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コラム

@人事 ドイツ支部通信


1人1部屋も当たり前? ドイツ流のオフィスを日本で実現する方法

2018.06.06

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効率化。仕事が存在する限り、このテーマは永遠に議論され続けるだろう。効率化の話になると、重視されるのは主に「ムダを減らすこと」だ。しかし、集中しやすい作業環境が整っているかどうかも、もっと注目されていいのではないだろうか。

雨宮紫苑雨宮 紫苑(あまみや・しおん)

ドイツ在住、1991年生まれのフリーライター。大学在学中にドイツ留学を経験し、大学卒業後、再びドイツに渡る。ブログ『雨宮の迷走ニュース』を運営しながら、東洋経済オンラインやハフィントンポストなどに寄稿。

目次
  1. 効率化における「作業環境」の大切さ
  2. 日本とはちがう広々としたドイツ流オフィス
  3. 限られたスペースでできるオフィス改革
  4. ヤフーも導入したフリーアドレス制というオフィス改革
  5. 作業環境の見直しで業務の効率化を

効率化における「作業環境」の大切さ

仕事の効率化において、1番大切なことはなんだろう。会議を短くすること? ほうれんそうを徹底すること? いや、わたしは、「集中できる作業環境を作ること」こそが最優先事項だと思っている。

ダラダラとした会議は省略すべき、無意味な報告義務はなくすべき、雑務はアウトソーシングすべき、テクノロジーを活用すべきというのも、結局は集中できる環境をつくるための工夫だ。

ムダを減らすための努力はもちろん大切だが、もう少し、オフィスのレイアウトや個人作業スペースの見直しについても議論されるべきじゃないだろうか。

日本とはちがう広々としたドイツ流オフィス

germany-office【画像引用:Raumangebot – Die Färberei

わたしがドイツに来て驚いたことのひとつに、オフィスレイアウトの差がある。上級管理職でなくとも個人の部屋が与えられていたり、ひと部屋をたった数人で使っていたりする。個人スペースが、圧倒的に広いのだ。

まるで映画のセットのようで現実味がないかもしれないが、本当にこの写真のようなオフィスで、人々が働いている。

大きな部屋にデスクが並んでいるオフィスもあるが、それでもだいたいチームごとにかたまるように配置されていて、他のチームの声が聞こえないくらいには離れているのが一般的だ。

germany-office2

【画像引用:Schwarz und Schwarz Architekten

よく「ドイツ人は効率的に働く」なんて言われるが、ドイツ人だけが際立って優秀というのは信じがたい。それはドイツ人の能力や素質ではなく、環境による要因が大きいのではないかと思う。

だれだって、静かで広いワークペースにいれば、チャキチャキと仕事をするだろう。一方で、小さな机しかなく常に電話のコール音が鳴り響くような場所では、集中するのはむずかしい。

ただしこれは、地方分権国家で、日本的な「オフィス街」がない、ドイツのならではの土地事情もある。

限られたスペースでできるオフィス改革

germany-office3

日本でも、従業員ひとりひとりに広々としたワークスペースを与えられるのであれば、当然その方がいい。しかし、大都市に企業が集中してオフィスの家賃が高くなりがちな状況では、それはむずかしいだろう。では、限られたスペースで作業環境を良くするためには、なにができるのだろうか。

まずおすすめしたいのが、横並びで設置しているデスク同士を、10センチだけ離してみることだ。レストランでも、となりのテーブルがぴったりくっついているのと少しでも離れているのでは、「プライベートが守られている感じ」がずいぶんちがう。

それがむずかしければ、すりガラスの仕切りなどを使ってもいい。わたしが大学受験に向けて通った塾の自習室は、写真のように仕切られていた。案外、圧迫感なく集中できるものである。

germany-officce5

デスクの上はパソコンと書類でいっぱいいっぱい、足元にはキャビネットがあり稼動域が狭い、というのもよくない。パソコンでの仕事がメインなら、学校の教室の後ろにある個人ロッカーのように、後方に個人キャビネットを置いて、デスクまわりをすっきりさせるのはどうだろう。A4サイズが入る程度のキャビネットや本棚なら、たいしてかさばらない。使い方をある程度ルール化すれば、だれかが急に休んでもすぐに業務を引き継げるメリットもある(ちなみにドイツではこれが当然である)。

また、少しスペースに余裕があるのなら、L字デスクを導入することをおすすめしたい。わたしが個人的にL字デスクが大好きであることを差し引いても、パソコン作業と書類作業を並行して行うときに、L字デスクはたいへん便利である。

germany-office7

ヤフーも導入したフリーアドレス制というオフィス改革

ほかにも、フリーアドレス制という思い切った改革も選択肢のひとつだ。これは、社員が個人デスクをもたずに好きなところで作業する仕組みである。

社員側のメリットとしては、自分で作業する場を選べること、デスクを整理整頓するクセがついてワークスペースを広くとりやすいことなどが挙げられる。企業側も、在席率を踏まえてデスクの数を減らしてスペースを削減できる、ペーパーレス化によりコストを削減できるなどの利点がある。

germany-office7

フリーアドレス制は、ヤフー株式会社や日本マイクロソフト株式会社などが一部導入している。ちなみに、この「@人事」を運営している株式会社イーディアスの東京オフィスでも、先日導入を始めた。

とはいえ、わたしのような固定席派もいるから、フリーアドレス制への移行は慎重に考える必要がある。ざわついたカフェで作業するほうがいい人と静かな図書館で作業するほうがいい人がいるように、それぞれのワークスペースの「棲み分け」も大事だ。

導入へのハードルは高いものの、限られたスペースでのオフィス改革という点では、フリーアドレス制を一度検討してもいいかもしれない。

作業環境の見直しで業務の効率化を

「効率化」というと、仕事の際に生じるムダな作業を省こうという考えになりがちだが、作業環境の見直しもまた重要だ。わたし自身、3月の引越しを機に作業スペースを一新したことで、その大切さを痛感した。

デスクの種類や置き方を見直したり、思い切ってオフィスのシステムを変えるのも、効率化へのひとつの答えといえる。

より短い時間でより大きな成果を上げたいと考えるのなら、今一度、「このオフィスは本当に集中しやすい環境なのか」と考えてみてはいかがだろうか。

執筆者紹介

雨宮紫苑(フリーライター) ドイツ在住、1991年生まれのフリーライター。大学在学中にドイツ留学を経験し、大学卒業後、再びドイツに渡る。ブログ『雨宮の迷走ニュース』を運営しながら、東洋経済オンラインやハフィントンポストなどに寄稿。著書に『日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち』(新潮新書)がある。

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