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「過労死等の労災補償状況」公表 精神障害の発症件数は過去最高に

2018.07.12

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厚生労働省は、2018年7月6日、平成29年度の「過労死等の労災補償状況」を公表した。それによると、仕事によるストレスなどが原因で発症した精神障害の請求件数は、前年度比146件の増、うち未遂を含む自殺件数は前年度比23件増の221件だったことがわかった。

また、今回は、過去4年間分の裁量労働制対象者に関する決定件数も公表された。以下、リリースより。

平成29年度「過労死等の労災補償状況」

厚生労働省は、本日、平成29年度の「過労死等(※1)の労災補償状況」を取りまとめましたので、公表します。

厚生労働省では、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスなどが原因で発病した精神障害の状況について、平成14年から、労災請求件数や「業務上疾病」と認定し、労災保険給付を決定した支給決定件数(※2)などを年1回、取りまとめています。

なお、今回は、過去4年間分の裁量労働制対象者に関する決定件数などについても取りまとめました。

(※1)「過労死等」とは、過労死等防止対策推進法第2条において、「業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害をいう。」と定義されています。
(※2)支給決定件数は、平成29年度中に「業務上」と認定した件数で、平成29年度以前に請求があったものを含みます。

ポイント

1.脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況

(1) 請求件数は840件で、前年度比15件の増となった。【P1 表1-1】
(2) 支給決定件数は253件で前年度比7件の減となり、うち死亡件数は前年度比15件減の92件であった。【P1 表1-1】
(3) 業種別(大分類)では、請求件数は「運輸業,郵便業」188件、「卸売業,小売業」115件、「建設業」112件の順で多く、支給決定件数は「運輸業,郵便業」99件、「卸売業,小売業」35件、「宿泊業,飲食サービス業」28件の順に多い。【P2 表1-2】
業種別(中分類)では、請求件数、支給決定件数ともに業種別(大分類)の「運輸業,郵便業」のうち「道路貨物運送業」145件、85件が最多。【P3 表1-2-1、P4 表1-2-2】
(4) 職種別(大分類)では、請求件数は「輸送・機械運転従事者」169件、「専門的・技術的職業従事者」と「販売従事者」98件の順で多く、支給決定件数は「輸送・機械運転従事者」89件、「サービス職業従事者」36件、「販売従事者」29件の順に多い。【P5 表1-3】
職種別(中分類)では、請求件数、支給決定件数ともに職種別(大分類)の「輸送・機械運転従事者」のうち「自動車運転従事者」164件、89件が最多。【P6 表1-3-1、P7 表1-3-2】
(5) 年齢別では、請求件数は「50~59歳」290件、「60歳以上」239件、「40~49歳」230件の順で多く、支給決定件数は「40~49歳」と「50~59歳」97件、「60歳以上」32件の順に多い。【P8 表1-4】
(6) 時間外労働時間別(1か月または2~6か月における1か月平均)支給決定件数は、「評価期間1か月」では「100時間以上~120時間未満」42件が最も多い。また、「評価期間2~6か月における1か月平均」では「80時間以上~100時間未満」96件が最も多い。【P11 表1-6】


◆別添資料1 脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況[PDF形式;422KB]

2.精神障害に関する事案の労災補償状況

(1) 請求件数は1,732件で前年度比146件の増となり、うち未遂を含む自殺件数は前年度比23件増の221件であった。【P13 表2-1】
(2) 支給決定件数は506件で前年度比8件の増となり、うち未遂を含む自殺の件数は前年度比14件増の98件であった。【P13 表2-1】
(3) 業種別(大分類)では、請求件数は「医療,福祉」313件、「製造業」308件、「卸売業,小売業」232件の順に多く、支給決定件数は「製造業」87件、「医療,福祉」82件、「卸売業,小売業」65件の順に多い。【P14 表2-2】
業種別(中分類)では、請求件数は、業種別(大分類)の「医療,福祉」のうち「社会保険・社会福祉・介護事業」174件、支給決定件数は、業種別(大分類)の「運輸業,郵便業」のうち「道路貨物運送業」45件が最多。【P15 表2-2-1、P16 表2-2-2】
(4) 職種別(大分類)では、請求件数は「専門的・技術的職業従事者」429件、「事務従事者」329件、「販売従事者」225件の順に多く、支給決定件数は「専門的・技術的職業従事者」130件、「サービス職業従事者」70件、「事務従事者」66件の順に多い。【P17 表2-3】
職種別(中分類)では、請求件数、支給決定件数ともに職種別(大分類)の「事務従事者」のうち「一般事務従事者」222件、48件が最多。【P18 表2-3-1、P19 表2-3-2】
(5) 年齢別では、請求件数は「40~49歳」522件、「30~39歳」446件、「20~29歳」363件、支給決定件数は「40~49歳」158件、「30~39歳」131件、「20~29歳」114件の順に多い。【P20 表2-4】
(6) 時間外労働時間別(1か月平均)支給決定件数は、「20時間未満」が75件で最も多く、「160時間以上」が49件であった。【P22 表2-6】
(7) 出来事(※)別の支給決定件数は、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」88件、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」64件の順に多い。【P24 表2-8】
※「出来事」とは精神障害の発病に関与したと考えられる事象の心理的負荷の強度を評価するために、認定基準において、一定の事象を類型化したもの

◆別添資料2 精神障害に関する事案の労災補償状況[PDF形式:440KB]

3.裁量労働制対象者に関する労災補償状況

平成29年度の裁量労働制対象者に関する脳・心臓疾患の支給決定件数は4件で、すべて専門業務型裁量労働制対象者に関する支給決定であった。また、精神障害の支給決定件数は10件で、うち専門業務型裁量労働制対象者に関する支給決定が8件、企画業務型裁量労働制対象者に関する支給決定が2件であった。【P25 表3】

◆別添資料3 裁量労働制対象者に関する労災補償状況[PDF形式:34KB]

【報道発表資料:「平成29年度「過労死等の労災補償状況」を公表します」より|2018年7月6日・厚生労働省】

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