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特集

DeNA川崎ブレイブサンダース代表取締役・元沢伸夫氏インタビュー(前編)


DeNA川崎ブレイブサンダース・元沢伸夫社長が語る、創業期の人材採用

2018.07.30

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2017年12月6日、プロバスケットボールリーグ「Bリーグ」理事会において、68年の歴史を持つ名門・川崎ブレイブサンダースのオーナーが、株式会社東芝から株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)に変更されることが承認された。

「横浜DeNAベイスターズ」の観客動員数を6期で1.8倍にしたDeNAが、バスケットボールチームの経営に乗り出すというニュースは、バスケットボール界、スポーツビジネス界でも大きな注目を集めている。

2018-19シーズンから川崎ブレイブサンダースのオーナーとなる「DeNA川崎ブレイブサンダース」の代表取締役社長・元沢伸夫氏は、DeNAの「HR本部」出身という、スポーツビジネスの経営者としては、異色の経歴を持っている。

今回は、そんな元沢伸夫氏にインタビューを行い、HR本部で大規模採用を成功に導いた施策や、横浜DeNAベイスターズ時代に培ったチームマネジメントの秘訣、DeNA川崎ブレイブサンダースが目指すものについてお聞きした。普段あまり触れることのできない、スポーツビジネスの現場の様子や、仕事の魅力についても語られている。

DeNA川崎ブレイブサンダース代表取締役社長の元沢伸夫氏①DeNA川崎ブレイブサンダース 代表取締役社長 元沢伸夫氏

1976年11月26日生まれ。 経営コンサルティング会社に勤務後、2006年株式会社ディー・エヌ・エーに入社。 社長室にて新規事業の立上げなどに従事。 HR本部人事部キャリア採用マネージャーなどを経て、2014年から横浜DeNAベイスターズへ出向。 同社執行役員事業本部本部長などを歴任後、2018年1月から現職。

目次
  1. 経験ゼロからHR、スポーツビジネス分野に挑んできた異色の経歴
  2. 立ち上げ期の採用では、「明るい未来」のビジョンやポテンシャルを共有

経験ゼロからHR、スポーツビジネス分野に挑んできた異色の経歴

─HR本部では、「キャリア採用マネージャー」という中心的な役職に就かれていますが、それまで、人事関係のお仕事をされたことはありましたか?

全くなかったです。人事というコーポレートの仕事もやったことがないという状態で、完全にゼロからの挑戦でした。

中途採用チームがない状態から、優秀な即戦力人材の大量採用を行うことに

─HR本部で、はじめに担当したお仕事について教えてください。

「キャリア採用グループ」という中途採用チームの立ち上げです。実は、私がHR本部に異動した2010年当時は、そもそもDeNAには中途採用のためのチームがありませんでした。

それまでは、ある人事の方がほぼ一人で中途採用を担っていて、ソーシャルゲームのヒットによって、DeNAに短期間で大量の人材を採用しなければならない状況が生まれ、私が中途採用チームを立ち上げることになりました。

─現在のDeNAは制度や部署が非常に整っている印象なのですが、2010年当時は、まだベンチャーの雰囲気を残していたんですね。

そうですね。もともと新卒採用は、DeNAが本当に小さい時から南場さん(DeNA創業者・南場智子現会長)を筆頭に力を入れていたので、新卒採用のチームは大所帯であったのですが、中途採用については、まだ整備されていませんでした。

─チームすらない状態から、大量の人材を中途採用する。非常に難しいミッションですね。

南場さんからも「頭数を揃えれば良いという話ではない。DeNAにとって最高な人を集めなさい」と言われていたので、プレッシャーもありましたね。

私はそもそも人事をやったことがなかったので、はじめは採用の一般的なやり方や仕組みを先輩方に教えていただいたうえで、戦略を立てて、何から着手していくかを考えていきました。他社での中途採用の経験があるメンバーにも「キャリア採用グループ」に合流してもらって、中途採用チームは、はじめは5人でスタートしました。

─チームが採用のために行った具体的な取り組みについて、詳しく教えてください。

まずは、たくさんある人材紹介会社の中から、2、3社の担当者の方とほぼ毎日会って、採用状況と「次にどうするか」のコミュニケーションを取り続けました

その頃は人事部門に入りたてということもあり、ほとんど営業職のような形で、毎日、人材紹介会社の方とお会いして、目標人数の採用に向けて動いていました。

かなりの人数を採用させていただいたので、結果的に、DeNAを担当してくれていたその人材紹介会社の方は、社長賞を受賞されたそうです。

─単純に人材紹介会社を人事として利用するというより、むしろ営業職寄りの考え方で、人材紹介会社の方とコンビで「採用人数」という目標を達成された。

そうですね。私なら「人間関係を作って業績を上げる」という、営業的なアクションを起こすだろうという前提で、HR本部にアサインをしたんだろうなと思います。

独自の「優秀な人リスト」を作成し、アプローチをかける

─当時は「DeNAにとって最高の人材を採用する」という至上命題があったかと思いますが、この部分については、どのように工夫して採用を行いましたか?

まずは「優秀な人リスト」を作りました。例えば、私が信頼している大学の友だちで、ビジネスで活躍している人に「今まで5年くらい仕事をした中で、『この人は特に仕事ができた』という人を教えてくれ」と聞いたり、あらゆるメディアの情報に目を通して、誰がどう活躍しているのかをチェックしたりしました。この作業は大変でしたが面白かったですね。

─作成された「優秀な人リスト」は、どのように活用されたのでしょうか。

DeNA川崎ブレイブサンダース代表取締役社長の元沢伸夫氏②リストに挙がった方々に、チーム全員でさまざまなルートで接点を作って、どんどん会っていきました。接触できなかった方々もたくさんいますし、この方法で接触した方の中には、今のDeNAで中枢を担っている方もいます。

通常の人材紹介会社を使った活動と、自分たちで作った「優秀な人リスト」を活用するようなクローズドな動きを並行して行っていました。加えて、制度はあったもののほとんど活用されていなかった「社員紹介制度」も見直しました。

制度の見直しとマインドセットの共有で、リファラル採用を成功させる

─当時に実施されていた「社員紹介制度」というのは、社員が知人・友人を紹介し、入社につなげる「リファラル採用」に近い制度ということでよろしいでしょうか?

そうですね。当時は社内にこの「社員紹介制度」があること自体、社員にあまり知られておらず、制度の意味合いも理解されていないという状況でした。そこでまず、社員の紹介で入社が決定した際のインセンティブを強化し、その上で、社員への「DeNAにとって最高の人材を紹介してください」というコミュニケーションを増やしました。

同時に、「社員紹介制度の活用が、ものすごく会社のためになるんだ」というマインドセットを社員に持ってもらうことに力を入れました。「DeNAにはこれだけ優秀な人が必要で、そうした方々がいれば、事業がもっとスケールしていくんだ」という意義の部分を強調したんですね。結果として、このときの大量採用のうち、2割程度が「社員紹介制度」で採用されています。

立ち上げ期の採用では、「明るい未来」のビジョンやポテンシャルを共有

─現在、再びDeNA川崎ブレイブサンダースの代表として「チームの立ち上げ」と「人材採用」に関わっていらっしゃるかと思うのですが、立ち上げ時に集まっているメンバーはどんな方々なのでしょうか。

DeNA川崎ブレイブサンダースの社員は、3割が横浜DeNAベイスターズからの参加、3~4割は外部からの採用です。そして2~3割が東芝さんでバスケットボールに関わっておられた方々という構成ですね。

─創業期は、明確に示せる実績がない中で人材を集めなくてはならない部分があり、採用に苦労されているスタートアップ企業も多いと聞きます。元沢社長が人材を募集する際に気を付けていること、実践されていることがあればお教えください。

DeNA川崎ブレイブサンダースについてお話させていただくと、採用情報の告知手段は一般的なもので、特別な集め方はしていません。その上で、コミュニケーションと発信するメッセージには気を付けています。

野球やサッカーといったスポーツについては「仕事になっている」イメージがあるかと思うのですが、バスケットボールは果たして仕事になるのか、ご飯を食べていけるかと不安になる方も今はいらっしゃると思います。そこで、「バスケットボールのスポーツビジネスとしてのポテンシャルを説明する」というコミュニケーションを、告知の際にも、面接の際にも重要視しています。

特に、面接時にはこの事業の成功を前提に、「明るい未来」について話しています。成功することは前提にして、「どう会社を成長させるか」や「成功したらこんなことをやりたい」「こんなアリーナを作れたら格好いいよね」だとか、そういった話をさせてもらっています。

DeNA川崎ブレイブサンダース代表取締役社長の元沢伸夫氏③

創業期の苦労と経験が、マネジメント力にも繋がる

─新規事業立ち上げ時に、優れた人材に興味を持ってもらう秘訣としては、ビジョンやポテンシャルをしっかり語ることが重要になる。

そうですね。そういった部分も大切ですし、事業を立ち上げる時ならではの、そのタイミングでしかできない苦労と経験というものがあるので、その経験について細かくリアルに話すことで共感してもらう、ということも大切だと考えています

─なるほど。立ち上げ期の苦労や経験には、例えばどのようなものがあるのでしょうか?

事業の立ち上げ期というのは、ものすごく泥臭いんです。現場仕事が多く、自分で考えて、実行して、成功も失敗も自分の力によるところが大きい。「この立ち上げ期のプロセスを今このタイミングで経験することが、後にスポーツビジネスでキャリアを作っていく中でどれだけ重要か」という話はよくしています。

─立ち上げ期の経験というのは、経営を行う上でも活きていくのでしょうか。

立ち上げ期や現場仕事を知らないと、マネジメントする立場になった時に、具体的にどこをどう改善すれば良いかイメージが湧かないので良いインプットが出来ないですよね。「今この時期を経験することは、あなたにとってすごく意味があるよ」と伝えています。

─DeNA川崎ブレイブサンダースで採用したい人材像などはありますか?

バスケットボール経験者かどうかは問題ではないと考えています。「とにかくスポーツビジネスをやりたい」「もっとバスケットボールを発展させたい」「川崎ブレイブサンダースが好きだ」といった強い思い、熱い思いがある人であれば大歓迎ですね。

【編集部より】
元沢社長が、チームマネジメントやスポーツビジネスについて熱く語った後編はこちらです。
DeNA川崎ブレイブサンダース元沢社長に聞く、チームマネジメントの心得


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