が上がると2018年春から、1本50円で買えるスムージーを常設した(50円という買いやすい環境を整える為、福利厚生費として会社が一部負担)。
スムージー設置後、朝食やおやつとして1日に30本以上が購入されるほど人気を集めており、購入後に桜テラスでスムージーを飲みながら談笑する従業員の姿が日常的に見られるようになった。
スムージーが部署や年齢を越えたコミュニケーションを生み出す。「従業員の健康意識を高めるきっかけにもなってくれた」
こうしたさまざまな取り組みが功を奏し、桜テラスの利用度はどんどん上がっていったという。中でも意外な結果をもたらしたのが、スムージーの設置だった。
「スムージーの想定利用者は、朝食を食べる習慣がない若手社員や、育児に追われるママさんでした。デザインもスタイリッシュですし、これなら手を伸ばしやすいのではないかなと。しかし蓋を開けてみると、意外と中年男性の利用が多くて驚きましたね。職種で言うと、基本的に一日中社内で過ごすエンジニアの方です。これはうれしい誤算でした。それまで、この年代の男性スタッフは、休憩スペースの利用頻度が低かったんです」(中川さん)
スムージーの設置以前、桜テラスにはお菓子やお酒などの飲食物が設置してあり、利用している従業員も一定数いた。しかし、お菓子はおやつとして、お酒はアルコールが得意な人や、当日飲める条件にある人だけに利用される可能性が高いことが懸念された。利用シーンや利用者が限定的であったため、他部署や多職種の人が集い、交流を生み出すまでには至らなかった。
一方で、スムージーは、おやつ・軽食として利用され、また時間帯を問わず購入された。
当初、利用を想定していた層にも好評だったため、結果的に幅広い年代の従業員の足を休憩スペースに向けることができた。
実際に、スムージーに関する従業員へのアンケートから、「休憩室に行きやすくなった」という肯定的な意見が数多く寄せられた。さらに、アンケートの実施を重ねるにつれ、「休憩スペースでスムージーを飲むことがコミュニケーションのきっかけになった」という意見も聞かれるようになった。
【アンケートの一部をページ下の「『KIRIN naturals』を利用するネクスウェイ従業員の声」で紹介しています】
中川さんも、普段はあまり話をしない他部署の従業員同士が、スムージーを片手にコミュニケーションをとっている様子を何度も見かけるようになり、次第に手ごたえを感じるようになったという。
「ふと休憩スペースを覗くと、部署も年代も違う者同士が楽しそうに会話していて。『お二人って仲良かったんでしたっけ?』と聞くと、『毎日ここで朝食をとるスムージー仲間なんです』という返事をもらったこともありました。この取り組みは、大成功だったと思います」
この他にも、桜テラスの有効活用として、スムージーの販売会社の協力のもと、プロのジムトレーナーを講師に招いてストレッチ指導などを行う健康セミナーを開催するようにしたところ、多くの従業員から支持を得た。セミナー後は従業員の健康意識が高まり、スムージーを買い求める人数や回数が増え、交流の輪がさらに広がっている。
中川さんも、コミュニケーションの活性化に加え、従業員の健康意識が高まっていることを「嬉しい誤算」と好意的に捉えている。健康になりたいという思いは誰しももっているものだが、なかなか行動に移すのは難しい。そんなとき、手軽にスムージーを買える環境があることで、最初の一歩を踏み出すための後押しになっていると見ている。
「従業員の健康を気遣ってはいても、なかなか会社から直接働きかけるのは難しいものです。『健康を意識しろ』と命令するのはやりすぎだと思いますし、それでは従業員に響かないでしょう。そういう意味で、スムージーを買える状況をつくってあげるのは、塩梅がいいなと感じています。スムージーを媒介することで、会社の想いをソフトに伝えられていますね」
心を休められる憩いの場となるスペースをつくり、そこに人が集まりやすい仕掛けをする……ネクスウェイが社内コミュニケーションを活性化できたのには、こんな理由があった。
【写真】スポーツジムのインストラクター(写真手前左)を講師に招いて行われた健康セミナー(写真提供:株式会社ネクスウェイ)
健康経営の一環として注目されるスムージーデリバリー。従業員満足度の向上や企業ブランディングにも一役買うサービス
ネクスウェイで利用されているスムージーは、キリンビバレッジ株式会社が2017年10月から販売を開始した企業向けの「KIRIN naturals」というサービスだ。
サービスがつくられた背景には、「働き方改革」も「生産性向上」も健康なくしては成り立たないため、従業員の健康管理に目を配る人事・総務担当者、そして経営者の意識の高まりがある。
最近話題になっている、“健康経営”という考え方も浸透してきている。従業員の健康管理を経営課題と考え、会社が積極的にサポートしていくというものだ。
ひとつ、気になるデータがある。朝食の欠食率の高さだ。おもに20〜30代に顕著で、20代の女性では23.1%、男性では37.4%が朝食をとっていないという※。「KIRIN naturals」を導入する企業の担当者もこの点を考慮し、短時間で手軽に摂取できるスムージーを選んでいる。
また、従業員も「KIRIN naturals」のサービスを通じて、健康意識が高まっているという側面がある。直接スムージーを飲むことだけでなく、スムージーデリバリーのサービスと一緒に提供されている健康セミナーの存在が大きい。
キリンビバレッジが、同サービスを通して目指すのは“健康習慣の定着”だ。サービス開発の際、利用者が自身の健康に意識を向けるきっかけを提供することもコンセプトの1つに据えた。スムージーが手軽に買えること、健康への気づきを得られるセミナーがあること……この2つのアプローチにより、健康習慣が根づくきっかけを提供する。これが、健康経営を目指す企業から好評を得ている理由にもなっている。
企業側のメリットはそれだけにとどまらないと考えられる。福利厚生を充実させることで、従業員満足度の向上も期待できるだろう。さらには、自社を“魅力的な企業”としてブランディングすることにもつながる。実際、取材をしたネクスウェイでも新卒採用の説明会や社内イベントでスムージーを活用し、実績をあげている。
会社でスムージーを買えるようにする。そんなシンプルなサービスでありながら、現代の働く人たちと企業、双方のニーズをうまく組んだソリューションだ。
※「平成28年国民健康・栄養調査結果」(厚生労働省)より
従業員一人ひとりが健康的に働く環境が活力ある社会を生み出す
職場のコミュニケーション活性化と、従業員の健康管理。どちらも企業にとって重要な課題だ。ネクスウェイは、スムージーのデリバリーサービスを活用しながら、課題解決に取り組み、成果を上げている。
こうした、従業員一人ひとりが心も体も健やかでいられる環境づくりは企業の成長を支え、日本社会に活力を与えることにもつながる。人事・総務担当者への期待と役割は大きいが、さまざまなソリューションサービスの存在が手助けとなるだろう。
「KIRIN naturals」を利用するネクスウェイ従業員の声
緑のスムージーは青汁の印象かと思いきや美味しくよく飲んでいます。
最近カロリー制限(ダイエット中)をしていて、水とブラックコーヒーしか
飲んでないんだけど
その1つにスムージーを取り入れ、飲むもののレパートリーが増えた!
(30代・営業職・男性)
青物! 人参! という濃い色なので、
ドロっとしていて野菜の味が強いかと思っていましたが、
サラッとした喉越しでフルーツの爽やかな味が野菜のほんのりした甘さと
調和していてサッパリ飲める美味しさでした。
お菓子等の砂糖が多いものを控えたいし、
野菜不足を解消したいので、
多種類の野菜・果物を原料にしたスムージーは、小腹が空いたり、
ちょっとだけ甘いものが欲しいときに罪悪感なしにいただけます。
サラッとしているのに割と満足します。
特に残業のときのお供にしています。
(40代・スタッフ職・女性)
元々意識はあったものの、スムージーを飲むことで、
健康について意識しやすくなった気がする。
(20代・企画職・男性)
朝一や午後一などに買うことが多く、リフレッシュになる。
野菜や果物を手軽に取れるものは目についたら手に取るようにしている。
スムージーもそのうちのひとつ。
(20代・エンジニア職・女性)
さっぱり、さわやかな味で、ツルッと飲めるのでよく飲んでいます。
「最近食べ過ぎたな…でも甘いもの食べたい・飲みたいな」
というときにスムージーを手に取ります。
スムージーは身体によさそう、というイメージがあるので
飲むと健康的な食生活に近づけると思っています。
(20代・企画職・女性)
従業員の健康習慣を支援する「KIRIN naturals」(キリンビバレッジ株式会社)
手軽に、便利に、美味しい、健康のパートナー
「KIRIN naturals」は、月額36,000円~の負担で健康的なスムージーがいつでも利用できる福利厚生サービスです。従業員の健康習慣の意識付けに役立つだけでなく、健康情報の提供や健康セミナーなども受けられるため、働き方改革や健康経営を目指す企業が導入しています。
詳細はこちら→https://at-jinji.jp/service/249/289
※記載している情報は取材時点のものです
【企画・構成:@人事編集部広告制作部】
執筆者紹介
中島香菜(なかじま・かな) 神奈川県出身、東京都在住。インタビュー・取材に基づいた記事作成をメインに活動。得意分野は医療や美容、ビジネスだが、ジャンルを限定せず幅広く対応する。モットーは、インタビュイーの考えや想いをわかりやすく伝えることはもちろん、人柄やその場の雰囲気までにじむ記事をつくること。
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