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中途採用新時代


中途採用の意味・知識まとめ 人材採用の潮流と8つの採用手法を知る

2018.06.16

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かつて「日本的雇用システム」と言われた「新卒一括採用」「終身雇用」が実質的に崩壊したことで、中途採用は、企業が人材を獲得するうえで最も重要な手段となりつつある。この記事では、中途採用の意味や目的、メリットを解説した上で、日本の中途採用市場の現状を紹介し、具体的な手段とその特徴についてまとめる。

目次
  1. 中途採用の意味と目的 新卒採用との違いとメリットは?
  2. 約半数の企業に「人手不足感」 企業の採用意欲は高い状態が続く
  3. 人材の過不足感「不足している」48.0%
  4. 中途採用拡大の理由 転職は誰もが経験する可能性のあるものへ
  5. 主な中途採用の手法8選(2018年版)
  6. 中途採用の募集方法は、ターゲットと予算に合わせて

中途採用の意味と目的 新卒採用との違いとメリットは?

中途採用とは、職務経験のある人材をキャリアの途中で採用することを指す。中途採用を行う目的は「新卒採用だけでは補いきれない人材ニーズをカバーすること」だ。

新卒採用と比べると、スキルを身に付けた人材を採用することができること、応募から採用までにかかるまでの期間が短いこと、会社が必要と判断した時点で柔軟に採用活動を始められることなどがメリットとして挙げられる。

中途採用と新卒採用の特徴比較表

中途採用と新卒採用の特徴比較表

約半数の企業に「人手不足感」 企業の採用意欲は高い状態が続く

人員「確保できなかった」が「確保できた」を上回る

【図とデータの出典:リクルートワークス研究所】中途採用調査(2017年上半期実績、2018年度見通し)

【図とデータの出典:リクルートワークス研究所】中途採用調査(2017年上半期実績、2018年度見通し)

リクルートワークス研究所によれば、2017年度上半期における中途採用で、人員を確保できた企業は47.3%、確保できなかった企業は51.5%となっており、「確保できなかった」が「確保できた」を上回る結果となった。

2018年度の中途採用の見通しについては、「増える(18.6%)」が「減る(4.0%)」を大きく上回っている。従業員規模別に見ると、従業員規模5000人以上において「増える」が25.5%と高い水準になっている。業種別では、「増える」が「減る」を大きく上回っているのは、飲食サービス業(+36.4ポイント)、不動産業(+21.9ポイント)、情報通信(+19.9ポイント)などだ。

人材の過不足感「不足している」48.0%

【図とデータの出典:中途採用サポネット(マイナビ転職)】中途採用状況調査2018年版(2017年実績)

【図とデータの出典:中途採用サポネット】中途採用状況調査2018年版(2017年実績)

マイナビ転職が発表した「中途採用状況調査2018年版(2017年実績)」でも、人材の過不足感を尋ねる質問では「不足している」という回答が48,0%、「とても不足している」という回答が16.3%と、人材が不足していると感じている企業が半数を超えている。

売り手市場ということもあり、企業の人材不足は解消しておらず、2018年6月現在も、厳しい状況が継続していると言える。

中途採用拡大の理由 転職は誰もが経験する可能性のあるものへ

1960~80年代の日本では、「終身雇用」「新卒一括採用方式」モデルが採用活動の主流だった。「中途採用」は、新卒採用が充分でなかった場合や、即戦力が必要な際に実施されてきた状況があった。1980年代後半にはバブル景気が到来し、売り手市場が発生した結果、「より給与の高い会社に行く」という目的で転職をする人材が増え始めた。

その後、1990年代のバブル崩壊以降は大規模なリストラが発生し、終身雇用制度が実質的に崩壊。転職は「誰もが経験する可能性がある」ものへと変わっていった。

職業安定法の改正で、人材紹介会社の取り扱い職種の制限が撤廃される

大きな転換期は1999年の「職業安定法の改正」だ。改正以前は、人材紹介会社の取り扱う職種は科学技術者と経営管理者に限定されていたが、法改正によって取り扱い職種の制限が撤廃され、人材紹介サービスを扱う事業所は右肩上がりで増加した。

90年代までは「求人情報誌」が求人サービスの圧倒的シェアを誇っていたが、2000年代にはインターネットメディアの勃興もあり、ナビサイトが台頭。ここ数年は、従来の前受金型ではなく、採用できた場合にのみ課金される成功報酬型を掲げるサービスへ増えてきたほか、企業自身が求職者へアプローチする「ダイレクトリクルーティング」や、社員のつながりを利用した「リファラル採用」などの手法が用いられるなど、多様な中途採用方法が登場している。

主な中途採用の手法8選(2018年版)

ネットメディアの台頭で、中途採用の手法は日々大きく変化している。ここでは、2018年現在で広く使われている、代表的な中途採用の手法について紹介する。

1.ハローワーク

ハローワークハローワーク(公共職業安定所)に求人を出し、人材を募集する方法。無料で求人を掲載することができ、求人の閲覧者が多いことがメリットとして挙げられる。ハローワークからの特定の応募者を雇い入れることで、厚生労働省が交付する助成金を受け取ることが可能になる場合がある。

応募者は自分の応募したい企業へどこへでも応募することが可能であるため、ミスマッチも起きやすい傾向がある。

2.自社サイトでの募集

自社サイト自社サイトに求人ページを作成することで人材を募集する採用方法。ナビサイトを利用した際の文字数や画像使用の制限がないため、自由に自社の魅力を伝えることができる。

求人ページへのアクセスは自社の知名度に依る部分が大きく、合同説明会やナビサイトからの導線がない限りは、自社のブランディングを高めることや、Webからの検索を増やすためのSEO対策や広告などでプロモーションを工夫する必要がある

3.ナビサイト

ナビサイト就職・転職活動を支援するウェブサイトの総称。企業の求人情報を検索・閲覧したり、企業説明会や採用試験、インターンシップなどに応募したりすることができる。

すべての求職者に向けた情報が掲載されている「総合型」や、特定の地域の求職者に向けた情報を掲載する「地域型」、特定の業種や職種に特化して効率的に企業検索やエントリーが行える「業界特化型」などがある。

4.ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティング人材紹介会社などを介せず、求職者のキャリアや希望条件などがまとまっている人材データベースを活用して、企業が直接候補者へアプローチする採用手法のこと。

会社にふさわしい人材へ効率的にアプローチでき、転職活動をしていない人材にも接触できるのが魅力。

5.ソーシャルリクルーティング

ソーシャルソーシャルメディアを活用した採用活動のこと。FacebookやTwitterを利用した情報発信が2010年ごろから行われるようになり、2012年にはソーシャルリクルーティングに特化した採用サービスのWantedlyがリリースされた。

SNSのつながりを生かし、企業と登録者が気軽にコミュニケーションを取ることができる点が魅力。

6.リファラル採用

リファラル採用社員に人材を紹介・推薦してもらう採用手法のこと。社員の個人的なつながりを活用することで自社の魅力や社風をターゲットとなる人材に効果的に伝え、企業文化とマッチした人材を集めることができる。

社員の関係性を活用した採用であるため、入社後の離職率が低いという特徴がある。また、外部の採用媒体や紹介会社などを利用するのに比べ、採用コストを抑えることができるメリットがある。

7.スカウト・ヘッドハンティング

スカウト・ヘッドハンティングスカウトは求人サイトや人材紹介サービスにプロフィール(職務経歴)を登録した人材に、企業や人材紹介会社が勧誘を行う手法。自社や業界へ興味のなかった人材を採用できる可能性がある。

ヘッドハンティングは、収入や地位に不満がなく、転職を考えていない層にもアプローチする手法。エグゼクティブ層や中間管理職、優秀な技術者などの人材獲得などに利用される傾向がある。

8.人材紹介サービス

人材紹介サービス求人サイトや人材紹介サービスにプロフィール(職務経歴)を登録した人材に、求人する企業・人材紹介会社が勧誘を行うサービス。

無料で利用できるものが多いため、求職者の利用率が高い。近年は、採用が決定した時点で企業側は料金を払う成果報酬型が増えている。「エンジニア」や「IT」など業種・業界に特化したサービスもある。

中途採用の募集方法は、ターゲットと予算に合わせて

多くの求職者に情報を届けるためには、中途採用メディア(求人サイト、フリーペーパー、有料求人誌、折り込み広告など)の活用が必要になってくるが、コストを抑えたい場合は、リファラル採用やハローワーク(公共職業安定所)の利用も選択肢の一つとなる。優秀な人材に効率よくアプローチするには、人材紹介サービスの活用も効果的だ。

以上のように、中途採用は人材市場の動向を踏まえた上で、採用したい人材の特徴や採用活動の予算などに合わせ、ターゲットにアプローチしやすい手法を選ぶとよいだろう。

(文:@人事編集部)
※この記事は「@人事」9号内の特集記事「中途採用のキホン『知識編』」を編集・改稿したものです。

【編集部より】
中途採用に関する、専門家のインタビュー記事はこちら。


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