人事コミュニティHLC「人事なんでも質問会!」レポート
業績を上げる人事とは? サイバーエージェント曽山氏にインタビュー
2018.06.25
2018年6月7日、会員制の人事コミュニティHLCは「人事なんでも質問会!」を開催した。
「強みを活かす」「最強のNo.2」「クリエイティブ人事」などの著書を上梓する株式会社サイバーエージェント 取締役 人事統括 曽山哲人氏が、人事の質問に回答。難易度の高い人材の採用術から社員のやる気を高めるコミュニケーション方法まで、独自のノウハウを共有した。
ハイレベルな人材はどうやって採用する?
一番いいのは、社長をはじめとする経営陣がソーシャルメディアでダイレクトメッセージを送ること。カギとなる局面では、やっぱり社長が出るのがいいかなと思いますね。あと、面談では実力の高い人に担当してもらうのも効果的です。
悩んでいそうな社員にはどう声をかける?
取り急ぎ面談を入れます。状況にもよりますが、「活躍しているって聞いたから、ちょっと近況を聞かせて」というように、本人が話しやすくなるような声の掛け方をしています。大切にしている質問は「仕事は楽しい?」「評価ってきちんとされている?」の2つ。そこで気になる表情を感じたら、役員や直属の上司に伝えてフォローしてもらったり、改めてランチをしに行ったりしてケアします。
活躍している社員が意外にも急に退職するケースということもあります。責任感が強い社員ほどひとりでストレスを抱えているんですね。でも上層部は「表彰などで評価しているから大丈夫だろう」と見落としがち。一番の改善策は、そもそも社員同士の関係性を良くすることです。お互い相談しやすくなりますし、仲間を尊敬しているからがんばれるという人も増えます。上司は月1回など定期的に面談して、きちんと社員一人一人の変化に目を向けるのがおすすめです。
社員から相談されやすい人事になるには?
僕がいつもやっているのは、まず本人の仕事について興味を持って質問すること。現場の話を聞いて、純粋にすごいと思ったら、「すごいね」とストレートに伝えるようにしています。
そして会話が弾んだら「何か困っていることない?」と聞くことも多いです。「ない」と回答してくれたとしても、「あえてでいいんだけど、何かない?パソコンの処理速度が遅いとかでもいいよ」とハードルを下げると、いくつか出て来ることがあります。いかに話しやすい状況を作るかがポイントです。
社員からの要望にはどう対応する?
できる限りその日に解決します。ただし、嘘はつかないこと。すぐに解決できない相談、たとえば評価制度について要望を受けたら「絶対に変えるからね!」などと、自分ひとりではできないことは約束しないようにしています。「次の役員会議で議題にするね」とか「あの人に伝えるね」とできることだけ伝えます。
そうやってできる範囲ですぐに行動するだけでも「この人は相談したら動いてくれるんだ」という安心感を与えられます。100%解決できないにしても、できる範囲でスピーディーに対応して、本人に伝えるのが大切です。
採用基準の「素直で、イイヤツ」はどう決めた?
それまでは面接のチェックシートに「コミュニケーション」「ポジティブ」「ロジカルシンキング」といった項目が並んでいたんですが、経営陣で採用基準を議論した時に「うちの会社で活躍する人ってやはりいいやつだよね」という話になったんですね。
そもそも、そのチェックシートは外部でも使っているようなシートでした。確かに一般的に優秀な人材を採るシートかもしれないけど、サイバーエージェントが欲しい人材を採るシートではなかった。そこで、あえて細かいレーダーチャートを外して「素直で、イイヤツ」に採用基準を一本化しました。
面接官はどうやって応募者を評価する?
面接の判断軸は「一緒に働きたいか」で選んでくれれば大丈夫、とお願いしています。自分のチームのメンバーに入れたいかだけで決めてほしい、極端な例だと何年かマンツーマンだとしても働きたいと思う人を選んでくれと伝えています。
面接官を担当する社員はサイバーエージェントに合っている人材ですから、その社員が働きやすいと感じる人であれば活躍できるだろうと考えています。
中途採用するか外部委託するか悩んだら?
中途社員をいきなり採用するのは社内でも影響範囲が大きく勇気がいるので、社員にする前に一度外部委託として仕事をさせてもらうなど、助走期間を作るのがおすすめですね。
抜擢人事をする時のポイントは?
まず、抜擢した社員を手厚くフォローすること。以前に若手の社長を任命した時、他の社員から「なんであいつなんだ」という声も挙がったことがあります。こうなると、まっさきに声があがった社員をフォローしがちですが、まずは抜擢された社員のフォローを忘れてはいけません。若手の社長に実力あるベテラン社員をアドバイザーとしてつけたり、ランチに行って悩みを聞いたりしてフォローしましょう。
同時に、不満を抱えている社員の話も聞きます。「新規事業プランコンテストに応募してほしい」とか「事業プランを出してほしい」と、機会があることを伝えて、本人に選択肢を提示するようにすれば不満も行動に変化していきます。
人事としての転換期は?
人事になったばかりの時は何をしたらいいかわからず、失敗してばかりでした。でも半年ぐらい経った時、役員に頼まれたある仕事がうまくいった時に、「ありがとう」と一言言われたのが分岐点になりました。
「ありがとう」という言葉を経営陣や社員などからもらうことを最大化しよう、それこそ業績貢献だと理解しました。それからずっと、「ありがとう」と言われる人事が僕の理想です。
【編集部より】
執筆者紹介
萩原かおり(はぎわら・かおり) フリーランスのライター・編集者。美容と心理が専門で、婚活パーティーの取材人数は200人を超える。三度の飯と執筆が同じくらい好き。求人・化粧品・社史制作を経て独立。現在は執筆業を中心に、取材記事から広告・LP・メルマガ作成まで幅広く活動中。休日はエステとジムに通い詰める美容オタク。 https://note.mu/hagitaro1010
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