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政府、外国人就労拡大へ向け「在留資格」新設へ 移民政策との違い強調

2018.06.06

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2018年6月5日に行われた「第8回経済財政諮問会議」で、安倍首相は「即戦力となる外国人材を幅広く受け入れていく仕組みを早急に構築する必要があります」と述べ、外国人就労拡大に意欲を示した。具体的には「新たな在留資格、その創設を明記します」と表明し、これまで問題が指摘されてきた「外国人技能実習生」とは別に、新たな在留資格を設ける方針を示した。

今回の記事では、「第8回経済財政諮問会議」で公開された内閣府の資料「経済財政運営と改革の基本方針2018(仮称)」原案から、今後の日本における外国人就労拡大について、情報をまとめる。

「経済成長の実現に向けた取組」の一環として外国人材に言及

外国人材の受け入れについては、「経済財政運営と改革の基本方針2018(仮称)」の第2章「力強い経済成長の実現に向けた重点的な取り組み」の中で、「人づくり革命の実現と拡大」「生産性革命の実現と拡大」「働き方改革の推進」に続き、4つ目の重要項目として触れられている。同資料では、今回の施策の意図について以下のようにまとめている。

4.新たな外国人材の受入れ 

中小・小規模事業者をはじめとした人手不足は深刻化しており、我が国の経済・社会基盤の持続可能性を阻害する可能性が出てきている。このため、設備投資、技術革新、働き方改革などによる生産性向上や国内人材の確保(女性・高齢者の就業促進等)を引き続き強力に推進するとともに、従来の専門的・技術的分野における外国人材に限定せず、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材を幅広く受け入れていく仕組みを構築する必要がある。

このため、真に必要な分野に着目し、移民政策とは異なるものとして、外国人材の受入れを拡大するため、新たな在留資格を創設する。また、外国人留学生の国内での就職を更に円滑化するなど、従来の専門的・技術的分野における外国人材受入れの取組を更に進めるほか、外国人が円滑に共生できるような社会の実現に向けて取り組む。

出典:「経済財政運営と改革の基本方針2018(仮称)」原案(PDF形式)

外国人材の新たな在留資格を創設する上での、基本的な方針は?

政府は「一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人材に関し、就労を目的とした新たな在留資格を創設する」として、以下のような方針を掲げている。日本語能力については、水準がある程度具体的に明示されているが、受け入れ業種については多分に解釈の余地があり、今後の議論に注目する必要がありそうだ。

 受入れ業種の考え方

新たな在留資格による外国人材の受入れは、生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお、当該業種の存続・発展のために外国人材の受入れが必要と認められる業種において行う。

 政府基本方針及び業種別受入れ方針

受入れに関する業種横断的な方針を予め政府基本方針として閣議決定するとともに、当該方針を踏まえ、法務省等制度所管省庁と業所管省庁において業種の特性を考慮した業種別の受入れ方針(業種別受入れ方針)を決定し、これに基づき外国人材を受け入れる。

 外国人材に求める技能水準及び日本語能力水準

在留資格の取得にあたり、外国人材に求める技能水準は、受入れ業種で適切に働くために必要な知識及び技能とし、業所管省庁が定める試験によって確認する。また、日本語能力水準は、日本語能力試験N4相当(ある程度日常会話ができる)を原則としつつ、受入れ業種ごとに業務上必要な日本語能力水準を考慮して定める。

ただし、技能実習(3年)を修了した者については、上記試験等を免除し、必要な技能水準及び日本語能力水準を満たしているものとする。

出典:「経済財政運営と改革の基本方針2018(仮称)」原案(PDF形式)

悪質な人材紹介業者の介在防止を改めて掲げる

また、政府は「有為な外国人材に我が国で活動してもらうため、今後、外国人材から保証金を徴収する等の悪質な紹介業者等の介在を防止するための方策を講じるとともに、国外において有為な外国人材の送出しを確保するため、受入れ制度の周知や広報、外国における日本語教育の充実、必要に応じ政府レベルでの申入れ等を実施する」ことを掲げた。

外国人労働者が国内で増加する中、外国から労働者を送り出す業者に悪質な行為が目立ち始めており、同方針は政府がそうした現状への対応を行うことを改めて示している。

保証金とは

「保証金」とは、外国人実習生の失踪を防止するための手段として、送り出し機関が実習生または身元保証人から徴収するもの。2010年の出入国管理及び難民認定法(入管法)の制度改正により禁止されているが、日本の法律が適用されない海外では、遵守されていないケースが多々見られる。

2015年の厚生労働省の調査では、日本で働いた経験のある外国人技能実習生のうち、11.6%が禁止されている保証金を、来日前に母国の送り出し機関などに支払っていたことが判明している。同調査では、保証金を徴収された外国人のうち31.3%が、保証金の一部か全額を「返還されていない」と回答しており、保証金が外国人の失踪・逃亡に効果がない、または逆効果であることが度々指摘されている。

参考:実習生、11%が保証金 外国人不法就労巡り禁止 厚労省調査 (日本経済新聞)

在留期間の上限は、通算で5年。家族の帯同は認めない方針

外国人材への支援と在留管理に関わる章では、改めてこの政策が「移民政策ではない」ことを強調した上で、以下のように外国人材への在留に関する考えをまとめた。

外国人材への支援と在留管理等

新たに受け入れる外国人材の保護や円滑な受入れを可能とするため、的確な在留管理・雇用管理を実施する。受入れ企業、又は法務大臣が認めた登録支援機関が支援の実施主体となり、外国人材に対して、生活ガイダンスの実施、住宅の確保、生活のための日本語習得、相談・苦情対応、各種行政手続に関する情報提供等の支援を行う仕組みを設ける。

また、入国・在留審査に当たり、他の就労目的の在留資格と同様、日本人との同等以上の報酬の確保等を確認する。加えて、労働行政における取組として、労働法令に基づき適正な雇用管理のための相談、指導等を行う。これらに対応するため、在留管理、雇用管理を実施する入国管理局等の体制を充実・強化する。

 家族の帯同及び在留期間の上限

以上の政策方針は移民政策とは異なるものであり、外国人材の在留期間の上限を通算で5年とし、家族の帯同は基本的に認めない。

ただし、新たな在留資格による滞在中に一定の試験に合格するなどより高い専門性を有すると認められた者については、現行の専門的・技術的分野における在留資格への移行を認め、在留期間の上限を付さず、家族帯同を認める等の取扱いを可能とするための在留資格上の措置を検討する。

出典:「経済財政運営と改革の基本方針2018(仮称)」原案(PDF形式)

従来の外国人材受入れの更なる促進

また同方針では、「高度人材ポイント制」について、特別加算の対象大学の拡大等の見直しを行い、日本語教育機関において充実した日本語教育が行われ、留学生が適正に在留できるような環境整備を行っていくことが示されている。

高度人材ポイント制とは

高度外国人材の受け入れを促進するため、高度外国人材に対しポイント制を活用した出入国管理上の優遇措置を講ずる制度。

高度外国人材の活動内容を「高度学術研究活動」「高度専門・技術活動」「高度経営・管理活動」の3つに分類し、「学歴」「職歴」「年収」などの項目ごとにポイントを設け、ポイントの合計が一定以上(70点以上)に達した場合に、出入国管理上の優遇措置を与える。

201606060001

出入国管理上の優遇措置の内容

「高度専門職1号」の場合
1.複合的な在留活動の許容
2.在留期間「5年」の付与
3.在留歴に係る永住許可要件の緩和
4.配偶者の就労
5.一定の条件の下での親の帯同
6.一定の条件の下での家事使用人の帯同
7.入国・在留手続の優先処理

「高度専門職2号」の場合
1.「高度専門職1号」の活動と併せてほぼ全ての就労資格の活動を行うことができる
2.在留期間が無期限となる
3.上記3から6までの優遇措置が受けられる

※「高度専門職2号」は「高度専門職1号」で3年以上活動を行っていた方が対象。

図と説明文の出典:高度人材ポイント制とは?(法務省 入国管理局)

日本における外国人材の受け入れは拡大の方針に

今回の決定は、2006 年に策定された「生活者としての外国人」に関する総合的対応策を抜本的に見直す内容となっており、日本の外国人材の受け入れ政策は、大きな転換点を迎えたと言えるだろう。

「経済財政運営と改革の基本方針2018(仮称)」は、「このような外国人の受入れ環境の整備を通じ、外国人の人権が護られるとともに、外国人が円滑に共生できるような社会の実現に向けて取り組んでいく」と結ばれており、「外国人技能実習生」制度を利用し、なし崩し的に広まっていた外国人材の不正な活用を、新たに制度を設けることで正常化する意図も見える。

また、同資料の中には度々「移民政策とは異なる」という言葉が登場するが、方針として「拡大」を表明した上で、今後政府がどのような形で外国人材の受け入れに関わる政策を進めていくのかについては、引き続き注視する必要がありそうだ。

(執筆: @人事編集部)
※記事の情報は、2018年6月6日時点のものです。

参考:経済財政諮問会議 第8回会議資料:会議結果 平成30年(内閣府)

【編集部より】
政府が進める「働き方改革」に関して、この他の記事はこちら。


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