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コラム

残業ゼロを目指して


仕事の居残りタスクを解消するには「学習性無力感」の克服が必要?

2018.06.08

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残業ゼロを実現するためのビジネスハック術を紹介する、作家・佐々木正悟氏の連載企画。今回は、「居残りタスク」が生じてしまう原因と、その対策方法をご紹介します。

目次
  1. 誰にでもある「居残りタスク」
  2. 「ToDoリストで消せないタスク」と「学習性無力感」
  3. 「タスクを分解する」というタスクを作る

誰にでもある「居残りタスク」

ToDoリストなどで仕事を管理していると「どうしてもいつまでも居残ってしまうタスク」が出てきてしまう。そんな経験はありませんか?

□資料整理
□業務報告まとめ

などといった項目は「居残り組」になりやすいタスクです。もっともこういったものは、誰にでもあるのですから、過度に思い悩む必要はありません。ただ、片付けられるものなら片付けたい、と思われる方がほとんどかと思います。

なぜ、「やるべきこと」だけを記したはずのToDoリストに、やらずに残ってしまう「居残りタスク」が生じてしまうのか? この現象には、ある心理が関係しています。

「ToDoリストで消せないタスク」と「学習性無力感」

「ポジティブ心理学の父」と呼ばれる心理学者・マーティン・セリグマンが1967年に行った、ショッキングな実験があります。

実験では、電気ショックの流れる部屋と2頭の犬を用意し、一方の犬は、鼻先のパネルを押すと電気ショックが止められる装置のついた場所に、もう一方の犬は何をやっても電気ショックを止めることのできない場所に入れました。

電気ショックが止められる場所にいる犬は、パネルを押すと電気ショックを回避できることを学習し、自発的にパネルを押すようになりましたが、もう一方の場所にいる犬は何をやっても回避できないため、ついには何も行動しなくなり、甘んじて電気ショックを受け続けるようになりました。

その後、電気ショックを回避できる部屋に2匹の犬を移動させて実験を続けたところ、先ほどまで電気ショックが止められる場所にいた犬は、自発的に回避行動を行いましたが、電気ショックを回避できない部屋にいた犬は、回避する方法があるにも関わらず、何も行動しようとしませんでした。

この一連の実験結果から、セリグマンは「無気力状態とは学習されるものである」ということを発見し、この現象を“学習性無力感”と呼びました。私たちにもこのような傾向はたしかに見受けられ、好ましくない状況があまりに慢性化すると、それをなんとか克服しようとするより、受動的になって我慢してしまうという選択をするのです。

「学習性無力感」に陥る前に対策を

ここで冒頭の話に戻りますと、「ToDoリストで消せないタスク」についても、一種の学習性無力感がからんでいると私はよく思うのです。何度もリストを見ては「このタスクなあ……」と気が重くなっては放置する、という行動をくり返していると、「やるべきことが終わっていない」という、本来はなんとかしなくてはいけない状況に対して、受動的で無抵抗になってしまうのです。

この状態が慢性化すると、締め切りが当日に迫るなど、状況が変化し、無力感に陥っている場合でなくなっても、うずくまり続ける犬のように、タスクに取りかかれなくなってしまうことがあります。少なくともそうなる前には、何らかの手を打つべきでしょう。

「タスクを分解する」というタスクを作る

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取りかかる気にもなれないタスクに遭遇したら、まず「一気に終わらせよう」という気持ちを自分から切り離すことをおすすめします

タスクを見るなり憂鬱になるとき、大抵私たちは頭のどこかで、そのタスクの「厄介な部分」について頭を巡らせているはずです。その結果、電気ショックを受ける犬のような不快な経験をし、だんだんと「学習性無力感」状態になってしまっている可能性があります。

「ToDoリストで消せないタスク」がなぜそのままなのかと言えば、「キリのいい最初のゴール」が想像しにくい、という理由が挙げられるでしょう。ゴールのイメージが想像できないから、全く取りかからない。翌日まで放置する。しかし同じタスクに翌日改めて出会ったとしても、やはりキリのいいゴールが想像できないのは確かです。

こうした場合は、タスクを全て終わらせようとせず、タスクを分解してしまいましょう。手始めには、

ちょっとタスクの中身を見てみて、キリのいいゴールを探す

というタスクだけを終わらせればいいわけです。

「見つける」ではなく「探す」です。これならば、探しさえすれば見つけられなくても大丈夫なので、「いつやめてもいいから、ちょっとだけ、5秒だけでも探すだけ探してみようか」という気持ちになれます。

そして運良く仮のゴールが決まったら、その「ゴールを達成する」というタスクをまずは終わらせましょう。タスクを細分化することが、ToDoリストに残り続ける「居残りタスク」を対処可能なものにしてくれるのです。

【編集部より】
業務効率向上に関する記事はこちら。

執筆者紹介

佐々木正悟(ささき・しょうご) 心理学ジャーナリスト。「ハック」ブームの仕掛け人の一人。1973年北海道生まれ。「効率化」と「心理学」を掛け合わせた「ライフハック心理学」を探求。執筆や講演を行う。著書に、ベストセラーとなったハックシリーズ『スピードハックス』『チームハックス』(日本実業出版社)のほか『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』(中経出版)『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』(ソーテック)などがある。ブログ:佐々木正悟のメンタルハック

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